天才と世間でもてはやされている人もしょせん人間です。人間は一人では生きていけないものですから、人間関係を円滑にできないと結局は困ったことになりがちです。
今回は、イーロン・マスクとサム・バンクマン=フリードに共通する不器用で不気味な女性との関係を紹介します。熱烈なファンから崇められている彼らですが私生活では感心できない人格のようです。もう一人、紹介しますが、その人についてはまた後で。
訴えられるイーロンと訴えるグライムス
歌手のグライムス(本名クレア・ブーシェ)が交際していたイーロン・マスクに訴えを起こしました。イーロンとの間に三人の子どもをもうけているグライムスですが、その子どもたちに会わせてほしい、親として法的に認めてほしい、というものです。
イーロンとの間に子どもを三人も作っていながら、関係が悪化し、子どもに会わせてもらえなくなっていたようです。
この二人の生活についてはこれまでもしばしば話題になっています。2020年には子どもの名前が常軌を逸しているので話題になりました。グライムスは第一子を出産していますが、あとの二人は代理母出産を選んでいます。
二人の関係が悪くなったのは最近のことではありません。以前から、グライムスは代理母出産を考慮に入れていること、母親とイーロンの仲が悪いことなどをRedditに書き込んでいたようです。もっとましな相談場所がなかったのでしょうか。一方で、イーロンはDiscord上でグチを言っていたようです。二人はお似合いなのかもしれません。
連絡は全くつながらないらしく、グライムスは9月にイーロンの伝記作家ウォルター氏に向けて「子どもに会わせるか、私の弁護士に回答するかしてとイーロンに伝えて」ツイートしていました。
9月にイーロンがトルコを訪問した際、エルドアン大統領に「子どもの母親はどこだ?」と質問されたイーロンは「母親とは別居していて、彼女はサンフランシスコにいます。」と答えていました。
Turkish President Erdogan sees Elon with his kid and asks
“Where is your wife?”
Elon: “uhhh…”
East meets West 😂 pic.twitter.com/LcSlDHEVZp
— Nuance Bro (@NuanceBro) September 21, 2023
一緒に映っているのが、イーロンとグライムスの長男のようです。
しびれを切らしたグライムスは、本当に訴えを起こしたようです。子どもと面会できないのは、つらいのでしょう。
ここまでの内容はPopcorned Planetが動画にしています。
ところで、グライムスがイーロンを訴えたというニュースは大々的に報じられていたにもかかわらずX(元Twitter)ではトレンド入りはしていません。
(2023年10月28日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
子どもに合わせてもらえず変人のイーロンにひどい目に遭わされ続けているグライムスですが、本人も私生活での奇行ぶりで知られています。バンジョーを練習しようと思って買ってきた帰り道で暴漢に襲われ、応戦したためバンジョーが壊れてしまったと語っています。これは単に降ってわいた不幸ですが、イーロンとの件はグライムスにも責任があります。
というのも、累計で十人以上も子どもがいるイーロンですが、これは「優れた人物が子孫をたくさん作るべきである」という思想を持っているからだと報じられています。そんな人物と子どもを三人も作り、その「優れた人物」に子どもを奪われたのなら、グライムスはイーロンを責めているだけではすまないでしょう。
「サタデー・ナイト・ライブ」で「俺はアスペルガー症候群だ!」と怪気炎を上げたことがあり、変な人なのは最初からわかっていたはずです。
サムの「恋文」とキャロラインの変な趣味
サム・バンクマン=フリードは負債総額が数兆円に及ぶともされる破綻した暗号通貨取引所FTXの元CEOで詐欺罪に問われており、収監中です。このサムが不気味な手紙を彼女とされるキャロライン・エリソンに送っていたようです。
サムの伝記本『Going Infinite』(マイケル・ルイス著)で明らかになっています。
サムはキャロラインに「僕と性的な関係になるメリット・デメリット」と称する手紙を送っていました。普通のラブレターではなく、こんなものを送る時点で相当変ですが、内容はもっと変です。
デメリットの内容は「あらゆる意味で僕には心がない。僕は人に同情しないし、心を動かされることもない。表情さえも偽りだ。幸福も感じない僕と交際してもつまらないだろう?」でした。サムはキャロラインとの力関係についても懸念を示していたようです。当時キャロラインはサムが創設した会社アリミダ・リサーチのCEOを務めていました。
サムはさらに「すぐに飽きる癖や閉所恐怖症」について言及し「余計なことは考えず60時間ぶっ通しで仕事したいのに、キャロラインとの時間を作らないといけないジレンマ」にも悩んでいたようです。
逆にサムはメリットとして短く「共通の趣味がある、話をして楽しい」そして「ただヤリたい」と記していたそうです。なんと二回も。
伝記には、
サムはいつでも各瞬間で一番期待価値の高いことをしたい性格だったが、彼にとってキャロラインの期待価値はセックスの直前に最高になり、した後すぐ暴落するのだった。
とあるそうです。賢者モードが露骨すぎる。
交際相手として最悪の特性を持った男です。しかしキャロラインもさるもの、Tumblrにこんな投稿をしていたことがわかっています。
こんな男の子がカワイイなって思う
- 主要国の政府をコントロールしてる
- 重要な発明や科学的発見をしてる
- 空間的推論ができる
- リスク回避的じゃない
- 肉体的に私を屈服させられる
趣味が変すぎます。共通の趣味って世界征服だったのか。
同じく伝記によれば、サムはトランプ前大統領に「2024年の大統領戦への立候補を辞退したら約7000億円($5ビリオン)あげる」と提案しようかと考えていたそうです。こんな奇怪な提案をする男と付き合っていられたのは、そういう男が趣味だったからのようです。
ここまでの内容はTYTの動画で紹介されています。
イーロンといいサムといいForbesにちやほやされる人はうさんくさいですね。
Forbesといえば、ドナルド・トランプのホラを信じて大金持ち扱いしたり、エリザベス・ホームズを持ち上げたりしたこともあります。
Yikes pic.twitter.com/AmvPf7ZahE
— Secular Talk🎙 (@KyleKulinski) November 14, 2022
エリザベス・ホームズは見栄えがしますが、サムとキャロライン・エリソンは……
(2024年8月18日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
いえ、そういう話はやめましょう。
おまけ:笑顔がぎこちないロンとファーストレディーなりたがりのケイシー
イーロンとサムは少し標準的ではない特性の人物ですが、本人もそれを誇りにしている様子があります。テック業界での成功者にはよくあるタイプでしょう。感情的にぎこちないところがあっても、コンピュータ相手なら長所を生かせます。グライムスやキャロラインも、それをわかっていて、(自分も変人なので)彼らを受け入れていたようです。
テック業界とは逆に、この種の性格だと成功へのハードルが高い商売があります。人々の声を聞き、意見の合わない人とも折衝する必要のある、政治家です。
政治家が感情的にぎこちない様子を示すと笑いものになってしまうこともあります。フロリダ州知事で、共和党の大統領候補指名を目指している、ロン・デサンティスがこのタイプのようです。
Oh damn if you thought the photo was cringe then just wait till you hear it with the audio pic.twitter.com/ok0MMFwRpj
— Wu Tang is for the Children (@WUTangKids) May 16, 2023
Twitterでは「キモい」「地球人に化けた『メン・イン・ブラック』の宇宙人みたい」などといじられています。
公人である以上、批判は避けられませんが、度を過ぎた攻撃はいただけません。特に、イーロンやサムと違って、ロンは自分のぎこちなさを克服しなければならない弱点ととらえ、だからこそ大げさに笑って見せているように見えます。人が隠したがっている弱点をことさらに攻撃するべきではないでしょう。
ロンの弱点をカバーするためか、元ニュースアンカーの妻ケイシー・デサンティスが選挙キャンペーンには必ず伴い、「しばしば感情的に硬いロンのイメージを和らげる役割を果たしている」と評されています。こちらはプリンセスかファーストレディみたいなドレスを着ていると評する記事です。
(2024年10月6日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
華やかな装いで目立ち、「カレン」「ウォルマートで売ってるメラニア・トランプ」「ジャクリーン・ケネディのワナビー」と散々に酷評されてしまうこともありますが、夫のイメージを高めファーストレディの座を得るため悪戦苦闘しているのかもしれません。ロンは共和党の候補者討論会が始まるまでは有望とされていましたが、支持率は低迷しつつあります1。
ケイシーはグライムスやキャロラインと違って、夫の「ちょっと変わったところ」をいいとは思っていないように見えます。でも、その方が案外幸せなのかもしれません。人生の条件の受け止め方、受け入れ方は様々です。受け入れた方が幸せになれることもあれば、受け入れない方が幸せなこともあるでしょう。
注
- キャロライン曰く、サムは自分が米国の大統領になる確率は5%ぐらいあると見積もっていたそうだ。デサンティス夫妻の苦境を見るに、誇大妄想的というより、「わかっていない感」がすさまじい見積もりである。
Caroline Ellison says Sam Bankman Fried thought he had a 5% chance of becoming President one day.
Of the United States. 💀
— Coffeezilla (@coffeebreak_YT) October 10, 2023