世界史的な出来事だった2021年1月6日の議事堂襲撃事件から一年が経ちました。あのとき議事堂を襲撃した人々は当時何を考え、今何を思っているのでょうか? YouTuberのアンドリュー・キャラハンが事件の顔だったQアノン・シャーマンに取材をしています。
議事堂襲撃事件はトランプ元大統領が「2020年の大統領選挙結果は不正だ。今こそ我々が不正に立ち向かわないと、国が乗っ取られてしまう!」と扇動して発生しました。支持者たちは、トランプ大統領にあおられ国会議事堂に乱入します。事件は世界的に生放送され、関わった容疑者たちは次々に逮捕されています。トランプ政権の関係者は暴動を扇動した責任を追及されています。
容疑者のなかでも一際目を引くのはQアノン・シャーマン(本名はジェイク・アンジェリ)です。上半身は裸で毛皮を身にまとい、ヤリを持って侵入する珍奇な姿は面白おかしく報道されました。彼は今、懲役41か月を言い渡されバージニア州アレクサンドリアの刑務所にいます。
服役中のQシャーマン
こちらが2022年1月6日に公開された動画です。アンドリューは様々な興味深い人々にインタビューする動画を制作しています。
今のシャーマンは一日22時間独居房にいます。部屋の外に出られるのは2時間だけです。
人種差別主義者だと報道されているQシャーマンですが、彼の祖母によれば、アメリカ先住民シャイアン族の血が入っているそうです1。
懲役41か月の量刑について問われるとこのように応えています。
なぜ見せしめに選ばれたと思うか、という質問にこのように話しています。
アレックス・ジョーンズは右派の陰謀論者で、YouTubeやTwitterをバンされている危険人物です。
ところでシャーマンとはどのようなものか、と訊かれこう話しています。
Qシャーマンは2012年11月2日に初めてシャーマニズムに触れたそうです。「足にタトゥーを入れたとき。困難に直面したときサンダンスの儀式のような神秘的な体験をする。」と話しています。
陰謀論をまくし立てる
Qシャーマンは2020年になるまで政治に興味はなかったが、リークされたジョン・ポデスタのメールを見て真相を調べていたところQにのめり込んでいったと明かしています。ポデスタのメールは様々な陰謀論の元になったことで知られています。
ここまでのインタビューは比較的理解可能なのですが、ここから、Qシャーマンの発言は陰謀論まみれになっていきます。
最近のアメリカの陰謀論のフルコースとでも言うべき内容です。収監されたからといって反省したわけではないようです。続けてアンドリューが「ここにトランプはどのように関連しているのか?」と質問すると、このような答えが返ってきました。
その後、「小児性愛が! 子供の生き血が!」とQシャーマンはますますヒートアップします。典型的なQアノンの主張です。
Qシャーマンは「生け贄の生き血を飲むカルトがある」と話し、その理由に著名人や政治家が悪人に似ているからという話題になります。
ここでインタビュアーのアンドリューが「これは人種差別を正当化するために利用された、いわゆる血の中傷ではないですか?」と訊くと、「たしかに無実の人が中傷された事実がある。ヘブライ人はそんなことしない。」と応えています。Qシャーマンは滔々と「しかし電磁波が!」と長広舌を振るいました。
動画ではまだまだ常人には理解しがたい陰謀論が続きますが、ここまでにしておきます。Qシャーマンの発言で印象に残ったのは「悪魔(satan)崇拝と土星(saturn)崇拝は同一だ。」です。だじゃれが好きなのは陰謀論者の特徴かもしれません。
アンドリューは以前にもQの集会を取材しています。参加者の笑顔が忘れられません。
注
- 涙の道の犠牲者が先祖にいるとも話している。涙の道とはチェロキー族インディアンが合衆国政府によって強制移動させられたとき、多数死亡した出来事。