トランプ政権2か月でAlt-right pipelineがそこかしこにと指摘する人々 本当?

社会・政治

第二次トランプ政権が発足して2か月がたちました。ほぼプロジェクト2025で宣言されていた内容が実行に移されていますが、民主党に投票した人々は現実を受け入れるのがつらすぎるようです。

最近、左派のジャーナリストやYouTuberが「ネットで蔓延するオルタナ右翼パイプライン(Alt-right pipeline)コンテンツ」に警鐘を鳴らしています。オルタナ右翼パイプラインとは、何の気なしに見ているだけで洗脳されてオルタナ右翼になってしまうコンテンツ、ということのようです。

女性セレブを批判するのは、Teaチャンネルを視聴するのは、裁判を解説する弁護士YouTuberを視聴するのは、TikTokのトラッド・ワイフ動画を視聴するのは……すべてオルタナ右翼パイプラインに繋がっている、というのが彼らの説です。

彼らがオルタナ右翼パイプラインだとするコンテンツは果たしてそうなのか、動画と一緒に紹介します。

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ブレイク・ライヴリー批判は…

こちらのTikTok動画では「フェミニンな洋服や自然派ライフスタイル、トラッドワイフ系のコンテンツは保守的な思想に行き着く。ポップカルチャーでウワサを広めるキャンディス・オーウェンス、ペレス・ヒルトン、ビー・ベターはみんな極右の思想を持ってる。家族チャンネルのレブラント家もそう。TikTokのトラッド・ワイフ系のナラ・スミスやバレリーナ・ファームもそう。みんなは認めたがらないけど歌手のラナ・デル・レイもそう。」と話しています。

動画投稿者の意図は理解できますが、これらをしている人はすべてこうと断定する物言いはいただけません。動画のコメント欄では「私はリベラルのフェミニストだけど、女性らしい服装が好き。女性らしい服装が保守的だって考え方はどうなの。」と書き込みがありました。

こちらのフリージャーナリスト、テイラー・ロレンズの動画でも「ブレイク・ライヴリーを批判するチャンネルはすべて女性蔑視的だとなぜ気付かないのか」と持論を展開しています。

The Alt-Right Pipeline for Women

動画では(ジョニー・デップ対アンバー・ハード裁判で解説をして有名になった弁護士YouTuberの)エミリー・D・ベイカーは共和党支持者で、ミーガン・ジ・スタリオン、ブリアナ・テイラーが被害に遭った際はドラッグディーラーとつるむのが悪いと話していたのを引きあいに出し「彼女のコンテンツを見て政治的な影響はないと話すのは現実を見ていない」との主張をしています。 とにかく、女性を批判する動画を投稿しているチャンネルはすべて女性蔑視だと話しています。

訴状を読み、動向を逐一動画にしているクエリエイターはゴシップYouTuberやゴシップTikTokerですが、なかでも多くの素人ジャーナリストが訴状を読んでライヴリー批判をしています。それらの状況をみたGlamourの編集者は「素人ママさん探偵は黙れ」との旨の記事を出し、話題になっていました。

読者から批判を浴びた編集者は釈明として「要は、なんでクリエイターがさまざまなウワサを流して、過激な説を打ち立てて、いつまでもライヴリー批判をしているかと言うと、お金儲けのためでしょう。」と投稿していました。

こちらはNBCを解雇され、フリージャーナリストになったキャット・テンバージの投稿です。

多くの人が指摘しているようにブレイク・ライヴリーやアンバー・ハードの訴訟は、リベラル思想からオルタナ右翼への誘導に利用されます、特に女性たちが標的になる。メディア操作と女性差別に基づく現代の中傷キャンペーンの実験台に女性セレブが利用されています。

As many people have pointed out, cases like Blake Lively and Amber Heard function as a liberal to alt-right pipeline, especially for women. Celebrity women are test subjects for modern smear campaign tactics based on media manipulation and misogyny.
spitfirenews.com/p/the-blake-…

[image or embed]

— Kat Tenbarge (@kattenbarge.bsky.social) February 25, 2025 at 9:15 AM

なぜ訴状を読み、ブレイク・ライヴリーの主張におかしな点があると指摘し、ジャスティン・バルドーニを応援すると右翼になるのか、発想が飛躍しすぎて理解できません。

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反論の声

テイラー・ロレンズやステファニー・マクニールの主張を受けて、ジャスティン・バルドーニの擁護をしている人は反論の動画を投稿しています。

「テイラー・ロレンズはどこかの出版社をクビになった人でしょう? 私はあなたのような人が一番嫌い。自分とは異なる意見の人たちが気に入らないからと言って、右翼のプロパガンダをしている人たちって中傷するのは間違ってる。私たちは事実を確認したいの。政治的な主張なんて一切していないし、ジャスティンを擁護している人には左派も右派も男性もアメリカの政治とは無関係の外国の人もたくさんいる。」と反論しています。

さらに現代ではジャーナリストが持っている情報と一般人が持っている情報に差がないので、SNSで素人探偵や素人ジャーナリストが跋扈している状況も気に入らないのだろうと指摘しています。

こちらは、実際に政治的に右翼のYouTuberが反論しています。

You’re On The Alt-Right Pipeline.

彼女は「ポップカルチャーのネタを私が取り上げると、視聴者を白人至上主義のナチに変身させるらしいよ!」と話しています。

実際ブレイク・ライヴリーを批判している人の中には政治的にさまざまな人がいるはずですが、特殊なアメリカのジャーナリストは「ライブリー批判は政治的右翼によるもの」という説を推しています。彼女たちの手法を見ていると、分断は広がる一方なのだなと感じます。また、アメリカのパラノイアは底知れぬポテンシャルを持っているのだなと思わされます。

余談ですが、テイラー・ロレンズはデイヴィッド・エンリッチをゲストに呼び、ニューヨーク・タイムズ対サリバン事件の結果で、これまで保護されてきたジャーナリストたちが、今後の法改正によっては報道の自由が失われる可能性があると紹介しています(動画)。セレブの話題より、こちらの動画の方が話題になるべきだと思いますが、視聴者の関心は違うようです。

Glamourに雇われているステファニー・マクニールの指摘するように、ワシントン・ポストをやめたテイラー・ロレンズ、NBCをクビになったキャット・テンバージは定収入を失い、センセーショナリズムに屈しないと生きていけないのかもしれません。ジャーナリストにとって多難な時代です。

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