Netflixではカーダシアン家より『カンダサミ家のお騒がせライフ:トンデモ家族旅行』を観るべし

3.0
セレブ・エンタメ

2021年のシリーズ最新作が大きな反響を呼んだ、個性が強烈な一家の女たちのバトルが楽しい番組と言えば何でしょう? ド派手なパーティー、大きなビジネス、恋のさや当て、男たちの浮気とエンターテイメント性十分で、異国の富裕層の生活を垣間見られる、あの番組です。

そう、もちろん皆さんご存じ『カンダサミ家のお騒がせライフ』です! 「カーダシアン」じゃありません。「カンダサミ」です。

この記事は『カンダサミ家のお騒がせライフ:トンデモ家族旅行』のレビューです。

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カンダサミ家シリーズ

『カンダサミ家のお騒がせライフ:トンデモ家族旅行』はNetflixで配信中の映画です。原題“Trippin’ with the Kandasamys”で、2007年から2021年までE!で放送されていたアメリカのリアリティ番組『カーダシアン家のお騒がせのセレブライフ』の原題“Keeping up with the Kardashians”と似ています。それもそのはず、この作品はシリーズの第三作なのですが、第一作のタイトルはなんとそのものズバリ、『カンダサミ家のお騒がせライフ(Keeping up with the Kandasamys)』だったのです。

どうせタイトルのインパクトだけで売る三流のパロディだろうと思いきや1、予想以上に面白い映画でした。

第一作の『カンダサミ家のお騒がせライフ(Keeping up with the Kandasamys)』は南アフリカで2017年に公開され、1600万ランド(約1億円)の興行収入を記録しています。これは2017年の南アフリカで興行収入第一位でした。二作目の『カンダサミ家のお騒がせライフ:結婚式(Kandasamys: The Wedding)』は2019年に公開され、1890万ランド(約1.5億円)の興行収入を記録しています。

『カンダサミ家のお騒がせライフ』シリーズは隣人同士の2つの家族(ナイド家とカンダサミ家)を軸に展開しています。

両家の母親は十代の頃から知り合いで、家族同然の付き合いをしているお隣さん同士のシャンティとジェニファー。第二作でシャンティの息子(プリシェン)とジェニファーの娘(ジョディ)が結婚して、今では本当の家族になっています。かつては行き違いから険悪な仲になっていたこともありましたが、再び仲良しになったシャンティとジェニファーです。休暇に両家でリゾートへ出かけますが、そこへシャンティの義理の妹、ベビーが現れてジェニファーの夫エルヴィスが夢中になり……というストーリーです。

お約束も意外な展開もたっぷりの良質なコメディです。ということで、Netflixではカーダシアン家よりカンダサミ家を観ましょう。どうせNetflixにはカーダシアン家の最新シーズンはありませんし。

監督と俳優

3部作すべてで監督を務めているのはジャヤン・ムードゥリー(Jayan Moodley)です。

ジャヤン・ムードゥリー監督の作品がNetflixで配信されるのは『カンダサミ家のお騒がせライフ:トンデモ家族旅行』が初めてです。

Netflix Jayan Moodley

監督ジャヤン・ムードゥリー

監督は「南アフリカの映画制作者として、最新作がNetflixで公開されることに喜びを感じ、楽しみであり、幸せに思います。世界190か国に南アフリカの物語を届けられるのは光栄です。夢がかないました。」と話しています。

こちらの動画はジェニファー役のJailoshini Naidooとシャンティ役のMaeshni Naickerがインタビューに答えています。

Jailoshini Naidooがコートニー・カーダシアンにかなり似ているのが印象的です。タイトルは彼女がコートニーに似ているところから来たのかと思わされます。作中ではジェニファーはキャリアウーマンで家のインテリアもモダン、シャンティは美容師でインテリアは伝統的という対比があります。

カンダサミ家の姑、アヤを演じたMariam Bassaが撮影中に繰り出すアドリブが面白いので二人とも撮影中は笑い出さないようにするのが大変だったそうです。

こちらの動画は若い二人(プリシェン役のMadhushan Singh、ジョディ役のMishqah Parthiephal)のインタビュー。二人はジャヤン・ムドゥーリー監督の2010年の初監督作品“White Gold”にも出演しています。

ジェニファーの夫エルヴィスとシャンティの夫プレギは仲良しですが、二人の一番の関心は妻の監視の目を逃れてどうやって男たちだけで遊びに出かけるかです。こちらのインタビューでは、演じた俳優二人(Koobeshan NaidooとYugan Naidoo)は若い頃からの知り合いだと語っています。

映画の背景にあるもの

登場人物も、家の調度品も、音楽も、インド映画風ですが2、実はこの作品が制作された国はインドではありません。南アフリカ共和国です。物語の舞台は南アフリカのチャットワースで、出演者にもチャットワース出身者が複数います。

チャットワースはアパルトヘイト期に、インド系住民の街として建設されました3。南アフリカにはインド人が古くから、ある人々は奴隷として連れてこられ、別の人々はビジネスチャンスを求めて移住してきました。英連邦に組み込まれた南アフリカ連邦は同じくイギリス領インド帝国出身のインド人の移住先となり、マハトマ・ガンディーも若いころ、南アフリカで弁護士として働いていました。

インド系住民の人口は現在も、チャットワースなどアパルトヘイト期にインド系住民が住むように定められた地域に集中しています4。インド系住民は全人口の2%程度と多くはありませんが、南アフリカ共和国のアジア系住民の大半がインド系です。南アフリカには世界最大級のインド系コミュニティがあります。

インド系住民が狭い範囲に集中しているので、街はリトル・インドの様相を呈し、一見インド映画のように見える作品になりました。しかしよく見ていると端役やエキストラとして白人や黒人も登場しており、普通のインド映画とは少々違うことがわかります。

カンダサミ家シリーズ第一作はインド系南アフリカ人の映画として始めてメジャー公開され商業的に成功を収めた映画でした。世界のどこでも変わらない、新世代と旧世代の生活習慣の違い、ご近所付き合い、人々の喜びと悲しみと笑いを描いた『カンダサミ家のお騒がせライフ:トンデモ家族旅行』と、それを全世界で配信したNetflixに惜しみない拍手を送りたいと思います。

参考: ‘Trippin With the Kandasamys’ Fantastic or Forgettable?, Netflix ‘Trippin’ With The Kandasamys’: Air time, how to live stream, trailer and all you need to know about the comedy, Keeping Up with the Kandasamys

Image: Mela on SABC, The Best Of Shanthi & Jennifer | Trippin’ With The Kandasamys | Netflix

  1. IMDBで“Keeping up with the”で始まる作品検索すると非常にたくさんの映画がある。その中にはカーダシアン家以前の作品もあるので、すべてがパロディだと言っているわけではない。
  2. 英語もインド風に聞こえる。
  3. チャットワースは白人の住む地域と黒人の住む地域の緩衝地帯として設けられた。
  4. 2011年の統計ではチャットワースの住民の60%がインド系・アジア系である。
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