テックオリガルヒがトランプに跪く 私たちの目にする情報はどうなるのか

社会・政治

今や私たちの生活に欠かせなくなったプラットフォームのCEOたちがさっそくドナルド・トランプ次期大統領の靴をなめ回しているようです。

TikTokの買収に富豪が名乗りを上げ、Metaのマーク・ザッカーバーグはファクトチェックを廃止し、Amazonのジェフ・ベゾスはメラニア・トランプのドキュメンタリーに予算40ミリオンドル(約63億円)を投じると報じられています。Twitter(現X)は右翼陰謀論を垂れ流すSNSになりイギリス政府やフランス政府から警戒されています。

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どうなるSNS

まずは2025年早々にアメリカで使えなくなる可能性があったTikTokです。共和党がデータのプライバシー管理への問題や国家への脅威だとTikTok(親会社はバイトダンス)の規制に乗り出していました。アメリカの企業に経営権が譲渡され、データの管理がアメリカでされないのであれば利用停止になる恐れがありました。

アメリカのTikTokユーザー数は1億5000万人以上とされています。収益化が可能になったことからTikTokを副業にしているユーザーやTikTokでビジネスを始めるユーザーが多くいます。経済的に大打撃になる可能性があるTikTokのバンですが、富豪のケビン・オレアリー(Kevin O’Leary)が買収に名乗り出たようです。

続いてFacebookとInstagramのMeta社の動向です。MetaのCEOマーク・ザッカーバーグは「社内のファクト・チェック部門を廃止して、Twitterのようにユーザーがコメントを付ける形式にする」と発表しました。発表しているザッカーバーグは捕虜のようだと指摘されています。

ザッカーバーグの発表を受けて、記者がトランプ次期大統領に「トランプ次期大統領の圧力にザッカーバーグ氏が屈したということでしょうか?」と質問し、トランプ次期大統領は「そうかもね」と答えています。トランプ次期大統領はSNS企業に圧力をかけたと認めています。

Facebookはすでに誤情報の氾濫する巷のようですが、今後ますます歯止めが利かない場所になるようです。

Amazonは40ミリオンドルをかけメラニア・トランプの映画を制作すると発表しています。

誰が観るのでしょうか。大金持ちの後妻に収まりたい女子は必見、でしょうか?

ジェフ・ベゾスはAmazonの他にワシントンポスト紙を所有しています。先日、ワシントンポスト紙に長年勤めていたピューリッツァー賞の受賞歴がある風刺画家アン・テルネース(Ann Telnaes)が下書きを却下されたため、辞めたと話題になっていました。

絵では、ChatGPTの開発元OpenAIのCEOサム・アルトマン、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグにLAタイムズのオーナーであるパトリック・スンシオン、さらにミ☆キー・マウスがトランプに跪き屈しています。サム、ジェフ、マークにあとはイーロン・マスクを加えれば、現代のテック系億万長者(テックオリガルヒ)の一覧になります。

Good morning. 🌧️

Let’s shout out Pulitzer Prize winning editorial cartoonist @anntelnaes.bsky.social, who quit WaPo after they killed her cartoon below. 🙌🏽

Let’s NOT shout out WaPo who’s falling in line nicely with fealty to its owner, Bezos, and Trump.

Freedom of the press indeed.

[image or embed]

— Lisa Reyna Loe (@lisaloe.bsky.social) January 4, 2025 at 5:56 AM

的確に現在の状況を風刺している絵ですが、オーナーのジェフ・ベゾスを風刺しているためか、ミ☆キー・マウスが入っているためか、編集者は許可しなかったようです。アン・テルネースさんは「これまで意見の相違はあったものの、絵を却下されたことはありませんでした」と声明を投稿しています1

ここまでの内容はダメッジ・リポートが動画で紹介しています。

Washington Post Cartoonist QUITS After Jeff Bezos Censoring

ソーシャル・メディアは私たちのニュース、生活に関わる情報源です。そのような媒体を億万長者たちが運営することで公正さが失われている懸念があります。

このような傾向に「億万長者はソーシャルメディアを所有するべきではない。億万長者は報道機関を所有するべきではない。億万長者は政治に介入するべきではない。自由なメディアは民主的なメディアである。私たちによって運営され、所有される公共の財産であるべき。」と英国労働党の前党首ジェレミー・コービンは投稿しています。

どのような情報を目にしても、リテラシーがあり、フェイクを見抜く慎重さがあれば騙されないのでしょうか。加えてプラット・フォーム自体にバイアスがあれば、どのようにして正しい情報を得ることができるのでしょうか。現代人の常識として情報を見る目を鍛えないといけないのはもちろんですが、社会全体での取り組みが必要です。

歴史家のティモシー・スナイダーは、為政者に先回りして服従するな(Do not obey in advance)と叫んでいます。

どうやら、テックオリガルヒはトランプ新政権に先回りして服従することを選んだようです。もはや彼らのサービスを利用する私たちが同じ陥穽にはまらないようにすることは至難の業です。

  1. この声明を受け、編集者も声明を投稿している。編集者によれば、却下したのは「短期間で内容の重複があったから」だとしている。
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