数年前の動画が理由でチャンネルが削除される可能性が?規約違反の範囲が広くなっている

YouTuberニュース

YouTubeでは利用規約の改訂が頻繁に行われているが、改めて利用規約に注意を払った方がよい──そう警告するのはYouTube登録者数83万人のチャンネルThe Reel Rejectsを運営するグレッグ・アルバ(Greg Alba)です。

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グレッグが直面した事態

以下の内容はこちらの動画にもとづいています。

Youtube…This Truly Is Not Right. IMPORTANT. PLEASE WATCH.

グレッグは数年前まで、コント動画やきわどいギャグ、年齢制限がついてしまうようなコンテンツを投稿していました。たとえば、自分がキャラクター「ライアン・ライト」を演じ、変態っぽいことをするというものなどです。現在の規約からすると明らかに違反で、その点にはグレッグも異論がありません。

今回、問題になったのは数年前に投稿していた動画です。

“Alissa Foolsday”というコント動画で、12万回再生されました。きわどいコントだったので年齢制限付き1になり、今では非公開にしています。しかし、作りにも凝り、お金もかけた作品だったので、自分の記念のためにダウンロードしておこうと思いました。

そこで、ビデオ・マネージャー2では動画の所在が確認できたので、ダウンロードしたいからもう一回レビューしてほしいとYouTubeに申請しました。この申請は却下され、あきらめて削除ボタンを押しました。

その5時間後、「あなたのビデオを審査した結果、利用規約に違反していると判断されたので警告します」というメールが来ました。さらにメールには「もう一度このような事態が発生した場合はストライク(一週間のチャンネルへのログイン停止)となります」とありました。どうやらYouTubeはグレッグが削除ボタンを押した動画を審査したらしいのです!

驚愕したグレッグは、クリエイター・サポートに質問をすることにしました。クリエイター・サポートの回答は「あなたのコンテンツを削除したとしてもストライクを回避できるわけではありませんません1。削除された動画に対しても利用規約を適用します。」でした。

グレッグが確認のため重ねて「削除された動画でもストライクされる可能性があるわけですか?」と聞くと、「そうです。」と返ってきました。

クリエイター・サポートによれば、削除しようが、何年前のものだろうが、利用規約が改定されれば、たった一本の動画でも、利用規約の重大な違反と認められれば警告なしにチャンネルを削除することもありうるそうです。

グレッグの告発しているような事態は今に始まったことではないという意見もあります。

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YouTubeに目をつけられたチャンネル

最近、YouTubeは動画の審査基準を厳しくしているようです。YouTubeに目をつけられるとどうなるのでしょうか?

それがYouTuberのライスガム(RiceGum)のチャンネルの事情からわかります。こちらの動画で語られています。

The No Jumper Show Ep. 95 w/ Keemstar & FouseyTUBE

ライスガムは子どもたちをいじる動画を投稿して人気になりました。一般人をいじめるような内容なので今の基準では規約違反とも考えられます。

ライスガムは2019年1月に付き合い始めた彼女3とFamily Gumというチャンネルを新たに開設しました。

ライスガムのメインチャンネルは登録者数1040万人で、Family Gumは登録者数82万でした。メインチャンネルの方がFamiliy Gumより登録者数が圧倒的に多いのですが、実はFamily Gumの方が圧倒的にCPM(1000回再生あたりの広告収入)が高く、おすすめにも入り、実入りがよかったのです。

メインチャンネルの待遇とはずいぶん違います。実は、メインチャンネルはYouTubeに抑圧されていたのでした。この事実を知ったためか、ライスガムのメインチャンネルでの投稿は本記事執筆時点で10か月ほど途絶えています。

余談になりますが、YouTubeは広告主に受けのいい動画を強力におすすめしています。広告主に受けのいい動画とは親が子供にみせてもいいと思えるような動画で、代表例がファミリーチャンネルです。ライスガムと彼女の二人の「ファミリーチャンネル」だったFamily Gumが優遇されたのは広告に適していたからです。

中小YouTuberへの差別的待遇?

ファミリーチャンネルは広告主には受けがいいかもしれませんが、ファン以外には退屈です。刺激的なコントは、ライスガムのメインチャンネルの動画のように、利用規約違反、もしくはスレスレの要素を含みがちです。

YouTubeの利用規約に適った動画と、規約違反になる動画の境界線は曖昧で、時代とともに(主に厳しくなる方向に)変化しています。ピューディパイのようなキャリアの長いYouTuberでは、過去の動画は今では不適切なものが多数です。

最近、ご意見番気取りで他人の「非倫理的な」振る舞いを批判する動画で人気を集めているh3h3productionsのイーサン・クライン(Ethan Klein)や、彼とポッドキャストをしているトリシャ・ペイタス(Trisha Paytas)も、以前は現在の基準では明らかに規約違反の投稿をしていました。

こちらは解離性同一性障害をいじっているトリシャ・ペイタスの動画です。

recovered tweet 1315409232209031174

(2021年8月12日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)

大物YouTuberは問題だらけの人ばかりです。利用規約を厳格に適用すれば有名なYouTuberはあらかた姿を消してしまうでしょう。最近の利用規約ではYouTubeの動画以外の行動も見ることになりましたが、ますます窮屈になりそうです。

大物YouTuberは例外か?

しかし、YouTubeは大物YouTuberのチャンネルを停止しようとはしていないようです。では、どうしているのでしょうか?

2020年の中頃、ピューディパイ(PewDiePie)など有名なYouTuberが多くの動画を消したことがありました。例えばこちらの記事で取り上げたフージー(Fousey)をいじっていた動画を2020年8月に消しています。

SocialBladeによるPewDiePieのチャンネルの動画再生回数のグラフ

SocialBladeによるPewDiePieのチャンネルの動画再生回数には2020年8月に大きな落ち込みがある

なぜ削除が行われたのかは不明ですが、動画内容が規約違反に該当した可能性があります。大物YouTuberはYouTube内部にコネがあり、情報を伝えられたり、特別な情報チャンネルを持っていたりします。YouTubeは2020年の中頃から規約を過去の動画にも適用して厳しく運用することに決定し、あらかじめ一部の大物YouTuberに伝えたのでしょうか。

しかしグレッグなどの中小YouTuberにはこの情報は(少なくとも明示的には)知らされておらず、今回、予想外のストライクの危険にさらされることになりました。

このような差別的待遇が続けば、コネのある大物は力を持ち続け、中小YouTuberはどんどん弱っていきます。持たざるものは未来永劫、持てるものの地位には到達できないのは現代的な差別です。

  1. 年齢制限がつくと広告収入が限定される。
  2. Studioコンテンツマネージャか。
  3. アビー・レオ(Abby Rao)。二人についてはこちらの記事を参照。
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