YouTuber登録者数287万人のイーサン・クラインがマルチ・チャンネル・ネットワーク(通称MCN1)から不当に収益をかすめ取られていたと告発しています。
MCNはYouTubeから収益を得られるのが一部のYouTuberに限られていた時代に、YouTube社・企業とクリエイターを仲介する役割を果たすため存在していました。今のYouTubeでは一定の条件を満たせばどのチャンネルでも収益が可能になり、存在が不要になったとYouTuberに指摘されています。
2018年にはMCNのDefy Mediaが倒産した際、契約していたYouTuberの収益が未払いになり問題になっていました。
イーサンの告発
イーサンは2023年4月7日にこのようにツイートしています。
Hey guys we’re aware that memberships were just paused. We were forced to make some last minute channel changes because we discovered our mcn @BroadbandTVCorp and ceo @shahrzadrafati took $620,000 from our membership revenue and is refusing to return it. More on Monday.
— Ethan Klein (@h3h3productions) April 8, 2023
H3のチャンネルの収益の一部を、不当に奪われたとイーサンは主張しています。
イーサンによればブロードバンドTVとは2017年から契約していたそうです。
当時イスラエルに住んでいたイーサンは、YouTubeの収益を受け取るためには米国の口座が必要で、MCNを経由しなければなりませんでした。チャンネルの収益は100%受け取り、ブロードバンドTVがスポンサー案件を受注した場合は報酬を分ける契約です。
YouTubeメンバーシップの収益を分けることは契約に明記されておらず、今回の行為は許しがたいようです。またブロードバンドTVと契約した当時はYouTubeメンバーシップが導入されていなかったことも問題になっています。YouTubeに新たな仕組みが導入された場合、収益の配分はどのようになるのか契約には明記されていなかったようです。
ブロードバンドTVがYouTubeメンバーシップの収益をかすめ取っていたことの発覚が遅れた理由をイーサンはこのように説明しています。「確認は会計士に任せていた。最近、会計士を代えて確認したところ、以前の会計士が確認を怠っていたことがわかった。」そうです。
さらにイーサンはこのようにツイートしています。
I believe the reason @BBTV (CEO @shahrzadrafati) chose not to pay us back is simply that they don’t have the money. They recently took a loan of $20,000,000 to pay off debt, and their stock has plummet 96%.
I hope @TeamYouTube is aware of this potential calamity pic.twitter.com/WW5ZjUhZ7g
— Ethan Klein (@h3h3productions) April 8, 2023
イーサンが告発すると、YouTuberたちも騒ぎ始めます。YouTuberのボーブラックスです。
MCNs were created to take advantage of the fact that YouTube had no system in place yet to allow creators to place ads on their videos and get paid directly.
Ever since YouTube changed that in like 2015 (don’t remember the exact year) MCNs have been useless— Josh (@Bowblax) April 8, 2023
YouTuberのムタハは「MCNは詐欺のような商売だ。99.9%の古参YouTuberはMCNに金を奪われた経験がある。昔は収益を受け取るクリエイターは限られていたから、MCNと契約しないといけないような風潮だった。」と紹介しています。
ムタハは「俺が登録者数1000人くらいのとき、誰も聞いたことがないようなMCN会社が収益の40%を奪うような契約をSkypeで持ち出してきた。当時、俺の収益は30円だったのに、その40%を奪われてたまるかと思ったよ。もちろん断った。」と明かしています。
今後は訴訟?
2023年4月10日のストリームでイーサンは、ブロードバンドTVの弁護士との電話内容を公開しています。
ブロードバンドTV側は、契約上YouTubeパートナーシップの収益を受け取る権利があると主張して、返金を拒んでいます。イーサンは返金に応じないなら、法的に対処するしかないと表明しています。
MCNについては、これまで多くのYouTuberが被害にあっているようです。通告なくマネージメントを放棄されたYouTuberや、MCNから不当な契約を持ちかけられた際の対策を話すYouTuberもいます。MCNとの契約を考えているなら、弁護士を雇い契約書を確認してもらうのは必須だそうです。
その後、イーサンはTwitterで「ブロードバンドTVが返金した」と報告しています。
(2023年10月16日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
イーサンはストリーム中に強気でブロードバンドTVを批判していました。法的に有利な立場にあるとわかっていたのでしょう。
大物YouTuberだったので返金になったようですが、ブロードバンドTVと契約している他のYouTuberも同様の待遇になるのか注目です。今後被害に遭うクリエイターが減っていくといいですね。