組織犯罪の疑いでジョージア州に起訴・収監されているラッパーのヤング・サグ(Young Thug)が恋人の歌手マライア(Mariah The Scientist)と会話している映像が出回り話題になっています。
話題の焦点は、二人の会話がユーモラスなことと、そもそもこれが公開されるべきであったかどうかです。
ヤング・サグと恋人
出回っているのは収監されているヤング・サグと面会に来たマライアがクリスマスの晩にした通話です。
やりとりはおおよそこのような内容です。
マライア:(ヤング・サグから受け取ったブレスレットを見せ)これはシルバー寄りの色ね。愛してるよ。会いたい。プレゼント嬉しいよ。
ヤング・サグ:チェーン(ネックレス)はもう少しずらして付けると良いよ。
マライア:会いたいな。愛してる。
ヤング・サグ:チェーンは重くないかい?
マライア:うん、いい感じ(ジャラジャラと鳴らして聞かせる)。ねぇ、あなたは私のパパ?
ヤング・サグ:もちろん。
(中略)
マライア:あの人、親切っていうわけでもないし、意地悪ってわけでもないよ。
ヤング・サグ:ふーん。
(中略)
マライア:あの人、太ってるわけじゃないんだけど、痩せてるわけでもないんだよね。
ヤング・サグ:ふーん。
公開された30分の会話のほとんどがジュエリーについてで、それ以外も恋人同士の他愛のない会話です。第三者には誰の話をしているのかわからないところもあります。
マライアは積極的に愛情表現をしますが、収監されているヤング・サグは看守の目を気にしているのか反応が悪い印象です。マライアに「愛してる」と言われるとヤング・サグはジュエリーについて返し、不思議なやりとりです。
ヤング・サグは言葉少なな印象です。ヤング・サグはすでに18か月も収監され、栄養状態が悪い食べ物を与えられ体重が10キロほど増え、夜は電気が消されないため睡眠もままならない状態です。元気がないのも無理はありません。口数が少ないのは、収監される以前から恥ずかしがり屋だったからかもしれません。
そもそもこのような通話内容が出回ったのは情報公開法に基づく請求があったからですが、プライバシーの侵害だと批判されています。
Drakeの批判
ラッパーのドレイク(Drake)は、ヤング・サグの映像を投稿したInstagramアカウントの下にコメントを残し、さらにInstagramストーリーズでも意見を述べています。
Drake posts a story supporting Young Thug, has some words for whoever released the jail call between Mariah and Thug, and calls out Judge Glanville pic.twitter.com/XZeBRt1tXk
— THUGGERDAILY ひ (@ThuggerDaily) January 25, 2024
ドレイクは「映像を公開した人物は職権乱用していないか? 才能ある人を辱めるためにここまで汚い手を使う必要があるのか?」「この映像を公開して利益を得たヤツは恥を知れ。この裁判はバカげている。アトランタの地域貢献になるから早くヤング・サグを解放しろ。」と投稿しています。
ドレイクはこの動画が不正に流出したものだと決めつけて、司法が腐敗していると批判していますが、そうではありません。州の刑務所は、請求を受けたので情報公開法にのっとって公開しただけだと発表しています。プライバシーの侵害だという批判は正しいかもしれませんが、腐敗だというのは早とちりのようです。
冒頭に貼っているYouTuberのカフボーイズによれば、映像はYouTubeチャンネルPhone Calls From Prisonが情報公開請求して、出回ったそうです。削除されたのか、動画はPhone Calls From Prisonのチャンネルには存在しません。このチャンネルは収監されている人と面会者の会話の動画を多数公開しています。専門チャンネルが成立しているほど情報公開が徹底しており、人々の関心も高いのでしょう。
収監されている身ですが、ヤング・サグは犯罪がらみの会話をしているわけではないので恋人との親密な会話を全世界に公開される筋合いはないでしょう。こんなことまで請求されれば公開する決まりになっているのが妥当なのかは議論の余地がありますが、使える制度があれば乱用して収益を稼ごうとするYouTuberはいるものでしょう。
ヤング・サグの裁判は同時配信されている上に、登場する判事、検察、弁護士がいずれもクセが強いので注目されています。
2024年に入り裁判中にファンがZoomに侵入して「審理無効! ヤング・サグを解放しろ!」と叫ぶ一幕がありました。
クセが強いのはヤング・サグとその仲間たちだけではありません。ヤング・サグを起訴した検察官も、自分の任命した特別検察官と恋愛関係になったので釈明を求められる事態に発展しています。
今回このクセの強い人々の一団にドレイクが新規加入したようです。この裁判には関わる人をおかしくする磁場があるのかもしれません。
裁判を見守っているヤング・サグのファンは判事が検察寄りだとこぼしています。ヤング・サグは見せしめとして起訴されていると言いたいようです。今後も裁判は続きます。