HBOの映画『This Place Rules』が公開されたばかりの25歳YouTuberアンドリュー・キャラハン(Andrew Callaghan)に性的暴行疑惑が浮上しています。
全米各地の複数の女性が「アンドリューから不適切な行為を強要された」とSNSで告発しています。執筆時、アンドリューは声明を出していません。
アンドリュー・キャラハンとは
アンドリューはビッグフットハンターからQアノン信者の集会まで突撃取材し、ナンパ師養成講座に参加したと思えばポ☆ノで寝取られ男を演じてみせる神出鬼没のSNSジャーナリスト兼YouTuberです。
YouTubeのAll Gas No Brakesチャンネルで活動していましたが、方向性の違いから法的な問題になり、今はChannel 5というチャンネルで活動し、さらにPatreonへと軸足を移しています。
これまで全米各地で行われる危険な集会や祭りへ参加し、ベロベロに酔っ払った人や何か違法らしき薬物をやっている人、思想的にかなり特殊な人に取材してきました。
HBOの映画『This Place Rules』はトランプ支持者の集会を巡りつつ過激思想の人々の声を聞き、事態が2020年1月6日の議事堂占拠事件へと向かっていく有様を描くドキュメンタリーです。肝腎の2020年1月6日のアンドリューは、コロナ陽性になりトレーラーで寝込んでいただけ、というオチも付いています。
左右両方の過激思想を取材しているアンドリューですが、視聴者の質問から「あなたのイデオロギーは何?」と質問され、このように答えています。「ラッパーのヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインのファン」だそうです。
ふざけた回答ですが、幅広く取材して動画にするためには政治的立場を明確にするのは得策ではないからでしょう。
HBOのドキュメンタリーが公開されたのが2022年12月30日で、アンドリューはInstagramアカウントでプロモーションを行っていました。そんな渦中に、アンドリューの暴行疑惑が浮上します。
TikTokで告発
最初に話題になった告発者はTikTokユーザー、コーンブレッドアセロールことキャロライン(@cornbreadasserole)さんです。
彼女は「アンドリュー・キャラハンに要求され、望まない行為をさせられた。しつこく言い寄られたので仕方なく同意をしてしまった。後悔しているが、自分に非があったと思い込んでその後も彼と交流していた。」と話しています(TikTok投稿は非公開になったので、ツイートはこちら)。
被害に遭った日アンドリューは泊まる場所がないと話していたので、家に泊めてあげたそうです。言い寄ってくるアンドリューにキャロラインさんは性行為をする気はないと繰り返し伝えていたそうですが、押し切られたそうです。その晩、キャロラインさんはアンドリューに酒を勧められ酩酊状態だったとも明かしています。
最初のTikTok動画では、証拠を提示するつもりはないと話していたキャロラインさんでしたが、視聴者から要求があったので、その後の動画ではアンドリューと二人で写っている写真とメッセージのやりとりのスクリーンショットを公開しています。
キャロラインさんの動画が話題になると、さらなる告発者も出てきました。
二人目の告発者@moldyfreckleさんの話です。moldyfreckleさんは3年ほど前、アンドリューと食事をした後に車で性行為をしないか?としつこく聞かれたそうです。結局、断ったそうですが、体を触られ、とても不快だったと話しています。
さらなる告発もRedditに投稿されています。
(2023年1月29日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
さらに2020年にInstagramストーリーズに投稿された別の告発者の声も再注目されています。
(2023年1月22日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
いずれも数年前の出来事で「被害者のルームメイト」か「被害者の友人」を名乗る投稿も含まれます。
TikTok動画で語っている二人の話は信ぴょう性がありますが、文章だけの告発は本当かどうかはわかりません。また、動画の二人の告発も、直ちに犯罪といえるかはとても微妙です。しかし、どの告発でも語られているアンドリューの行動(酒を勧めるなど)が似ていて、もし本当だとすればアンドリューがこの手の不適切な行為の常習犯だったのではないかという疑いを持たせます1。
アンドリューの今後
HBOのドキュメンタリーのプロモーションのため、SNSアカウントで盛んに投稿していたアンドリューでしたが、告発が話題になってからは沈黙しています。アンドリューの最新Instagram投稿には「複数の女性を暴行した疑惑について声明は出さないのですか?」のようなコメントが日に日に増えています。
アンドリューは熱狂的なファンの間で「真実を追究するジャーナリスト」として褒めそやされていました。面白いことに右派(トランプ支持者)からも左派(反トランプ派)からも中立的に真実をありのままに伝えていると好意的にとらえられていたようです2。
新たなドキュメンタリーが公開されたことで、アンドリューはこれからますますの活躍が期待されていました。暴行疑惑についての対応次第では、今後の活動は難しくなりそうです。
Image: Vaush
Looking Over The Andrew Callaghan Allegations