最近Z世代が好んで使用しているスラングがあります。“OK, Boomer”です。“OK, Boomer”はTikTok発のミームで、米国ではメディアが相次いで取り上げる話題になっています。人気なフレーズなので、洋服にプリントされたり、マグカップにプリントされ販売されています。
こちらはTシャツにプリントされています。
Someone making a killing selling “OK BOOMER” shirts, hats and hoodies right now. pic.twitter.com/QGhPigs90A
— SMG Studio (@smgstudio) November 6, 2019
“OK, Boomer”ってどんな意味なんでしょう?
“OK, Boomer”の意味は?
大手辞書サイトDictionary.comが新語として追加しています。
“OK, Boomer”とはインターネット・スラング。
ベビーブーマー世代や年長の世代一般が抱く、現状を正しく認識していない意見、視野が狭い意見に対して、冗談や皮肉、批判を込めて使用される。
OK … everyone. https://t.co/XUiCyEcHdW
— Dictionary.com (@Dictionarycom) November 4, 2019
What does OK boomer mean?
OK boomer is a viral internet slang phrase used, often in a humorous or ironic manner, to call out or dismiss out-of-touch or close-minded opinions associated with the baby boomer generation and older people more generally.
ブーマー世代とは?
Pew Reserch Centerによると、各世代はこのように定義付けられています。
1997年ー ジェレネーション・Z(Gen Z、Z世代)とは2019年時、22歳以下
1981年ー1996年 ミレニアル世代(Millennials)とは2019年時、23歳から38歳
1965年ー1980年 ジェネレーション・X (Gen X、X世代)とは2019年時、39歳から54歳
1946年ー1964年 ベビーブーマー(Boomers)とは2019年時、55歳から73歳
1928年ー1945年 サイレント・ジェネレーション(Silent)とは2019年時、74歳から91歳
どこで人気になった?
最近、使用されている“OK, Boomer”は、こちらのTikTokの動画が火付け役のようです。
グレン・ベック1似のおじいさんがZ世代にお説教をしています。ご覧ください。
ブーマー世代の話
Z世代やミレニアル世代はピーターパン症候群にかかっている。子どもの頃の理想郷が存在していると勘違いしたまま大人になり、みんな平等で政府が世話をしてくれる社会が実現すると思っている。
けどね、もうじき我々がそうだったように、君らも現実に直面する。何も無料ではないし何も平等ではない。君らの世代が描いている理想郷は持続不可能なんだよ。良いかね? その現実からは逃れられないし、あらがうこともできない。ヒッピーでさえ、気付いたさ。
このお説教に“OK, Boomer”と書いたノートを見せて、動画は終わります。
その後、記事になる
ジャーナリストのテイラー・ロレンズがニューヨークタイムズで記事にしています。
“OK, Boomer”の反響が大きく、ローレンズ氏はCNNに出演しています。
CNNの動画では、ニュージーランドのクロエ・スウォーブリック議員(25)が演説中、横やりを入れてきた年配議員に対し「オーケー・ブーマー」と言い返したニュースを紹介しています。
ローレンズ氏はこのように話しています。
「オーケー・ブーマー」は決して年齢差別を助長するものではありません。
もっと軽い使い方で「オーケー・ブーマー」は意見が合わない人に対し、目を回すジェスチャー(やや軽蔑的・あきれたという意味合いがある)をするようなものです。
私が取材したZ世代は、主に親世代に対し「オーケー・ブーマー」を使用しているようでした。Z世代の親は主としてX世代です。ブーマーと言っても、「オーケー・ブーマー」の場合は、世代を指すものではなく、心のあり方を指しているわけです。考え方が古かったり、新しい概念を受け入れようとしなかったり、若い世代に対し無理解な様子を「ブーマー」と呼んでいました。
あくまでネットミーム(ネタ)から派生した用語である、と説明しています。
怒り出す人も
こちらはInternet Todayの動画です。ブーマー世代の反論を紹介しています。彼らはネットミームを理解できないので、重大なことと捉えてしまってるようです。
ニューヨーク・ポストのグルメ記者スティーブ・クオゾ(Steve Cuozzo)は怒り心頭の記事を書いています。「ミレニアル世代は我々世代に憎悪感情しかない。」と感じてしまったようです。さらに動画で、クオゾ氏の記事には「若者は学費が高すぎるから学費ローンを減免してほしいと言う。私の学費ローンは$4,000だったが、インフレ率で調整すると現在の平均$29,200とほとんど同じなのに。私は減免を求めず、懸命に働いて払った。今の若い世代は怠け者だ。」と書いてあることにも言及しています。インフレにもかかわらず最低賃金は70年代からさほど伸びていないのですが。
もう一人、怒りだしてしまったブーマーを紹介しています。ローチェスター在住の保守系コメンテーター、ボブ・ロンズベリー(Bob Lonsberry)のツイートです。ツイートは現在削除されています。
「オーケー・ブーマー」は年齢差別においてのN-ワード2である。イマドキの人だから偏見を抱いて良いはずはなく、新しいからといって愚弄するような物言いを許してはならぬ。
ロンズベリー氏はネットミームと人種差別用語を対等にしてしまいました。動画ではあきれられています。
(2023年1月8日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
いつの時代も年長者は「最近の若い者は」と言うものです。“OK, Boomer”はそれに対する返しです。もし“OK, Boomer”がネットスラングから正式な英語になり、長く使われることになったら、Z世代もお小言を言って“OK, Boomer”と返される日が来るのでしょうか? いくつになっても、柔軟な考え方を持ちたいものですね。
Image: Iron Point Agents, BGM Group
注
- グレン・ベックはアメリカの保守系の過激右翼政治コメンテーター。ティーパーティーを扇動した一人である。
- 人種差別用語。