インフルエンサーが関わった化粧品ブランドが次々と終わりを迎えています。アディソン・レイ(Addison Rae)とハイラム(Hyram)の化粧品ブランドは契約を終了し、化粧品小売業のモーフィー(Morphe)の親会社Forma Brandsが民事再生を申請しています。
インフルエンサーのブランド
TikTokフォロワー数の第四位(8890万人)であるアディソン・レイは、セフォラ(Sephora)のみで販売されていたブランド『アイテム・ビューティー(ITEM Beauty)』の契約を終了しています。
『アイテム・ビューティー』は、アディソンがTikTokの枠を超えて大手メディアでも紹介され始めた2020年8月に発表されました。アディソンがTikTokで熱心に宣伝していた商品はリップグロスです。
執筆時、『アイテム・ビューティー』の公式サイトではセールになり販売されています。
基礎化粧品ブランド『セルフレス・バイ・ハイラム(Selfless by Hyram)』はインフルエンサーのハイラム(YouTube登録者数456万人)が代表を務めています。2021年6月にブランドが立ち上がっています。
'
『セルフレス・バイ・ハイラム』もセフォラとの契約が終了したと発表されています。
いずれのブランドも売上げが伸びていなかったようです。
彼女はこの知名度でセレブ化粧品ブランドを作った。
今では彼女のブランドは売れ行きが悪いのでセフォラから消えた。
This is fascinating to me. At one point Addison was the highest paid TikToker, and second most famous one.
She used this platform to help launch a celeb makeup brand.
Now her makeup brand is being pulled from Sephora’s shelves due to low sales. pic.twitter.com/qpiRvXmB2J
— isaac (@theisaacmed) January 11, 2023
このツイートのリプでは、知名度にあぐらをかいて低品質の商品を出していたのだろうとか、インフルエンサーのブランドはインフルエンサーの人気が落ちるとおしまいになるなどと議論されています。
美容YouTuberの御用達のMorpheは?
美容YouTuberが人気になると必ずコラボ商品が発売されていたモーフィー(Morphe)は全米の店舗を閉店すると報道されています。モーフィー(Morphe)の親会社Forma Brandsが民事再生(チャプター11)を申請しています。
モーフィーでは、ジェームズ・チャールズ(YouTube登録者数2380万人)、ジャクリン・ヒル(YouTube登録者数562万人)、ジェフリー・スター(YouTube登録者数1590万人)などのブランドの商品を販売していました。2019年にはジェフリーの売り上げが記録的だったことも話題になっていました。今昔の感に打たれます。
裁判所に提出された書類によればジャクリン・ヒルとジェフリー・スターはモーフィーに対する最大の債権者で、それぞれモーフィーは$1ミリオン以上(約1.3億円以上)の未払いを抱えているそうです。
若年層向けのブランドとしてTikTokスターのチャーリー・ダミリオを起用していたMorphe 2の商品も店頭から姿を消しています。
閉店だと知らずに店舗に行ったら……というTikTok動画も投稿されています。
Forma社の傘下には歌手のアリアナ・グランデがプロデュースしている化粧品ブランド『r.e.m. beauty』もありましたが、『r.e.m. beauty』はForma社とのライセンス契約を終了しています。『r.e.m. beauty』はすでにセフォラの店舗に置かれているとの声もあります。
ここまでの内容はTea Spillが紹介しています。
2019年頃は美容インフルエンサー、特に美容YouTuberのコスメブランドが大量に立ち上がり、どれも記録的な売り上げでした。
しかし、彼らの炎上をきっかけとしてブームが終わり、新型コロナウイルスのパンデミックも人気低下に拍車をかけました。
米国ではパンデミックは終わったという空気ですから、これから化粧品は売れるとも考えられます。モーフィーのジャクリン・ヒルとジェフリー・スターに対する負債はかなりの額なので、最近もそれなりに売上げはあったと思われます。しばらく我慢していれば業績は上向くはずですが、業界ではパンデミック以前の水準には戻れないという見通しなのかもしれません。
米国がパンデミックが終わった雰囲気になったのは一年以上前で、それでも売上げがなかなか上向かないので諦めた可能性もあります。景気の先行きも不透明になり、投資が細るなか、ブランドを乱立させる戦略は行き詰まってしまったのかもしれません。インフルエンサーに依存した商売形態を見直す時期にあるのでしょうか。
参考:Beauty Brand Morphe Enters Bankruptcy, Ends Ariana Grande Deal