アルファ世代に大人気のスキビディ・トイレット(skibidi toilet)が映画化される計画があります。アルファ世代は2010年代以降に生まれた世代で、iPadを使いこなし、まだアテンションスパンが短い成長途中の子どもたちです。Z世代が大人になり、次のターゲットはアルファ世代ということのようです。
スキビディ・トイレットはチャンネルDaFuq!?Boom!に2023年2月から投稿されているシリーズです。チャンネルの累計動画再生回数は177億回を超える人気です。DaFuq!?Boom!のクリエイターはジョージア国出身のアレクセイ・ゲラシモフ(Alexey Gerasimov)です。
人気のシリーズ
スキビディ・トイレットはトイレから頭を出したキャラクターが頭部がカメラになったサイボーグと戦争をしている様子を描いています。3Dアニメで、主人公的視点はサイボーグに置かれていることが多いようです。ディストピアな世界観で爆発、殺し合いがほとんどの回で出てきます。
人間が登場することもありますが、トイレから頭を出したキャラクターたちが地球に侵略してきて、人間を殲滅しているようです。スキビディ・トイレットは異星人かもしれません。動画は展開が早く、次々に爆発や攻撃が仕掛けられます。すべてめちゃくちゃな展開のように見えますが、アルファ世代が集中力を保って見られる工夫のようにも感じられます。動画一つの長さは5分ほどが大半です。
執筆時、エピソードは77まで公開されています。シリーズの再生回数の高さが際立ちます。
大人の目からするとめちゃくちゃなスキビディ・トイレットの何が子どもたちの心をこんなにも惹きつけているのか不明です。しかし、子どものころ、ゴツゴツした強い物が戦うシーンが好きだったという人も多いのではないでしょうか。そういう幼少期を経験していれば多少は理解できるかもしれません。
人気すぎて「スキビディ」はアルファ世代のスラングにもなっています。ストリーマーのカイ・セナットが生み出したスラング「リズ」や「オハイオ」の仲間入りをしています。スキビディは特に意味のない単語として使われているようです。
映画化される?
そんなアルファ世代に大人気のスキビディ・トイレットがハリウッドで映画化される話が出ているそうです。ストーリーらしいストーリーもなく、気持ち悪いキャラクターが意味不明な破壊を繰り広げているだけのものが映画されるなんて本当か、と思ってしまいます。
しかし、そう思うのは大人の浅知恵で、子どもたちが求めているのが「めちゃくちゃな展開の破壊シリーズ」なのであれば、今後の市場はあるのでしょう。
しかも監督は『トランスフォーマー』や『アルマゲドン』などで知られるマイケル・ベイが務める……そうです。有名監督が手がけることになれば、スキビディ・トイレットは『トランスフォーマー』と『アルマゲドン』を合体させて100倍チープにしたような内容なので、ハリウッドはそこそこやる気かもしれません。大当たりの人気シリーズになるのか、大外れの失敗作になるのかお手並み拝見です。
映画が出てくる数年後には、今喜んでいる子どもたちはみんな大きくなって興味を失っていそうなのが心配なところです。次の子どもたちも興味を持ち続けてくれているといいですね。YouTuberが歌を歌ったりテレビや映画に出演したりするのはよくありますが、YouTubeの動画シリーズが由来の映画は珍しいので楽しみでもあります。
ここまでの内容はジャーナリストのテイラー・ロレンズが紹介しています。
テイラーの動画ではスキビディ・トイレットの映画化に貢献している会社インビジブル・ナラティブのプロデューサー、アダム・グッドマン氏に取材をしています。グッドマン氏はYouTubeには確実に金脈があり、ハリウッドとの架け橋になるように努力している、YouTubeはまだ収益化されて16年ほどだが映画は125年の歴史がある、それぞれの良さを融合した作品を作りたい、と話しています。
余談ですが、グッドマン氏のお子さんはジェイク・ポールを毎日のように熱中して見ていた時期があるそうです。こんなところにジェイク・ポールが言及されるとは思いませんでした。
実際に映画化されるのか、されるのであればどのような物語になるのか、YouTubeの視聴回数を裏切らないヒット作になるのかが楽しみですね。
Image: Richter Overtime “What’s Up With Skibidi Toilet?”