YouTubeは密かにYouTuberを格付けし、誰を優遇し誰を冷遇するか決めていた! 人気動画になるかどうかはYouTubeの気分次第。
海外YouTuberの間で話題が沸騰していたP-Scoreについて紹介します。YouTubeの収入源は動画の広告です。YouTubeが安定して稼ぐためには、広告主が安心して広告を付けられるようにする必要があります。またクリエイターにとっても、自分のチャンネルや動画に広告が付くかどうかは、収入に直結するので重大な関心事です。
今回はクリエイターたちがまとめたP-Scoreについてのデータを紹介します。YouTubeが広告を付けるにふさわしいチャンネルをランク付けしていた痕跡が見つけられたのです。P-Scoreはどのような基準で評価されているのでしょう。
執筆時、すでにHTMLソースは変更され、見つけられなくなっています。以下の内容は、検証された当時の仮説です。
P-Scoreって?
こちらは2019年4月に投稿されたYouTube Google Preferredの公式動画です。
要約すると以下のとおりです。
P-Scoreとは、選考スコア1を指す。広告を優先的に付けるチャンネルはP-Scoreが高い。P-Scoreを決めるにあたっては判断基準が設けられている。
- Popularity:視聴時間が長い
- Passion:視聴者のエンゲージメント率が高い(コメントが多い、高評価、リピート再生、シェアなど)
- Protection:動画内容が広告に相応しい(規約に則した内容である、ファミリーフレンドリー)
- Platform:大型スクリーン、テレビで視聴されている
- Production:洗練されたカメラワーク、映像技術が優れている、クオリティが高い
これらの評価は定期的に更新される。
再生回数わずか数千回のこの動画内容がいかに重要か、ほとんどのクリエイターたちは気付いていませんでした。
今回の騒動の3週間前に、YouTuberのNerd Cityはコメントを残していました。
Twitterでざわつく
今回のP-Scoreの告発に至ったきっかけはMcJuggerNuggetsのツイートでした2。関連ツイートは投稿後しばらくして削除されています。YouTubeに気づかれて痕跡を消される(ソースの中のP-Scoreが隠される)前に検証を進めるためです。
速報:McJuggerNuggetsがYouTubeが行っているクリエイターのレイティングのスクリーンショットを公開した。動画ページのHTMLを見れば誰でも見つけられる。
最初にレイティングのアルゴリズムの痕跡を発見したのはNerd Cityとそのチームだった。
こちらがMcJuggerNuggetsのツイートです。まとめて訳しています。
クリエイターのみんな、動画ページのHTMLで“ContentLabel”で検索してみて。
レイティングにはG、PG、Teen、MA、Xがある。
“channel scores”もある。理由は不明。
“X”は僕の非収益化された動画に付いていた。とうぜん視聴に影響があるだろうが、残念なことにYouTubeから説明はない。動画の表示方法やCPM3にも多大な影響を及ぼすはずだ。
僕のチャンネルスコアは以下のとおりだよ。いったいどんな評価になってるんだ。
こちらがMcJuggerNuggetsが公開していたチャンネルスコアです。
告発動画の投稿
検証に関わったクリエイターはNicholas DeOrio、Bowblax、JoshPescatore、SubToOptimusです。200チャンネルの動画ページのHTMLを解析しレポートにまとめています。
こちらはレポートの結果について説明しているBowblaxの動画です。
要約するとこのような内容です。
同じチャンネルでもどの地域から見るかによってスコアは変わる。Bowblaxはカナダのクリエイターなので、スコアを抽出する際、アメリカ在住のクリエイターと結果に差が出た。VPNを利用しアメリカでデータを抽出すると結果は同じになった。
ほとんどのYouTuberの動画はTeen指定されている。
複数の動画ページのHTMLに“throttling”という単語が見受けられた。収益化されている動画に付いているが、2つの仮説が考えられる。
チャンネルの上位リスト
200チャンネルのP-Scoreのランクを公開しています。上位は軒並みテレビ関連チャンネルばかりです。
上位のチャンネルはこのようになっています。
唯一の個人チャンネルはウィル・スミスです。テレビ関連チャンネルが並ぶなか異例のランク入りですが、YouTubeからすれば理にかなっています。その理由は『あのハリウッドセレブのYouTube進出は資金援助のたまもの?YouTubeがひいきするセレブたち』でも紹介しています。
P-Scoreについてのレポートです。レポートでは、“throttling”はYouTubeが意図的に動画を多くの人に見せたり隠したりしているだろう、と推測されています。
データの説明
JoshPescatoreがツイッターでさらに説明しています。P-Scoreは統計のP値のようなもので、P-Scoreが800を超えていれば上位5%に入ると説明しています。テレビで動画視聴されているチャンネルのスコアが高くなるのは、アドブロッカーを使用できなくして、多くの広告を見せる意図がありそうです。
(2020年8月2日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
クリエイターの反応は?
YouTuberたちはさらに確証が欲しいわけではないだろうが、YouTubeで人気チャンネルになるかはYouTube次第ってことだ。SubToOptimusの動画はそれを100%証明してる。YouTubeが望めば、チャンネルは成長し、YouTubeが少しでも厄介者の認定をすればチャンネルの伸びは抑えられてしまう。
Not that any YouTuber needed more proof, but @SubToOptimus new video today 100% shows that getting big on YT is entirely up to YouTube. If they want you to be big, you’ll be big. If they deem you even slightly controversial, they’ll do everything in their power to suppress videos
— Eight Thoughts (@EightThoughts69) October 29, 2019
YouTubeのパロディアカウント「正直なYouTube運営」のツイートです。
クリエイターのみなさまへ第78話『P-Score』
ふとどき者のクリエイターNicholas DeOrio、Bowblax、JoshPescatore、KavosYTたちによってYouTubeの機密事項、通称ペザント・スコア6の情報が漏洩したのを確認しました。YouTubeは機密事項を暴くクリエイターが好きですよ……それはMcJuggerNuggetsがよく知っています。
「正直なYouTube運営」より
(2022年12月24日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
McJuggerNuggetは2020年1月を最後に13年間のYouTube活動を完全に辞めると発表しています。パロディアカウントの皮肉(毒舌)が効いています。McJuggerNuggetの登録者数は395万人です7。
クリエイター紹介
貴重なデータを提供してくれたクリエイターのチャンネルとSNSを紹介します。彼らはチャンネルでP-Scoreについての動画も公開しています。
Optimus
OptimusのTwitter。
Bowblax
BowblaxのTwitter。
JoshPescatoreのTwitter。
Nicholas DeOrio
Nicholas DeOrioのTwitter。
これまで本サイトではYouTubeが意図的に一部のYouTuberをひいきしている疑惑について取り上げてきました。再びそれが明らかになったようです。
YouTubeが視聴者とクリエイターのためのプラットフォームになることを願います。