JFK(ジョン・F・ケネディ国際空港)はニューヨークにある空港です。毎日膨大な利用者が訪れます。アメリカ最大級の国際空港にまつわる面白い動画があったので紹介します。
チャンネルはBusiness Insiderです。
以下はこちらの動画の内容に即しています。
第4ターミナルだけでも毎時1000個のスーツケースが持ち込まれます。アメリカへの持ち込みが禁止されている食品も1日120パウンド(約54kg)分持ち込まれます。持ち込みが禁止されている麻薬や食品はどのようにして発見され、その後どのようにして処理されるのでしょうか?
90年代は手荷物の検査は簡素でした。しかし、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降、危険な人物・食品・麻薬の侵入をいかにして防ぐか議論が重ねられました。結果、分散していた税関、国境警備隊、動植物検疫局などをまとめてアメリカ合衆国税関・国境警備局(US Customs and Border Protection)が組織されます(以下CBP)。
今回はCBPの警官スティーブ(司法省の管轄していた業務を担当)と農業害虫の侵入防止の専門家ジンジャー(農務省の管轄していた業務を担当)に焦点を当てています。彼らは持ち込まれた違法な物を発見し没収し破壊する役割を担っています。
無数の違法な物を摘発するため、「助手」も必要になります。4本足の「助手」ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアです。
動画では8歳の麻薬犬スパイクが紹介されています。スパイクは今まで400件の麻薬摘発に貢献してきました。
警官のスティーブは危険人物を見つけ麻薬・銃器の持ち込みを摘発します。しかし、カンに頼るしか方法がない場合もあります。そんな時、麻薬犬のスパイクが活躍します。スーツケースから臭いを感知すると、座って知らせます。決して吠えたり、ひっかいたりして騒ぎません。
没収された麻薬は焼却処分されます。しかし場所は極秘事項なので動画では明かされていません。
麻薬が持ち込み禁止なのは誰にでもわかることですが、実は最も多く没収されているのは食品です。食品の持ち込みが制限されるのは外来昆虫や病害を防ぐためです。
食品の持ち込みは事前の手続きが必要になります。違反した場合の罰金は$1,000(約10万円)です。畜産や農作物を外国の病害から守るため活躍しているのが農業害虫の侵入防止の専門家ジンジャーです。アメリカの国益を損ねるようなバイオテロが起きないように未然に防いでいるのです。
害虫が侵入しフロリダのオレンジ・グレープフルーツ農家が大損害を被ったことがあります。2007年から2014年にかけて$2.9ビリオン(約29億円)の損害を出しました。ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid, Diaphorina citri)が原因でした。
90年代に侵入した害虫ツヤハダゴマダラカミキリ(Asian long-horned beetle, Anoplophora glabripennis)を駆除するために1997年から2007年にかけて$373ミリオン(約398億円)の費用がかかりました。
年間、国際線で3400万人が利用する空港で持ち込まれた禁止食品を摘発するのは至難の業です。ここでも4本足の「助手」が活躍します。ビーグル犬のビスケットです。ビスケットも食品の臭いを感知すると座って知らせます。的中率は90%です。動画では嗅覚の鋭さは人間の1000倍だと話しています。
ビスケットが検出したスーツケースはジンジャーのもとへ行きX線にかけられ検査されます。動画ではブドウの葉の塩漬け、馬肉ソーセージ、家庭菜園用の苗などが出てきます。没収した食品は焼却処分されるか、マフィンモンスターという機械で粉砕されます。マフィンモンスターは大きなディスポーザーのようなものです。
ジンジャーは粉砕する前に果物を切って中身を確認します。虫や幼虫の出入りはないかじっくり見ています。虫や幼虫を発見した場合は病害虫リスクを分析するため農務省(USDA)に送り検査をします。マフィンモンスターの犠牲になるのはアボカド、マンゴー、柑橘類が多いそうです。
参考:United States Department of Agriculture
Florida citrus growers worry that deadly bacteria will mean end of orange juice
2017 Annual Airport Traffic Report – Port Authority of NY & NJ
Image: Doug Letterman, kanenas.net, 793d Military Police Battalion Inactivates, James Tourtellotte, U.S. Customs and Border Protection