YouTubeの締め付けが厳しくなり、YouTube上では過激な内容は稼ぎにくくなっています。そこで、人気を背景にすれば収入の安定しやすいポッドキャストに進出するYouTuberが増えています。古参YouTuberのイーサン・クライン(Ethan Klein)は左派系政治ストリーマーのハサン・パイカー(Hasan Piker)と共同のポッドキャスト『Leftovers（レフトオーバーズ）1』を開始しました。
Leftoversポッドキャストの第一話
こちらが2021年9月26日に公開された最新動画です。
ラッパーのニッキー・ミナージュがツイートした「ワクチン接種したせいで、いとこの友だちの金タマが腫れた」話を検証、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員が議会でネットミームのフリップを出したことをいじる、ハーマン・ケインをいじる、TikTokアカウント『共和党支持者のハイプ・ハウス(therepublicanhypehouse)』をいじる、新規メディア会社Qux®（創業者はインフォウォーズの元従業員、母親に盗みを働いて解雇された）をいじる、などが内容です。
もともとハサンは進歩系ニュースネットワークのThe Young Turks（ザ・ヤング・タークス）で働いていました。ザ・ヤング・タークスを立ち上げた一人であるジェンク・ユーガーが叔父なので、コネ採用された……説があります。2019年に「アメリカが9月11日にテロ被害に遭ったのは当然だ」と発言して、批判を浴び、ザ・ヤング・タークスを解雇されています。以降、専業Twitchストリーマーとして活動しています。Twitchのフォロワー数は150万人、Twitchの登録者数は50万人、YouTube登録者数は77万人です2。
ハサンは社会主義者を自称していますが、2021年8月には約3億円の豪邸を購入したと報じられ論議を呼んでいました。視聴者を獲得するために表面上は社会主義者を装っているだけだ、という批判の声が出ていました。その際には、このような動画が出回りました。
（2023年2月19日：削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。）
ハサンはファッション、アートを語りつつ、反知性主義に対抗しようと話しています。それにしても何を狙ったのか不明な演出です。見ているこっちが恥ずかしくなります。
イーサンの事情とファンの反応
イーサンは2021年6月にトリシャ・ペイタス(Trisha Paytas)との共同ポッドキャスト『フレネミーズ』の終了を発表していました。人気ポッドキャストでしたが、収益の分配でケンカになり解散しています。
イーサンは新しいポッドキャストの趣旨について「深刻な政治の討論をする番組ではない。頭の悪い意見を言うクソ野郎をいじって罵倒したいだけ。」と話しています。
イーサンは妻のイーラ・クライン(Hila Klein)と2011年からYouTubeチャンネルh3h3Productionsで活動しています。初期は際どいコメディ動画を投稿していました。2017年にポッドキャストを開始して、2019年以降は、ほとんどポッドキャスト動画だけで活動しています。H3アフター・ダーク(H3 After Dark)はクライン夫妻のライブ配信、H3TVとオフ・ザ・レイルズ(Off The Rails)はイーサンとスタッフが時事ネタにコメントをする形式です。
h3h3Productionsには熱狂的なファンが多く、今回の新番組『レフトオーバーズ』も概ね好意的に受け入れられています。しかし、ファンの中には「イーサンに政治的な発言はあまりしてほしくなかった」という意見や「ハサンとイーサンの意見が常に同じなので、二人で司会をする必要性を感じない。意見が分かれたときの二人がどのように討論するのか楽しみ。」という意見がありました。
『レフトオーバーズ』では共和党支持者やキリスト教宗教右派、保守層全般を切り捨てる発言をしているので、それらの政治的意見を持つリスナーはいらない、という方針のようです。イーサンは『フレネミーズ』など最近のポッドキャストでは一貫して左派的な意見を表明し、人気を得てきたので、問題ないと判断したのでしょう。
Image: HasanAbi reacts to his NEW Podcast with Ethan Klein on H3 Podcast | LEFTOVERS
