YouTube史上最速の勢いでチャンネルを成長させているミスタービーストがさらなる記録を達成しました。Netflixの『イカゲーム』をリメイクした動画がミュージック・ビデオ、予告動画、リワインド以外のジャンルで1日で最多視聴の4260万回を記録しています。
さらにミュージック・ビデオ以外のジャンルで最速の4日間で1億回再生を記録、1日で登録者数を140万人増やす記録も樹立しています。この勢いのまま成長すれば30日間で登録者数を最多獲得(910万人)したチャンネルになりそうだとツイートされています。
.@MrBeast‘s Squid Game is breaking records:
✅Most views in a day – non-music/trailer/rewind (42.6M)
✅Fastest non-music video to reach 100 million views (<4 days)
✅Most subscribers gained in 1 day (1.4M)+ he’s on track to beat the record for most subs gained in 30 days(9.1M)
— Reed (@Reedjd) November 29, 2021
反響が大きく話題になった『イカゲーム』のリメイク動画ですが、一方で批判の声も出ているので紹介します。
VICE誌の批判
大手メディア会社のVICEは「ミスタービーストが制作した『イカゲーム』のモノマネ動画こそYouTubeが今押しているコンテンツだ」という記事を公開しています。
記事の意図は「原作ドラマは資本主義を風刺する内容なのに、リメイクしたMrBeastは金持ちYouTuber。これは原作の意図とはかけ離れている。しかも他人のふんどしで稼いでいる。」ということのようです。海外YouTuberの多くはMrBeastの『イカゲーム』は傑作だと褒めていて、VICEの記事には批判的な意見が散見されました。
YouTuberのターキートムがツイートしています。
(2022年11月6日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
記事を読んだトムはこのように持論を述べています。
(2022年11月6日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
VICEは批判しているミスタービーストのリメイクですが、原作の制作陣はどう思っているのでしょうか? 原作の監督であるファン・ドンヒョク氏は、「ゲーマーたちがリメイクをしているが、どう思うか?」と訊かれ、「私も数本観ました。ドラマの宣伝になるので、もっと制作してくださいと思います。」と回答しています。こちらの動画です。
ジャーナリストはリメイクを批判をしていますが、原作者は宣伝効果がありがたいというのが本音のようです。
とはいえ、うがった見方をすれば、資本主義批判であるはずの作品の監督すらも、現代資本主義の論理(インフルエンサーに宣伝させ、バイラルになるのを狙う)に絡め取られているわけですね。
元はといえば、ミスタービースト本人も売れないYouTuberをしていた頃から「ピューディパイの大ファン」というキャラで注目を集めていました。インドの映画配信会社Tシリーズとピューディパイが登録者数を競っていた時期に、「ピューディパイのチャンネル登録してね!」と宣伝していたのがミスタービーストでした。
結局、何かに便乗する商法が一番効果があるようです。
批判されつつもミスタービーストの勢いに衰える兆しはありません。このような驚異的な報告がされています。
全チャンネル合計で登録者数1900万人増加、全チャンネル合計で10億回以上再生、ミスタービースト・ショーツとミスタービースト・スペイン語で1000万登録者、メインチャンネルは登録者数で上位10チャンネル入り、メインチャンネルは8000万登録者数突破
November 2021 Monthly Report
That was the November to Remember, and here is why:
▪︎ 19M+ subscribers across all channels
▪︎ 1B+ views across all channels
▪︎ MrBeast Shorts and MrBeast en Español 10M
▪︎ Main channel enters Top 10 most subscribed list
▪︎ Main channel 80M pic.twitter.com/PREvSqP9KM— MrBeast Statistics (@MrBeast_Stats) December 1, 2021
ミスタービーストは個人チャンネルではなく、巨大な企業なのだと痛感します。今回の『イカゲーム』のリメイクには多くの映像加工技術が使われています。編集期間が10日しかなく、大勢のスタッフが編集に関わったそうです。
チャンネルのSoKrispyMediaが舞台裏を紹介しています。
YouTubeはもはや個人YouTuberではなく、テレビや映画のような動画を制作するクリエイター(企業)が活躍する時代になったようです。TikTokerも企業の全面的なバックアップを受けてYouTubeに進出することがあります。時代の流れかもしれませんが、寂しくもあります。
Image: REAL LIFE SQUID GAME 😱 || MRBEAST