Squatterが米国で問題に フロリダでは違法になるも手厚く保護されてきた事情は

社会・政治

最近米国で、旅行や長期出張で家主が不在になった家が不法占拠された!というニュースが話題になっています。不法占拠なら立ち退かせればよいのでは?と思いますが、話は単純ではありません。というのも、不法占拠をしている彼らの権利も保護されているため、家主が退去を要求しても簡単には出てくれないのです。

特に問題に注目が集まったのは、ベネズエラからの移民が不法占拠の方法をTikTokに投稿して騒ぎになったからです。フロリダ州ではいち早く問題に対処するべく州知事が新たな法案を提出し不法占拠者の締め出しを図っています。

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スクワッター

そもそも不法占拠者(スクワッター、squatter)とは何でしょうか?1 所有していない建物に侵入して居住している者です。家主と賃貸借契約を結ばず勝手に家に居住している者でも、米国では居住権が認められる傾向があります。州によっては一定の期間居住していたと認められれば、権利が発生してしまいます。そのため家主が追い出そうとしても法的な手続きをとらなければ退去させられないのです。

ニューヨーク州では家主が警察に通報しても、不法侵入者は逮捕されず、家主が逮捕されるケースもあります。このケースでは、家主の女性は家を相続したとき、不法占拠者がいると知りました。彼らを追い出すため鍵を交換したところ、逮捕されたそうです。

Homeowners Are Getting ARRESTED For Evicting Squatters

賃借人だと主張している者がいる場合、家主は鍵の交換、公共料金の未払い、家財道具を家から出す行為は違法になるそうです。ニューヨーク州では30日間居住していたと認められれば、不法占拠者に権利が発生します。

こちらの動画ではフロリダ在住の61歳の女性の持つ家が不法占拠されたことを報じています。

New ‘squatter’ law signed in Florida as issue runs rampant nationwide

女性は「引退後、少しでも収入になれば良いと思い物件を購入していました。」と話しています。ところが2名の不法占拠者が家を乗っ取ってしまったため、40,000ドル(約610万円)の損害が出てしまいました。

不法占拠者が賃貸借契約をしていると主張していたので警察に通報しても対処してくれなかったそうです。

こちらの動画では隠居生活を送っている老夫婦の家が不法占拠をされたことを紹介しています。夫婦はダウン症の息子と余生を過ごすために家を購入していました。

7 on Your Side: "Squatter" remains in Queens home despite probe

被害に遭った男性は「不法占拠者は賃料も払わず、電気代も払わず、なぜ権利が保護されるのか理解できない」と話しています。不法占拠者は自分で住む上に、なんとその家を他人に貸し出すための広告まで出しています。すでに不法占拠者から借りて住んでいる人がいるそうです。

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対策は

多くの不法占拠者が狙うのは実は旅行中不在になった家ではありません。賃貸として掲示された物件を狙って侵入しているそうです。そのため防犯カメラで不法侵入者を即座に検知するしかありません。カメラの映像があれば不法侵入した証拠になるので、不法侵入者が賃貸借契約書を偽装していたとしても解決は早くなります。

フロリダ州は不法占拠者をいち早く退去させられるように法案を提出しています。

DeSantis Does Something RIGHT!?! #TYT

新たな法案では不法侵入し、家主から退去を命じられており、家主と賃貸借契約を結んだ事実がない場合、警察が介入して不法占拠者を退去できます。さらに賃貸借契約書を偽装した場合は軽犯罪に、家主ではないのに他者に物件を貸し出した場合は重罪となります。

TikTokでは気軽な気持ちで不法占拠したと体験談を話す動画まで投稿されています。

あまり罪の意識がないようです。スクワッターにはギャングから経済的事情で家を失ってしまった人まで、貧しい移民から法律の知識を武器に他人の資産を奪おうとする者まで多様です。

そもそもなぜ不法占拠者の権利が保護されているでしょうか? 根底には権利を自分で守らない人の権利は奪われるという考えが強いからかもしれません。

医療保険が企業の提供するもの中心なのも、自分の身は自分で守れ、国のシステムに頼るなという意識が強いからで、同じ思考法です。日本や独仏では司法の力によらず実力で権利を回復すること(自力救済)は禁止されていますが、英米法では許容されています。 コロナ禍では収入を失った人が不法占拠していたとき立ち退かせにくくする政策もあったほどです。

また、米国の歴史では有名なホームステッド法があって、アメリカの開拓者たちは土地に住み着いて耕作すれば土地を取得できていました。ホームステッド法は1980年代まで実施されていました。

開拓民が建てた国なので元の持ち主ではなく住み着いた人の権利を守るべきという考えが強いようです。つまり、これまで米国はむき出しの実力主義の国でした。しかし、考え方の転換が起こりつつあるようです。

移民排斥をトランプ氏とともに唱えた共和党のデサンティス知事がフロリダ州でこの法律を通したのも、住み着いた人の権利保護から元から住む人の権利を保護する方向への転換を象徴しています。左派が主張するより幅広い社会保障と、右派の主張する元から住む人の権利を保護とは、ともに米国がむき出しの実力行使と自助努力の国から、そうでない国の転換を指し示しているのかもしれません。

Image: The California Legislature Should Make it Easier To Evict Squatters

  1. 本記事で扱うのは米国の事情なので、そのほかの国についてはこちらを参照。
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