なぜYouTube登録者(2017年当時)1位だったPewDiePieよりもローガン・ポール、ジェイク・ポール兄弟が動画視聴を稼いでいたのか? なぜアメリカYouTube急上昇ランキングでポール兄弟が上位にきていたのか?ポール兄弟がケンカをすると動画再生回数が増えるのか? その理由を分かりやすく解説したThe Game Theoristsの動画を紹介します。
以下は動画で解説している内容に即して書いています。
YouTube第一世代(2005年から2008年頃)
まずYouTubeの黎明期からひもといています。YouTube第一世代と呼ばれるのはNumaNuma Guy(恋のマイアヒ)、Chocolate Rain Guyと呼ばれ話題になった動画です。
面白い!と評判になりFacebookやメールなど口コミで動画再生が伸びた時代でした。まだ「チャンネル」が主役ではなく「動画」が主役だった時代です。
この世代の代表的な動画を紹介します。次の動画は笑えるので人気になりました。
(2023年5月14日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)
YouTube第二世代(2009年から2012年頃)
YouTube第二世代はSmosh, Jenna Marbles, Grace Helbig, Hanna Heartなど、徐々に「チャンネル」からコミュニティが形成されます。
毎週同じような内容の動画を投稿することでファンがつき有名人が出てきます。ここで本業としてYouTubeに動画を投稿するYouTuberが誕生します。
この世代の代表的な動画を紹介します。Drunk Kitchenは酔っぱらって料理をするというシリーズです。
YouTube第三世代(2013年から2015年頃)
YouTube第三世代では、YouTubeでのアルゴリズムが大幅に変更され「視聴時間」が長い動画が優遇されるようになります。
結果、ゲーム動画やおもちゃのレビュー動画、Vlogチャンネルなどが主流になります。
この世代の代表的な動画を紹介します。こちらはおもちゃレビューチャンネルでYouTube登録者が1664万人もあります。すごい!
YouTube第四世代 Vinerの襲来(2016年から2017年頃)
YouTube第四世代はLiza Koshy, Collins Key, Lance Stuewart, Lele Pons, ポール兄弟などです。
彼らは子ども時代YouTubeを見て過ごしYouTuberになる夢を持った世代です。人々が何を好み、何に反応したかを見てきました。そして彼らなりに新しく動画の流行を発信しました。
ポール兄弟は第二世代で紹介したSmoshのファンで、最初は自分たちををZooshと呼んでいたそうです。
このころ第二世代のYouTuberたちに登録していた人たちは(大人になるなどの)さまざまな理由で動画を見なくなりアクティブな視聴者は少なくなっていました。PewDiePieのチャンネルに6660万人登録者がいても平均動画再生回数が600万回なのはアクティブな視聴者の割合が少ないためです。
若者に人気だったVineアプリが配信停止した段階でジェイクにはVine登録者が530万人、ローガンには940万人いました。(Vineは6秒間繰り返し再生される動画を投稿するアプリでした。2012年からサービスを開始し2017年で終了しています。)
ポール兄弟がYouTubeへ活躍の場を移すと、ほとんどの(Vineで彼らに登録していた)人たちがYouTubeでもチャンネル登録しました。チャンネル開設と同時に急激に登録者が増加したのはこのためです。
再生回数を伸ばした理由
チャンネルVanossGamingは2371万人登録者がいますが、グループ傘下にH2ODelirious(登録者1123万人)やBasicallyDoWrk(登録者409万人)という、それぞれ人気のチャンネルがあります。相互作用で視聴者がYouTubeに長く滞在し、大本のVanossGamingの登録者も伸びる構造です。
同様の理屈でポール兄弟は、互いに「ライバル」だということになっているのでディスりあう曲(ディストラック)を出してやり合います。「ケンカ」の成り行きを知るため、お互いのファンが両者のチャンネルを行き来することで相互に再生回数を伸ばしていました。そこにPewDiePieやRiceGum、元彼女のアリッサも加わり視聴動画ループが完成します。
アメリカYouTubeがポール兄弟の動画を急上昇ランキングの上位に入れるのは1本の動画を見た視聴者は続けて関連動画を見る可能性が高いからです。
2017年はポール兄弟がYouTubeを席巻していました。ポール兄弟はここ最近ボクシングのトレーニングに集中するため、YouTube更新頻度が下がっています。
2018年はインドの映画、音楽配給会社T-SeriesがPewDiePieの登録者を上回りました。T-Seriesは質、量ともに凄い勢いで動画投稿をしています。またYouTubeは新たな世代に突入したのでしょうか。
Image:Thomas Murray