Twitch年収番付で5位のハサン・パイカーがTwitchバン(アカウント凍結)されました。白人への差別用語であるCワードをストリーム中に言ったからだとされています。バンの必要はないと思う視聴者も多いようですが、一部からハサンを批判する声も出ています。
ハサン・パイカーは急進左派的なコメントをするストリームをしています。トルコ育ちで現在はアメリカ在住の30歳です。Twitchでは時事ニュースやネットの騒動にコメントをして人気になりました。サブスクライバーにも政治的見解が合わないと「おまえなんで俺のストリーミングずっと見てるのにそんなアホなこと言うわけ? 悪いけどバンさせてもらうわ」などと瞬間的に怒り出すキレ芸が特徴です。
ハサンの叔父はニュースメディア会社TYTを立ち上げたジェンク・ユーガーで、ハサンはTYTで働いていたこともあります。
差別用語?Cワード
ハサンは白人差別用語とされる「クラッカー(cracker)」をストリーム中に言っていました。クラッカーは「南部の貧乏白人」「人種差別をする白人」という意味で侮蔑的に使われることがあります。一方で、ジョージア州やフロリダ州に代々住む人々を指すこともあり1、この場合は必ずしも侮蔑語とはみなされません。
これは黒人を表すNワードが完全な禁止用語となっているのとは対照的です。公的な場でNワードを発すれば社会的信用を失い、ストリーミング中にNワードを発すれば一発でアカウントが凍結されても当然とされます。
NワードになぞらえるとcrackerはCワードということになります。Cワードは差別的な要素もあるが、完全にタブーではない語とされることが多いようです。長く差別されてきた黒人を表す侮蔑語は悪質とみなされ、今も優位な白人を表す侮蔑語は相対的に許容されるという構図です。
バンが発表された後のハサンのツイートです。
yes. it is for exactly what you think it is. anti white racism for using the term “cracker.” https://t.co/5cukDRubze
— hasanabi (@hasanthehun) December 14, 2021
ハサンと前後して、ヴァウシュ(Vaush)もバンされました。ヴァウシュは政治的にはハサンとは対照的で、リバタリアンです。ヴァウシュはハサンのバンについてストリーミングしたらバンされたようです。
twitch has suspended two popular political streamers, @hasanthehun and @VaushV, for using the word “cracker,” which twitch seemingly considers a slur pic.twitter.com/sVw2mT78cg
— Nathan Grayson (@Vahn16) December 14, 2021
利用規約を守っているか違反しているかの基準が一貫してないことに怒ってる。社会的弱者のストリーマーはヘイト・レイドや侮蔑語や嫌がらせを受けてるのに、Twitchは何かしてくれただろうか?
何一つしてくれてない。
(2023年8月20日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
ヘイト・レイドは、性的・民族的マイノリティのストリーマーに大量の嫌がらせや悪口を書き込む行為です。Twitchにヘイト・レイドの取り締まりをするよう求める抗議運動が9月に行われていましたが、Twitchによる改善はありませんでした。
Twitchの運営は些細な規約違反を厳しく罰したり、重大な違反を見過ごしたりするなど、一貫性が欠けていると批判されています。Nワードを連投するヘイト・レイドを放置しつつ、今回の措置を行ったのは不公平だという声が出ていました。差別発言でバンされるのは右派が多いので、左派的な政治ストリームをしているハサンをバンすることで、中立性をアピールしたかったのか、という見方もされています。
Image: Hasan & Vaush BANNED For Saying ‘CRACKER’ On Twitch