奴隷契約を結ばされたYouTuberたち Defy Media破産?

YouTuberニュース

以前の記事(18年11月第4週YouTuberニュース 集団訴訟、ケンダル・ジェンナー登場、アカウント停止など)でYouTuberが多数所属する芸能事務所Defy Media(ディファイメディア、以下Defy)が突然業務を停止したことをお伝えしました。本記事は続報です。

DefyはYouTuberやソーシャルインフルエンサー専門の芸能事務所です。芸能事務所だけでなく芸能情報メディアでもあり、Smosh、Clevver系列など人気チャンネルを傘下にもつMCN(マルチチャンネルネットワーク)でした。

DefyはさまざまなYouTuberと契約していましたが、解雇予告なく11月6日に会社の営業停止と社員の一斉解雇を発表します。

本記事はかつて所属していたYouTuberや、今回解雇されてしまった社員たちの動画を紹介します。執筆時点では倒産に至った原因はまだ判明していません。

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概要

情報が錯綜していますが、以下のYouTuberたちの証言をまとめると、次のようなことが起こっているようです。

  • YouTubeチャンネルからの収益がDefyに奪われ、YouTuber個人には渡されなかった
  • 個人チャンネルの権利もすべてDefyに譲渡する契約を結ばされた
  • FacebookなどYouTube以外のSNSもアカウントを奪われた
  • セクハラ事件もありDefyはとにかくうさんくさい

要するに奴隷契約です。ここからはYouTuberたちの説明を順番に見ていきましょう。

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アンソニー・パディーヤ(Anthony Padilla)

コメディチャンネルSmoshを立ち上げた一人アンソニー・パディーヤ(Anthony Padilla)の動画です。Smoshはイアン(Ian Hecox)とアンソニーの共同チャンネルでしたが、アンソニーは2017年に個人チャンネルに専念するため脱退しています。

My thoughts about SMOSH/Defy Media shutting down

友人がたくさんDefyに勤めていたため今まで話せなかった、うさん臭かったDefyの行状を話しています。Twitter個人アカウントを乗っ取られそうになったこと、Facebookは乗っ取られたこと、SAG映画俳優(芸能人)組合1への加入を阻止されたこと、プロデューサーAndy Signoreのセクハラ2が判明したあとも事が公になるまで社内で処分は下されなかったことなどを列挙しています。

Chris Stuckmann

Chris Stuckmannは契約条件が次第に悪くなっていった経緯を話しています。

My Defy Media Experience

事務所に所属していた方が著作権侵害のクレームに対抗しやすかった時期がありDefyと契約したこと、その後10%の広告収益をDefyに譲渡することになり(このパーセンテージも契約更新のたびに増えていったそうです)、スポンサーが付いた動画はさらに数%を渡す契約になったこと、を話しています。

さらに2019年2月まで有効な拘束力の強い契約を結ばされたため詳しい内容は口外できないそうです。

徐々にDefyからの支払いが遅れ気味になり、2018年は9月と10月のYouTube広告収入が振り込まれないままDefyは業務停止してしまいました。自分の給料がどこへ消えて行ったのか分からないままだそうです。

Lily Marston

Lily MarstonはClevverでインターンを含めて6年半勤務していました。

what happened to clevver & why i had already left

実は業務停止が発表される数日前にClevverを退職していたので実害はなかったそうです。(本当は休暇の予定でしたが状況が変わったので動画投稿をしているそう。)作成した動画や企画の知的財産権はすべてDefyが所有しているため個人チャンネルの広告収益もDefyに吸い取られていたそうです。個人チャンネルもDefyが所有しているため、いくら動画を投稿しても基本給と同じです。Clevverでの人気企画もDefyに知的財産権が帰属しているのでシリーズ継続も不可能だそうです。個人チャンネルの権利が戻って来るといいですね。(広告収益化されているかは不明ですが、チャンネルは取り返したようです。)

Joslyn Davis

Joslyn Davis設立当初からClevverに勤めていました。10年間勤めた会社を突然解雇され動揺しています。

An Honest Update on Clevver/DEFY…

ClevverはSmoshを買収したばかりのalloy digitalに買収され、alloydigitalとBreak Mediaが合併しDefy Mediaが設立したそうです。解雇されてしまった元同僚達は全員優秀で勤勉な人たちなのでぜひ雇用してねと話しています。

lisbug

lisbugはシェーン・ドーソン(Shane Dawson)の元彼女です。

(2020年7月5日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)

1年ほど前からDefyに所属していました。ネットニュースで業務停止を知ったそうです。直接Defyの社員から説明も無く契約状態も把握できなかったそう。現在はスポンサー動画の収入は振り込まれていませんが、自身のチャンネル所有権を取り戻したので安心しているとのこと。今後は弁護士と相談していくと話しています。

ライランド・アダムズ(Ryland Adams)

ライランドはシェーン・ドーソンの現在の彼氏です。

Exposing a Youtube Company

[動画19:46から]Defy関連の話をしています。ライランドもかつてDefyに所属していました。Defyがどんなに悪質な会社か話をしています。Defyを辞めるに至った経緯も動画にしたかったそうですが、投稿したら訴えると3ヶ月ほど毎日のように脅されていたため投稿しなかったそうです。

もしこれからYouTubeチャンネルを開設しようと思っていたり、現在色んな会社から勧誘を受けて迷っている人がいたらMCNに所属するメリットはほとんどないのでお勧めしないと話しています。

YouTuber Law

法律専門チャンネルがDefyの訴訟を紹介しています。

The Many Lawsuits of DEFY Media.

Defyは業務停止、大量解雇を発表する以前から今年だけで4件訴訟を起こされています。広告収入が未払いであること、写真家の写真を無断で使用していたことなどで訴えられています。

今回新たにDefyの元社員Georgina Guinaneが集団訴訟を起こしています。大量解雇をする場合(連邦法でも州法でも)60日前の事前通告(解雇予告)が義務とされています。会社が破産申請した場合、給料が未払いであったとしても帳消しにされてしまいますが、州法で守られているので場合によっては残った会社の財産から給料を得られるかもしれないそうです。

裁判所がどのように判断するか分かりませんが、本来支払われるべき金額が戻ってくると良いですね。

参考:Defy Media, home of YouTube superstars Smosh, is shutting down
Class Action Lawsuit Filed Against Defy Media, Claims Of Fraudulent Behavior From Former Generate Partners
Wikipedia:Defy Media

  1. 映画俳優(芸能人)組合(The Screen Actors Guild)は通称SAG。SAGは1933年に、ハリウッド俳優が大手の映画製作会社から、不利な労働時間や休暇条件、制作会社側の一方的な自動更新を含む搾取的な多年契約を強要されつつあることを受けて、俳優側の条件改善を期するため設立された。(Wikipediaより)
  2. Andy Signoreが複数の女性社員を暴行した容疑で告訴された事件。外部記事Defy Media Fires ‘Honest Trailers’ Creator Andy Signore After Sexual Abuse Allegations参照。
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