2倍速という病 YouTubeの倍速再生に慣れると映画・ドラマがだるい

おもしろネタ

これはYouTuberの職業病なのでしょうか? 動画が倍速でないと我慢できない人がいるようです。

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なぜ倍速?

ほかの人の動画にコメントをするジャンル(コメンタリー動画)を手がけるYouTuberは、同じ問題についての多くの動画を観て論評します。たくさんの動画を観る必要がありますが、そんなときに便利なのがYouTubeの動画倍速再生機能です。YouTube標準の機能だと2倍までですが、ウェブブラウザにプラグインを導入すればもっと高速に再生できるようになります。

倍速で再生したくなるのは同じような動画をたくさん観るときだけではありません。美容YouTuberは化粧をしながらゆったりしゃべることが多く、しかもあまり濃い内容はありません。倍速でもじゅうぶんです1

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(2021年9月19日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)

倍速で再生したくなる原因は、YouTubeの方針とそれに適応したYouTuberの行動にもあります。YouTubeでは収益化された(広告のつく)動画の場合、10分以上だと長い広告をつけられ、収益が高まります。そのため、YouTuber同士のけんかを扱うTeaチャンネルなどでは、本来5分程度で話せる内容を引き延ばして10分を超す動画に仕立てることが多いようです。視聴者側からすると無駄話を聞かされて、自分の時間を奪われているように感じるのですが、YouTuberにも自分たちの理屈があるのです。

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YouTuberたちの証言

コメンタリーチャンネルのアンジェリカ(Angelika Oles)の動画です。8分8秒から「YouTube動画は2倍速で見ている」と話しています。すぐに飽きるので、早く情報を得たいと思うそうです。

Zoella and Alfie Deyes are back at it again…

アニメチャンネルのTheOdd1sOutも同様の発言をしています。動画5分45秒から「YouTube動画は2倍速で見ている」と話しています。そのため、Netflixの動画を見ると展開がゆっくりに感じてしまうそうです。

The Netflix Series That Was Also Scary for Adult James

ピューディパイの動画です。こちらの動画10分から、視聴者に「YouTuberがするイラッとすることは何?」と聞いたところです。「YouTuberがゆっくり話すこと」と答えた内容を紹介しています。

YouTube is Stinky

ピューディパイも「YouTube動画は2倍速で見ているが、それでも遅く感じるYouTuberがいる」と話しています。意味もなく内容もないのに無駄に動画を長くするYouTuberがいることを指摘しています。

Twitterでのアンケートはこのような結果になっています。

2倍速以上で見る人もいるようです。

行き着く先は?

倍速に慣れてくると、どの動画も倍速で観るようになります。

TheOdd1sOutも言っていますが、Netflixなどの映画やドラマも倍速で再生したくなります。ドラマの導入部の描写に我慢できなくなり、早く本題に入ってくれと思うようになります。どんどんせっかちになります。

これはYouTube/YouTuberだけの病理なのでしょうか? おそらく、そうではないでしょう。利用者からの声に押されて、Netflixは再生速度の調節機能を試験導入しました。

Netflix angers film-makers with 'insulting' speed-up function
Director Judd Apatow calls the move "ridiculous and insulting" and actor Aaron Paul also speaks out.

映画製作者からは批判の声が上がっていますが、利用者の声の方が通ることになるのではないでしょうか。

素早く本題に入ることは時代の要請のようです。

A brief history of TV shows' opening credit sequences
Today's opening sequences are elaborate works of art. But it hasn't always been this way.

こちらの記事には、オープニングクレジットが時代とともに長くなったり短くなったりした経緯がまとめられています。2000年代にオープニングは短くなり、オープニングがない番組がほとんどになりました。近年の動画配信サービスではCMを入れる必要がない分オープニングを長くできているそうですが、Netflixの動きは、いずれオープニングが短くなる可能性があることを示しているかもしれません。

人の使える時間は有限です。視聴率調査会社Nielsenのレポートによれば、2019年第1四半期の米国人のメディア視聴時間は1日あたり11時間27分で、2018年の同時期の11時間6分と比べて21分伸びていますが、もちろん今後これが大幅に伸びることはありえません。ネットのメディアの視聴時間は4時間28分から5時13分に大きく伸びていますが、TV・ラジオ・DVDの視聴がその分減っています。

動画の供給が増えても1日の時間が増えるわけではありません。高速再生でたくさん観ようとするのは当然でしょう。動画を長くして視聴時間を延ばしたいYouTube/YouTuberと時間を節約して多くの動画を観たい視聴者のせめぎ合いはどこに決着するのでしょうか?

  1. 本サイトでもたびたび取り上げてきたお騒がせ姐さんトリシャ・ペイタスは動画でタイトルと無関係なことばかり話す。そこで、“I watched Trisha Paytas’s new video titled “…” so you dont have to!!!”というような抜粋動画が作られる。こちらは要点をまとめた動画を投稿しているチャンネル“fix it in post”。

    (2020年9月6日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)

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