『ルーニー・テューンズ』のバッグス・バニー(Bugs Bunny)は人気キャラクターです。ミッキーマウスやトムとジェリーと並び、アメリカ製アニメの古典的キャラクターとして日本でも親しまれています。
(2021年4月12日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
『ルーニー・テューンズ』に登場する女の子のウサギがローラ・バニー(Lola Bunny)です。バッグス・バニーの交際相手として登場します。キャラクターを紹介するサイトでは運動神経抜群な上に魅惑的と紹介されています1。そんなローラ・バニーの最新作での姿の変化に驚き、怒り、悲しみの声が出ているので紹介します。
ローラ・バニーは変わってしまった!
Yall kno dam well lola bunny was hot asf in space jam amd yall really took that away from us pic.twitter.com/7zPdJyg1hJ
— mocha_luv (@im_mocha_) March 4, 2021
魅力的なキャラクターです。「奪われる」とはどういうことでしょう?
話題の発端は2021年公開の映画『スペース・ジャム ア・ニュー・レガシー』のローラ・バニーのデザインが公開されたことです。この映画はNBA選手レブロン・ジェームズと『ルーニー・テューンズ』のキャラクターが共演する作品です。マイケル・ジョーダンが主演した1996年公開の映画『スペース・ジャム』の続編として構想されていましたが、25年越しで公開されることになりました。
A First Look at Lola Bunny in ‘SPACE JAM 2: A NEW LEGACY’ has been revealed. pic.twitter.com/8Q99bqEyir
— Cartoon Crave (@thecartooncrave) March 4, 2021
CGと実写が融合した魅力的な作品のように見えますが……反応は微妙なようです。
左が1996年のデザイン、右が2021年のデザインです(正確には左はオリジナルではなくファンアート)。
The Pandemic hit Lola Bunny hard. pic.twitter.com/zUg6JruE0n
— Liz Katz (@LizKatzOfficial) March 5, 2021
運動不足でお尻だけ大きくなったのか、栄養が偏って胸が減ったのか、ということでしょう。
which way western man pic.twitter.com/OcgPD1mdg6
— gig economy chemtrail pilot (@uncledoomer) March 6, 2021
失望しているファンが多いようです。
元々ローラ・バニーのどこが人気だったのか?
1992年の『スペース・ジャム』で初登場したローラ・バニーの人気の一因は、セクシーさにあります。
Millennials and gen z when the Lola bunny scene come in pic.twitter.com/HjFZGrGz25
— Corna King (@ElCornaKing) March 4, 2021
おそらくローラ・バニーは誰からも人気のキャラクターですが、これは主に男の子の目線です。ローラ・バニーで何かに目覚めた男の子(と一部の女の子)が多いのでしょう。少年の日の甘酸っぱい思い出を汚されたお兄さんたちが怒るのも無理はありません。
penguinz0ことチャーリーの動画です。
冒頭から、
と何かが全開です3。
しかし、本当にローラ・バニーはエロキャラなのでしょうか? 確かに『スペース・ジャム』ではかなりセクシーな描かれ方をされていますが、思い出補正もありそうです。左が本当のローラ、右が記憶の中のローラだという指摘です。
(2022年9月25日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
ここまで来ると、少年の日の甘酸っぱい思い出とは少し違った何かになってきます。当然のことながら、彼女はファーリー(ケモナー)の人々から非常に人気があります。ファンアートをいくつか紹介します。ご嘉納ください。1個目が1996年の、2個目と3個目が2021年のデザインです。
(2024年6月8日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
No enough Lola Bunny yet! pic.twitter.com/Rgq7U8wxCr
— Gallogally (@GallyStudio) March 5, 2021
Lola Bunny, but the Zach Snyder cut 😜 pic.twitter.com/7bpJBMDvK6
— Groove1121 (@groove11211) March 7, 2021
コスプレもあります。
Cuz I love me some #lolabunny space jam hotness LOLLL pic.twitter.com/ahCronTMGW
— Holly Wolf (@HollytWolf) March 5, 2021
ファンアートやコスプレからは、ローラ・バニーがどういった点で人気だったのか、また現在のローラ・バニーがその点でどれほど期待外れなのかが、わかります。
社会の変化、キャラクターの変化、そして社会の変化
このように、以前のローラ・バニーには強い需要がありますが、制作陣は方針転換をすることにしました。それは(チャーリーが指摘しているとおり)子ども向けのアニメに過度に性的なキャラクターが登場するのはふさわしくない、という考えが近年強まってきたからです。監督がこちらの記事のインタビューでそのように述べています。
キャラクター造形の変化は社会の変化を反映しているようです。
これは今回の騒ぎ以前に作られた動画ですが、ローラ・バニーの変遷について語られています。
1996年の『スペース・ジャム』のローラ・バニーも当初は男の子っぽいキャラクターとしてデザインされ、その後、女の子の要素を強めたそうです。2011年の『ルーニー・テューンズ・ショー』ではセクシーさは抑えられ、不思議ちゃんになりました。時代とともに変わっているようです。
こんなツイートもあります。
I know the new Lola Bunny is kinda a downgrade but Bugs really let himself go pic.twitter.com/TJBpdyRF72
— Larry from Bigg Peener Gangg (@biggpeenerlarry) March 5, 2021
右端の冗談みたいなバッグス・バニーは偽物ではありません。アニメキャラクターは時代とともに変化します。主人公のバッグス・バニーの変化を追ったのがこちらの動画です。
こちらの動画サムネにもこの胴長短足のバッグス・バニーが入っています。動画8:58で登場します。バッグス・バニーは1938年にプロトタイプが生まれた歴史の長いキャラクターです。
こちらのInternet Todayの動画では、「アニメのセクシーなキャラクターというアメリカの伝統を破壊しようとする左派に対抗すべし」と右派の政治家は訴えたらいいんじゃないの、と冗談を言っています。
アニメキャラクターの造形を一々(政治的な意味で)騒ぎ立てなくてもいいのでは?というトーンです。この騒ぎの参加者の多くが面白半分で騒いでいるだけなのは確かです。
過度に性的なのは女性蔑視的だという見方もできます。しかし、旧作の(過度かどうかはともかく、それなりに性的な)ローラ・バニーも決して女性蔑視的なキャラクターではなかったという意見もあります。
Do you like the new design of lola bunny? personally I much preferred her before. She represented the breaking of the stereotype of the “beautiful and stupid” woman. “Never Call Me Doll Again” She was the strongest since Michael Jordan, don’t forget that. 🔥 #LolaBunny #SpaceJam2 pic.twitter.com/YtgeK9XZBy
— soryu_geggy_cosplay (@soryu_geggy) March 7, 2021
制作陣はアニメの中で魅力的に描かれているキャラクターの胸を過度に強調すると、少女たちに整形しなければと思わせてしまうことを恐れたのかもしれません5。
ただし、ミレニアルとZ世代はさほど胸に注目せず、尻に注目する傾向があるとも言われているので、需要に合わせただけという側面もあり得ます。たとえばこちらの画像はその例です。
(2021年5月2日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
体型の趣味が変化していることはこちらの記事でも取り上げました。
アニメは時代を反映しますが、アニメは時代に影響を与えます。1996年のローラ・バニーで何かに目覚めた世代の嘆きをよそに、新たな世代は2021年のローラ・バニーで新たな何かに目覚めるのかもしれません。
注
- “She is highly athletic while also incredibly seductive in her behavior. ”とある。
- 両方を合わせておよそ1980年代以降生まれを指す。
- この人はいつもそう。
- 作中の台詞。
- 海外YouTuberの間では豊胸手術はありふれている。