メディア会社のバースツール・スポーツ(Barstool Sports)の創設者デーブ・ポートノイ(Dave Portnoy)が女性に暴行している……という暴露記事が公開され話題になっています。記事を出したのは、ビジネス・インサイダー(INSIDER)です。
ポートノイ氏は「このような事実を歪曲した記事は許しがたい。」と反論しています。ポートノイ氏はSNSでビジネス・インサイダーの記者やCEOを名指しで攻撃して、徹底抗戦の姿勢を見せています。
いずれも強固な支持層がいるメディア会社の対決で、互いを中傷をしてライバル潰しの様相を呈しています。
暴露記事?
こちらが2021年11月4日に公開された記事の部分的な内容を紹介しているツイートです。記事本体は有料です。
(2024年12月1日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
記者は8か月間にわたり、ポートノイ氏と関わりがある女性に聞き込みをしていました。大きく報道されているのは2名の女性に対する疑惑です。女性たちはいずれも20歳頃だとされています。
一人目の告発者はマディソン(偽名)です。マディソンは1年半前にマサチューセッツ州ナンタケットにあるポートノイ氏の自宅に呼ばれて性行為をしたが、「無断で撮影され行為中に首を絞められたので嫌だった。止めて!痛い!と言っても聞き入れてもらえなかった。」と明かしています。
二人目の告発者はアリソン(偽名)です。こちらもマサチューセッツ州ナンタケットにあるポートノイ氏の自宅に呼ばれて性行為をしたが、「キスを始めたときには行為をする気は失せたが、ポートノイ氏は続けた。終わった後は家から追い出された。利用された気分。」と話しています。アリソンはポートノイ氏と一緒に写っている写真を撮っていました。数日後、アリソンはうつ状態になり病院に行ったと明かしています。アリソンは「暴行されたとは思わないが、傷ついた」と話しています。
さらに、炎上系インフルエンサーのエヴァ・ルイーズ(Ava Louise)がポートノイ氏とメッセージのやりとりをしたことまで書かれています。エヴァは新型コロナウイルスのパンデミックが発生した直後に「#コロナウイルス・チャレンジ」で便座を舐めた動画を投稿して有名になりました。他にも「美容YouTuberのジェフリー・スターとカニエ・ウェストは愛人関係だ」とでっち上げを拡散した悪名高い人物でもあります。
エヴァは、「19歳のとき、デイブからメッセージを受け取った。ヤってないよ。」とだけ話しています1。
ビジネス・インサイダーの記事は、ポートノイ氏が過去に放った女性蔑視的な発言や人種差別的な発言を挙げ連ね、ポートノイ氏の流出したセックス動画にふれ、かなり印象が悪くなるように書かれています。その他、ポートノイ氏がコンテンツを批判する人々にファンをけしかけて攻撃させていることも書かれていますが、ここでは割愛します。この件だけで独立した記事にした方が社会的意味は大きいと思うのですが、性的暴行疑惑と抱き合わせにしないと読まれないとビジネス・インサイダー編集部は判断したようです。
ポートノイ氏はバースツール・スポーツの創業者ではあるが、現在の経営陣からは煙たがられているとも書いています。これに関連して、数年前にバースツール・スポーツのCEOに女性が抜擢され、それに伴って“Call Her Daddy”などの「女性ライフスタイルポッドキャスト」が始まった、とあたかも素晴らしいことのように書かれています。しかし、“Call Her Daddy”は美女二人(ケンカ分かれしたので現在は一人)が性的に奔放な私生活について話す内容で、相変わらず男に都合のいい女を提供しているとも言えます。女性社長が会社をよくしたというストーリーにはなっておらず、ビジネス・インサイダーの暴露記事はちぐはぐな内容です。
ポートノイ氏の反論
記事が公開され、話題になるとポートノイ氏はTwitterで反論を開始します。
(2023年1月22日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)
ポートノイ氏はこのように話しています。
抄訳:一人目の女性について。その人とした行為は100%の同意に基づいていた。行為の後、性格的な相性が悪いことが判明して、連絡はとっていない。記事に書かれているような悪質な行為はしていない。もし防犯カメラで撮影されていたなら、私がひどいことをしている様子は映っていないと断言する。
二人目の女性について。彼女からメッセージを受け取り、彼女が家にやってきた。彼女は警察に通報していないし、私は違法行為をしていないし、事情聴取も受けていない。その後、女性が落ち込んでいたなんて記事を読むまで知るよしもなかった。女性から何回も好意的なメッセージがきていたから(メッセージを公開)。
この記者は八か月間も私の周辺を嗅ぎ回しておいて、結局書いたのは根拠の乏しい内容だ。ビジネス・インサイダーはこのような中傷記事を出して、人の人生を破滅に追い込んでも気にしないんだ。
ポートノイ氏はその後も複数のツイートで反論をしています。その後、ビジネス・インサイダーのCEOであるヘンリー・ブロジェットへの攻撃も始めています。
I’ve been researching that scumbag @hblodget and I couldn’t help notice his excuse why he can’t explain his SEC crimes
“Later, when he was inclined to argue his case, the settlement terms prevented it.”
Isn’t that always the case? The guilty shut up and make excuses.
— Dave Portnoy (@stoolpresidente) November 6, 2021
「何も言わないことが和解条件になっているので言えない。」とは、こちらのWIREDの記事からの引用です。顧客にクソ株を売りつけた件でヘンリー・ブロジェットは証券業界を追放されています。WIREDの記事もINSIDERの記事と同じ、メディア会社がメディア会社のトップを攻撃する内容です。
さらにハッシュタグで「ビジネス・インサイダーの購読解除」、「モーニング・ブリューの購読解除2」をツイートしています。
#CancelBusinessInsider #CancelMorningBrew #RelegateRico
— Dave Portnoy (@stoolpresidente) November 7, 2021
記者を批判するポートノイ氏に、ビジネス・インサイダーの記者はこのようにツイートしています。
他の記者はバースツール・スポーツのポッドキャストを聴くことが、間接的にポートノイ氏を支援していることになるので、「視聴を止めましょう」と呼びかけています。
(2024年12月1日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
女性へ同意なく暴行した疑惑が浮上しているポートノイ氏ですが、ポートノイ氏の支持者やバースツール・スポーツのファンには特に影響がなさそうです。ビジネス・インサイダーの購読者とバースツール・スポーツのファン層はあまりにも違うように思われます。
いずれのメディア会社も卑怯な手でライバル潰しをしようとしているように感じられます。この騒動に関わった登場人物に潔白な人は一人もいません。
Image: Trey’s Trades