米国で一番話されている言語は、今や世界の共通語となった英語(アメリカ英語)です。しかし、それだけではありません。
アメリカでは今、スペイン語話者が急速に増えています。また実はフランス語やドイツ語、そしてもちろんネイティブアメリカンの言語も多くの人が話しています。
アメリカにはどのような言語があるのか、動画で見てみましょう。
スペイン語
こちらの動画では、米国民のうち4100万人がスペイン語を母語とすると紹介されています。
これは非常に大きな数です。米国民およそ3億人の10%を超えます。しかも、米国はスペイン語を母語とする人が世界で2番目に多い国なのだそうです(最多はメキシコ)。
スペイン語話者はメキシコとの国境に位置する州に多く、ニューメキシコ州では住民の47%がスペイン語話者です。
その他の言語
英語とスペイン語以外にも様々な言語がアメリカでは話されています。
フランス語(もしくはクレオール)を母語とする人は200万人います。フランス語はルイジアナを中心とする地域で話されています。これは元々この地域がフランスの植民地だったためです1。
ネイティブアメリカンの言語も話されています(約37万人)。非常に種類が多いのですが、その中で一番話者が多いのはナヴァホ語です(約18万人)。
ハワイ語はハワイの人口の0.1%が母語としています。
中国語の話者も多く、330万人います2。
ドイツ語話者は100万人います。ドイツ語はアーミッシュの言語(ペンシルベニア・ダッチ)です。
こちらの動画ではアメリカに在住する人々のうち22%は家庭では英語を話していないと紹介されています。
カリフォルニアでは44%にもなります。アメリカは言語的に非常に多様な国家なのです。
以上の言語のほかに、米国ではタガログ語、ベトナム語、アラビア語、韓国語の話者がそれぞれ100万人を超えています。
こちらの記事では、各州で英語とスペイン語以外でもっとも多くの人が話している言語が地図にまとめられています。
アメリカの公用語は
アメリカの公用語は英語でしょうか? 実はそうではありません。アメリカ合衆国には法律で決められた公用語はありません2。その理由はこの動画で説明されています。
建国の父たちは、言語を一つに決めることは非民主的だと考えたのです。
しかし、国家的統合のためには共通の言語があるのが有利です。非常に遠い将来はわかりませんが、当面は英語がその役割を果たすのは確実です。
スペイン語話者は急速に増えているため3英語話者には英語が米国の最多数派の言語でなくなることに危機感を持つ人もいます。
こちらの動画では、2008年の大統領選挙で共和党の副大統領候補になったサラ・ペイリンが「ここはアメリカだから、アメリカ語(American)を話しましょう」と言っている映像が紹介されています。
アメリカ英語(American English)ではなくアメリカ語(American)とは不思議な言い回しです。スペイン語は北アメリカでも、中央アメリカでも、南アメリカでも話されているので、スペイン語がアメリカ語かもしれません。2050年には米国内のスペイン語話者が1億3000万人を超えるという推計もあります。
本サイトでもたびたび紹介してきたYouTuberのジェームズ・チャールズやライザ・コーシーは英語が母語ですが英語・スペイン語の二言語教育を受けた人です4。若い世代にはスペイン語を流暢に話す人々が多いようです。彼ら以外のYouTuberの動画でも、スペイン語を話す人々が登場し、YouTuberたちがスペイン語で返す様子がよく出てきます。
米国はこれまでと同じように英語によって国家統合する道を選ぶのでしょうか? それとも、スペイン語との二言語併用に傾いていくのでしょうか? YouTuberたちを見ていると、どちらの道もありうる気がします。
注
- ルイジアナ(Louisiana)は「フランス王ルイ(Louis)の土地」の意味。
- 普通話以外も含む。
- 1990年から2010年にかけて人口比で倍増した。
- こちらのサイトによればスペイン語と英語の二言語教育(dual-language learning program)は30の州で提供されている。