コメディ、美容、ゲームなど様々なジャンルのYouTuberがいます。その中で今いちばん人気で儲かるジャンルは何でしょうか? それは、ファミリーYouTuberです。YouTube社は炎上しやすいコンテンツ、年齢制限付きのコンテンツを嫌い、ご家庭で安心して観られる(ファミリーフレンドリーな)コンテンツを推しているからです。
ファミリーYouTuberとは何か、ファミリーYouTuberのどこがすごいのかを特集します。
ファミリーYouTuberとは
ファミリーYouTuberは文字通り家族が主役です。多くの場合、夫婦と子どもたちの日常が動画の題材です。
代表例はThe ACE Family(登録者数1910万人)、The Royalty Family(登録者数1460万人)、Haschak Sisters(登録者数919万人)、The Prince Family(登録者数841万人)、Familia Diamond(登録者数747万人)などです。
子どもたちが登場するコンテンツなので、基本的には子どもが見ても安心だがファン以外には退屈な内容です1。そのため、スポンサー受けがよく、広告がつきやすいため収入も高いとされています。
どんな内容の動画が多いのでしょう? おもちゃを買った、家族でゲームをする、などが普通ですが、もっと過激なものもあります。ドッキリ動画やウソでびっくりさせるイタズラ動画はよくあります。レプラント家は飼い犬をよそにやってしまったと娘に言って泣かせ、批判を浴びました。
これはあまりに気の毒です。視聴者を楽しませるための工夫なのはわかりますが、やり過ぎです。
子どもを傷つけるのはかわいそうなので、お父さんとお母さんが体を張りましょう。YouTubeのチャンネルが非収益化された上に乗っ取られ、明日には家が差し押さえになる、と聞かされるイタズラ動画はどうでしょうか?
ファミリーYouTuberのここがすごい1:稼ぐタイミング
家族で遊んでいるだけの動画では視聴者を多く集められません。子どもを驚かせれば視聴者は増えますが、批判も招きます。
視聴者を増やし、批判は招かない方法は何でしょうか? ファミリーYouTuberがたどり着いた結論が、妊娠報告と出産報告です。家族が増えるニュースは祝福を受け、視聴者も好意的になり、視聴者数も増える傾向があります。ファン以外にとってはピンときませんが。
こちらはRiss & Quanの妊娠報告です2。
2020年から2021年にかけて、コリーン・バリンジャー(Colleen Ballinger)、LaurenzSide、Elisabeth Rioux、ゾーイ・ラバーン(Zoe Laverne)、The East Familyなどが妊娠・出産の報告をしています。YouTube社も彼らの妊娠・出産報告を急上昇に入れておすすめしています3。
大家族ものが好きな視聴者が多いのか、多産の家庭も少なくありません。子どもの人数はShot of The Yeagersのイェーガー家が6人、8 Passengersのフランク家も6人、The Ohana Advertureのベネット家も6人、Crazy Piecesのペティット家が9人、Not Enough Nelsonsのネルソン家がなんと16人(実子9人、養子7人)です。先進国共通の課題である少子化を解決してくれそうな、驚くべき大量発生大家族ぶりです。このままでは二世代か三世代のうちにファミリーYouTuberの子孫は数百人に、関連チャンネルはコラボチャンネルも含めて数千にまで増え、百年後にはファミリーYouTuberで地球上は埋め尽くされてしまうでしょう。
しかし、いかに多産なファミリーYouTuberといえども、大家族は一朝一夕に築けるものではありません。家族を手っ取り早く増やすため、新しいペットを飼う、養子をとるなどするファミリーYouTuberもいます。そのせいで炎上してしまうこともあります。
ニッキーとダンのフィリパイ(Phillippi)家は犬を飼い始めましたが、子どもにかみついたので処分4してしまいました。スタッファー家は養子を迎え入れましたが、障害があり、とても面倒を見きれないと別の家に送ってしまいました。両家とも激しい批判を浴びました。
何事も正攻法が一番です。ファミリーYouTuberが地上を埋め尽くすまで正攻5法で励みましょう。
ファミリーYouTuberのここがすごい2:YouTuberたちがこぞってファミリーYouTuberになりたがる
ファミリーYouTuberの稼ぎがよいので、ファミリーと言うほどでもなくてもファミリーチャンネルを始めてしまうYouTuberがいます。
その一例がライスガム(RiceGum)です。交際していたアビー・レオと「ファミリー・ガム(Family Gum)」というチャンネルをやっていました。
交際していただけで、結婚はおろか婚約もしていませんが、ファミリーチャンネルに仕立てています。それだけファミリーYouTuberは実入りがよいようです。あまりにも実入りがよく、ライスガムのメインチャンネルとは雲泥の差だったので、ライスガムはやる気を失い、メインチャンネルではほとんど動画を投稿しなくなってしまいました。
なお、二人はその後、破局しています。
ファミリーYouTuberのここがすごい3:稼ぎまくる
豪邸に住み、高級車を乗り回すファミリーYouTuberは少なくありません。子どもが動画に出演しているのは児童労働なのでは?と疑いの声が上がることもありますが、それでもファミリーYouTuberが雨後の竹の子のように出てくるのは、それだけ儲かるからです。
ファミリーYouTuberの代表例、Ace Familyは2019年に新築した豪邸に住み、自宅プールで水上バイクを乗り回して隣の家に泥を飛ばす迷惑行為で騒ぎになっていました。数千万円のスタインウェイの自動演奏グランドピアノも持っています。
ところがその後、父オースティンのボクシング興行詐欺と母キャサリンの化粧品詐欺により二人合わせて数百億円規模の訴訟を抱えることになってしまい、首が回らなくなっていると言われています。稼いでいるのか、苦しいのかよくわかりませんが、大きな訴えを起こされるということは、それだけ儲かっているということなのでしょう。もし零細YouTuberに億単位の訴訟を起こす人がいたら正気を疑います6が、Ace Familyなら納得です。
ファミリーYouTuberのここがすごい4:ファン層が独特
ファミリーYouTuberの特徴は低年齢層の視聴者が多いことです。現在は子ども向けコンテンツにはコメントがつけられないようになってしまったのですが、以前はファミリーYouTuberのコメント欄は子どもたちの書き込んだコメントであふれていました。
コメント欄を見ると、ファミリーYouTuberの強力な支持層が子どもで、彼らが熱烈に支持していることがよくわかります。早く大きくなってファミリーYouTuberのビジネスモデルに気づいてね。
2018年に取り上げた家族チャンネルSIS vs BRO7では「ぼく3年生。3年生の人はいいねして!」とか「2ねんせいはいいねおおして!」とかスペルミスが多く微笑ましいコメントがありました。一律コメント不可になってしまった今、楽しみが一つ消えました。YouTubeはこの措置を再考すべきです8。
ファミリーYouTuberのここだけはやめてほしい:イントロが長い
ファミリーYouTuberの動画を観ていると、児童労働問題などどうでもいいと思うほど気になってしまうことがあります。それはイントロ、というよりもイントロの長さです。
イントロの長さはThe Norris Nutsが18秒、Familia Diamondが23秒、The Royalty Familyが24秒、The ACE Familyは29秒、Crazy Piecesは30秒、The Prince Familyは堂々の47秒です。
なぜこんなに長いのでしょう? ファミリーチャンネルのイントロはメンバーの紹介を兼ねています。各人の短いクリップと名前を90年代シットコムばり9に出していくと、メンバー数がうなぎ登りの家族チャンネルではイントロの長大化を免れないのかもしれません。スローモーションを多用するのはやめてください。余計長く感じるから。
上に挙げた中でイントロが最長のRoyaltyファミリーに至っては、イントロの後、いつもお母さん(ビアンカ)が息の続く限り、「ビアーーーーーーーーーーーーーーンカ!」と名乗ってくれます。ビアンカさん、いつも苦しそうですが、苦しいのはあなただけではありません。見ている(大人の)視聴者も苦しいです。勘弁してください。
注
- 子ども向けではない内容になって批判される場合もある。
- こちらの記事で取り上げた。
- 急上昇ランキングが彼らに完全に占拠されてしまったので、本サイトで週に一回やっていた急上昇ランキングは続けられなくなった。
- 薬殺したようだ。
- 同音異義語の方も。
- タティとWithout a Crystal Ballの訴訟は、むろん正気の沙汰ではない。
- SIS vs BROは姉カリナと弟ロナルドが主に出てくるチャンネルだったが、その後二人の妹アリアが生まれた。
- 子どもが出演するチャンネルがよからぬ目的で使われているという物騒な告発もあったので、YouTube社は開放したくないのかもしれないが。
- 見ている方が恥ずかしくなるような作りであることも多い。