悪名高いポッドキャスト『フレッシュ・アンド・フィット』(Fresh and Fit)がYouTubeで非収益化されました。
『フレッシュ・アンド・フィット』が悪名高かった理由は、これまで数々の女性蔑視発言や人種差別発言をしてきたからです。ついにYouTubeの規約違反と判断されたようです。
『フレッシュ・アンド・フィット』の問題ぶりはゲストにも表れています。これまで、人身売買容疑で訴追されているアンドリュー・テイト(Andrew Tate)、「女性には投票権は不要、女性は無職で夫と子どもの世話をしていれば良い」と主張するフェミニストからアンチ・フェミニストに転向したYouTuberのパール・デイヴィス(Pearl Davis)、人種差別主義者のインセル活動家で一時期カニエ・ウェストの腰巾着をやっていたニック・フエンテス(Nick Fuentes)、女性がDVに遭ったとしても耐えろと発言した英語教師AlphaMaleMLD1などをゲストに呼んできました。
名前を見るだけで拒絶感を示す人もいそうなゲストです。
非収益化を報告
マイアミを拠点にしている『フレッシュ・アンド・フィット』はウォルター(Walter Weekes)とマイロン(Myron Gaines)が司会を務めています。
主にOnlyFansのクリエイターの女性ゲストを呼び、討論しています2。司会者の二人は「女は貧乏な男と付き合うのか?」「男は浮気しても良いが、女はしてはならない」などの主張をしています。
論議を呼ぶ発言が多いことから、他のYouTuberに批判されることも多くありました。批判への対抗として『フレッシュ・アンド・フィット』は自分たちを批判した動画への著作権クレームを入れて黙らせてきました。
フェアユースの範囲で一部を持ってきて批判するクリエイターを著作権クレームで黙らせるのは、一般に嫌われる行為です。
2023年8月18日になり、『フレッシュ・アンド・フィット』は「チャンネルが非収益化され、スタジオの大家に退去してほしいと言われた」と報告しています。YouTubeがこの判断に至った理由は明らかになっていません。
彼らは「視聴者からあたたかいメッセージをもらって原動力にしてきた。『ポッドキャストのおかげで彼女がサンドイッチを作ってくれるようになった3』『ポッドキャストのおかげで救われた』とメッセージをもらうと嬉しかった。」と泣きながら話しています。
今後は、YouTubeにも少しは動画を投稿する予定ではあるのものRumbleで配信を続けていくそうです。スタッフが20名いるので、Rumbleでは月額料金をとるとも話しています。Rumbleは差別発言などでYouTubeを追放された人たち(代表例Sneako)などがよく使っています。
反響
熱狂的なリスナーがいる一方、彼らを嫌う人も多くいます。
The misogynistic Fresh and Fit podcast has been canceled by YouTube. The venue where they film the show is also asking them to vacate the premises 😭 pic.twitter.com/DnGc4sC8Jf
— chris evans (@notcapnamerica) August 22, 2023
So here is how and why they got fired:
They were reporting their competitors for “copyright infringement” in an attempt to get them de-platformed
Well, YouTube don’t like when you do that shit too many times without cause, so these assholes got yeeted instead. https://t.co/GGxwySp8KX
— Thom Browne Baddie. 🌈 (@ElleWCarter) August 22, 2023
『フレッシュ・アンド・フィット』のような女性蔑視や人種差別など過激なコンテンツは視聴者が集まりやすい傾向にあります。かつてケイティ・ペリーの夫だったコメディアンのラッセル・ブランドも右派芸人になってしまいました。ラッセル・ブランドもRumbleにおり、フォロワー数で堂々の第6位です。
『フレッシュ・アンド・フィット』はRumbleの体質が合っているはずなので商売は続けられるのでしょう。ちなみに、真に稼げる男になれ!と叫びつつセコい商売を勧めるアンドリュー・テイトが第4位、デイリーワイヤ(Daily Wire)とケンカ別れし、妻に暴言を吐いているのが暴露されたスティーブン・クラウダーが第5位なので、ここに食い込めるかが焦点です。
注
- 本名のJonathan Hogwoodで検索すると、日本に住んで英会話教師をしていた形跡がある。現在も継続しているのかは不明。英会話の先生としてはまともだったことを、受講者のために祈らずにはいられない。
- あえてOnlyFansクリエイターの女性を呼んでいるところに、差別的な意図を読むこともできそうだが、深入りはしない。
- どうしてポッドキャストを聞くことで彼女がサンドイッチを作ってくれるようになるのかは不明。しかし、作ってくれるのがサンドイッチでしかないところに、いろいろな意味でのわびしさを感じてますます哀れである。そもそも「彼女」は実在するのか?という当然の疑問も浮かんでくるが、ぐっと飲み込んで聞かないでおこう。