先日、セレブリティ・タトゥーアーティストで起業家のキャットヴォンディー(Kat Von D)が化粧品ブランドKVDビューティーを手放したと発表されました。
2008年にセフォラからブランド“Kat Von D Beauty”を展開していました。報道後、ブランド名は“KVD Vegan Beauty”に変更されています。
思い、意見、批判などは? 商品を買ってもキャットヴォンディー個人の利益にならないなら、また購入を検討する? それともオーナーが変わったとしても、このブランドとは関わらない?
?Kat Von D just sold the last of her cosmetic company shares to Kendo Brands Inc.
thoughts, comments, criticisms? will you buy from @katvondbeauty now that the money from it is no longer going to support her in any way? or is it a solid no on the entire brand itself regardless? pic.twitter.com/UIcLFpls6u
— Margo “That Blue-Haired Pixie” Indigo ♡ (@Margolndigo) January 16, 2020
近年キャットヴォンディーは、反ユダヤ主義だ、反ワクチン派だとウワサされていました。そのウワサが流れるたびに、消費者の間で不買活動が広がり、評判は悪化の一途をたどっていました。売行きが悪いのか、セフォラの公式サイトでもセールになり、TJ Maxx1やMarshalls2で売られるようになりました。
悪いイメージを払拭しようと、キャットヴォンディーは動画を公開していました。2019年3月14日に公開された『私はナチじゃない。私は反ワクチン派ではない。(I am NOT a nazi. I am NOT anti-vaxx.)』です。
(2021年5月2日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)
要点は以下のとおりです。
- 私はラテン系だからナチではない。
- リアリティ番組の『マイアミ・インク』の出演者に嫌がらせをされていた3。「キャットヴォンディーはナチ」という根拠ないウワサを流したのはこの人だと思う。
- 最初の子どもを妊娠中、色んな情報を収集していた。今後は小児科医の助言をもらいながら子どもを育てていく。子どもの育て方については、個人的なことなので公にはしない方針。
このキャットヴォンディーの動画を検証しているジェン(Jen Luvs Reviews)の動画です。2019年3月19日に公開された動画です。人気ブランドだったキャットヴォンディーのイメージが悪化した理由を列挙しています。
ジェンは以下の点を話しています。
- 「ラテン系だから、ナチではない」の理屈が理解できない。
- アミ・ジェームズ4との確執を話しているが、他にもキャットヴォンディーが「反ユダヤ主義」と言われる根拠はある。
- 動画2分56秒から。キャットヴォンディーは「反ユダヤ主義」だと疑惑があるジェシー・ジェームズ5と交際していた。
- 動画3分55秒から。キャットヴォンディーの現在の夫は首に(蓮の花のモチーフの上)に左卍のタトゥーを入れている。卍は仏教やヒンドゥー教では幸運や繁栄を意味するが、このような際どいタトゥーを入れている人とキャットヴォンディーは結婚した。
- 動画5分48秒から。KVDが発表したリップスティックの名前が“Selektion”だった。これは第二次世界大戦中にドイツが使用していた言葉6。
- 動画7分16秒から。KVDのInstagram投稿が不適切だった。コンシーラーの後方に綿畑が広がっている写真。キャプションは「“Lock-It”コンシーラーにすべての仕事を任せましょう。」だった。奴隷制を想起させるような絵文字とキャプションに批判の声があった7。
- 反ワクチンの疑惑について「小児科医の助言に従う」と話しているが、具体的なキャットヴォンディーの意見は分からなかった。
左下の色は“Selektion”と表記されています。
2018年にキャットヴォンディーは第一子を出産しています。
ジェンは動画の最後に「キャットヴォンディーは何の目的で動画を公開したのだろう? 不祥事が相次ぎブランドのイメージが悪くなっているので歯止めをかけようとしたのか?」と話していました。ブランドを手放したと報道されている今から思えば、この意見の通りだったのでしょう。
キャットヴォンディー離脱の反響
キャットヴォンディーがブランドを手放した報道を受けて、Twitterではこのような会話がされていました。
ふむ。所有者が変わったから、今後KVDをまた使うか検討している人はいる?
(2023年9月2日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
KVD Vegan Beautyの公式アカウントが答えています。
質問に答えます。発表をもちまして、今後キャットにはいかなる報酬も支払われませんし(ロイヤリティなどその他)彼女はブランドの運営に一切関与しません。Kendoがブランドをすべて所有し運営していきます。
(2021年2月28日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
美容YouTuberのサマンサ(Samantha Ravndahl)です。
Kendoに問い合わせたら、キャットヴォンディーには、いかなるロイヤリティも発生しないし支払いもされないって。
(2021年6月13日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
さまざまな意見がありますが、キャットヴォンディーの名前が付いた商品はオーナーが変わったとしても購入しないという意見が目立ちました。そこまで嫌われているのに驚きます。
キャットヴォンディーから切り離された、新たなコスメブランド『KVDヴィーガン・ビューティー』ですが、さっそく雲行きが怪しいようです。
KVDは人物ではない?
『KVDヴィーガン・ビューティー』のInstagramアカウントが「KVDのイニシャルは特定の人物と関わりはない」と発表しました。
(2021年2月28日:削除されたInstagram投稿をキャプチャ画像で置き換えました。)
この発表に冷ややかな投稿をしているTeaチャンネルのHere For The Teaです。
TeaチャンネルのTea Spillの投稿です。
彼ら会議室で「う〜む。KVDに該当する三文字ってなんだろうね」って話したのか。いっそのこと古いパッケージを売り切ってから、新しいパッケージで再始動したら良かったのでは。
They really sat in a meeting and were like hmmm what 3 words start with KVD. They should’ve just fully rebranded once all old packaging was used up pic.twitter.com/xpZz1FjXWy
— positiviᵗᵉᵃ (@TeaSpillYT) January 28, 2020
「人名の頭文字ではありません」って? 本気で言ってるの? 有名ブランドだからKVDを使いたかったのかもしれないけど、ブランド名は変更するべきだよね。失笑
(2020年3月8日:非公開になったツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
YouTuberのSkelotimが動画にしています。
悪いイメージは払拭しつつ、よく浸透した名前を残したい新経営陣の苦肉の策はうまくいくのでしょうか。
キャットヴォンディーとの関係が完全に切れているなら、同一人物が他人のふりをしているポール・ジマーとトロイ・ベッカーの騒動よりはまともかもしれません。
【2020年2月12日】削除されたInstagram投稿をキャプチャ画像で置き換えました。
Image: Truth Sleuth
注
- TJ Maxxはディスカウントストアのチェーン店。
- MarshallsはTJ Maxxと同じくディスカウントストアのチェーン店。TJ Maxxと同じ系列のTJX Companiesが親会社。
- キャットヴォンディーは「自分が出演し始めて『マイアミ・インク』の視聴率が上がった、その後スピンオフ番組『LA Ink』を開始することになった。」と当時の自身の人気ぶりを説明するくだりがある。
- Ami Jamesはマイアミ・インクの出演者の一人。ジェンいわく、この人がキャットヴォンディーと確執があったようだ。
- Jesse Jamesは女優サンドラ・ブルックの元夫。
- ドイツ語のSelektionは生物学の「自然選択」を意味する。ナチス政権が収容所のユダヤ人の「選別」の意味で使ったとされる。ただし、現代でも「自然選択」の意味では普通に使われている(参考)。また、英語の一般名詞のcをkで置き換えて商標にするのはKeem Kosmeticsなどでも見られる。
- ただし、綿花の写真はこのころInstagramやPinterestなどで流行だった。
- 再帰的頭字語(recursive acronym)的な名称になっている。