人気YouTuberのアパレルを販売していた会社Revoltを運営していたライアン・ピアセンテ(Ryan Piasente)が告発されています。ピアセンテはYouTubeグループのMisfitsのマネージャーを務めながら、Revoltの運営をしていました。
Revoltはこれまでミスタービースト、アンソニー・パディヤ、ヴァルクレイ、コープスハズバンドなど人気クリエイターのアパレルを販売していました。大物クリエイターだけではなく、中小ストリーマーのアパレルも販売していましたが、ストリーマーへの収益の支払いがなかったり、購入者に商品が届かなかったりなどの問題が発覚しています。
ピアセンテは会社の金を使い豪遊していたようです。それだけではなく、複数の青年を暴行していたことも告発されています。
コフィズィラの動画
こちらがピアセンテの行状を告発しているコフィズィラの動画です。
数か月前からコフィズィラに匿名の告発があったようですが、どのクリエイターも表だってピアセンテを告発するのは拒否したそうです。それぞれのクリエイターは、ピアセンテに騙された、約束の期日に支払いがなかった、などとこぼしていたそうです。
Revoltは2019年に創業し、2021年には5件のクリエイターとコラボをして$20ミリオン(約29億円)の売上げを出していたそうです(動画2分24秒から)。売上げのうちクリエイターには$12ミリオン(約17億円)、Revoltには$4ミリオン(約6億円)の配分があったと解説しています1。
‘RADIANT SPIRITS’ 🌓
Official clothing collection in collaboration with @Valkyrae
Available Now! https://t.co/7Cqh4uYfuI 🩸 pic.twitter.com/fvwEVVOw7G
— REVOLT (@Revolt) September 24, 2021
問題はピアセンテの金遣いの荒さです。彼は経費で高級車を借り、高級Airbnbを借り、ブランド品を買い漁っていたようです。その豪遊ぶりはMisfitsのポッドキャストにゲスト出演したピアセンテ本人が語っています。
ピアセンテ本人が「いつもバカみたいに金を遣う」「人生は一度きり、とことん遊ぼうという精神で動いている」と話しています。
コフィズィラの動画ではピアセンテが1か月の間にプライベートジェット機に6回乗り、$25,000(約360万円)の豪邸を借り、フェラーリを借りるために一週間で$20,000(約280万円)を使い、一回の夕食に$10,558(約150万円)を払った記録を出しています(動画3分28秒から)。
ピアセンテはこれらの支払いを会社の経費でまかなっていたようです。YouTuberのAさんへの支払いは、次にコラボしたYouTuberのBさんの売上げから捻出する、をくり返していたようです。コフィズィラの動画では「ネズミ講のような支払いシステム」と表現しています。ピアセンテが利益をどんどん無駄遣いしていく自転車操業ともいえます。
常に次回コラボするYouTuberの売上げが前回のYouTuberの売上げを上回っていれば継続が可能ですが、そううまくは続きません。RevoltではYouTuberへの支払いが遅れ始めただけではなく、購入者に商品が届かない問題も発生していました。
Twitchストリーマーのニアチュウ(Nihachu)さんは「私がRevoltから受け取る約束になっていた$300,000(約4300万円)はいまだに振り込まれていません2。友人も私の商品を注文していましたが、彼らのもとに商品が届いていません。」と告発しています(動画6分40秒から)。ニアチュウさんは1年以上前にRevoltから商品を販売していました。
ミスタービーストも騙されていた
人気YouTuberのミスタービーストも被害に遭っていました。ピアセンテはミスタービーストとコラボをしたいあまり、ミスタービーストに到達不可能な収益を約束していたようです。その額1年間で$50ミリオン(約70億円)でした。
コフィズィラはRevoltが用意したプレゼン用の資料を入手して公開しています。
Revoltの内部告発によれば、社員からも「到達不可能な数字だ」と言われていたそうです。
Revoltの狙い通り、ミスタービーストはRevoltとのコラボ商品を売り出します。しかし、売上げについては狙いがはずれ、予想をはるかに下回ったそうです。ここからRevoltの資金繰りが狂っていきます。現在のナンバーワンYouTuberはミスタービーストです。彼に約束していた金額を払えないとなると、彼以上のYouTuberを連れてきて稼いでもらわねばなりませんが、もちろん無理な話です。
コフィズィラは事実確認のためピアセンテに取材を申し込んだそうですが、無視されたそうです。
青年たちへ暴行した疑惑
ピアセンテの犯罪は詐欺だけにとどまりません。告発はまだ続きます。
コフィズィラはピアセンテから暴行されたと主張する人5名から連絡があったそうです。彼らはピアセンテから不適切なメッセージを受け取り、写真を送れと脅迫されたり、実際に会って暴行されたりしたと告白しています。
こちらはピアセンテを告発している人の投稿です。
(2024年8月25日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
ピアセンテは事が公になりそうになるとRevoltのアカウントから被害者に口止め料を払っていたことも明らかになっています。
コフィズィラは通常「詐欺をしたYouTuber」を告発するのを専門にしています。今回も詐欺行為をした起業家のつもりで取材をしていたそうですが、思いがけず青年への暴行疑惑も明らかになったそうです。
一つの犯罪からドミノ倒しのようにいくつもの犯罪に手を染める犯罪者は多いのですが、詐欺と性的暴行はジャンル違いで異例です。犯罪をせずにいられないタイプなのかもしれません。
しかし不気味なのは騙された多くのYouTuberがピアセンテを告発しようとしなかったことです。コフィズィラが出演を呼びかけても出てくれなかったそうです。これはインフルエンサーは一つ商品を宣伝するだけで莫大な広告料が入る怪しい商売だからかもしれません。大きすぎる金額が視聴者に悪印象を与えるのを心配している可能性もあります。
大物YouTuberたちも自分の商売が詐欺ギリギリなことをわかっていて、だからこそ詐欺に気づけなかった可能性もあります。あえて詐欺を告発すると詐欺ばかりの業界であることが露見するので、言えなかったのでしょうか。
余談ですが、ミスタービーストのアパレルが売れなかったのは興味深い点です。ミスタービーストはハンバーガーチェーンを経営していましたが、店じまいしています。チョコレートブランドも運営していますが、売れ残りが多いとも言われています。意外と訴求力がないのかもしれません。