ハズレのない宝くじで遊びながら貯金ができるアプリとして宣伝されていたヨタ(Yotta)からお金を引き出せなくなっている問題が発生しています。ヨタはフィンテックの新アプリとしてYouTuberたちが2020年頃に宣伝していました。
宣伝していた代表的なYouTuberはマーカプライヤー(Markeplier)や投資系YouTuberのグラハム・ステファンです。彼はヨタのビジネスが気に入ったので株主になったとも動画で話していました。2024年になり、動画は削除されています。
ヨタの預金者はアカウントが凍結され、預金がおろせなくなっています。
Yottaの問題
2024年6月3日にコフィズィラがヨタについて動画にしています。コフィズィラはこれまでにもYouTuberやセレブが関わった暗号通貨詐欺を複数告発してきました。
動画ではヨタの預金者に話を聞き、ヨタの問題について説明しています。
多くの預金者がヨタを知り、お金を預けようと思ったきっかけがグラハム・ステファンが宣伝していたからでした。
He is a small Owner in Yotta Bank 💀 pic.twitter.com/T5W6JPULIE
— RBL (@unapologeticBOT) June 4, 2024
被害者は日本円で600万円から1000万円ほどの預金をしていたそうです。2024年の5月になりアカウントが凍結されて残高の引き下ろしができなくなっています。
ヨタは2019年にアダム・モレス(Adam Moelis)が立ち上げました。
ヨタは銀行にゲーム性を導入したと宣伝されていました。普通の銀行なら利子は預金額に比例してつきますが、ヨタでは宝くじ方式で日々の利子が変わります。預金25ドルごとにくじが1枚来て、当たり番号に近ければ取り分が増える仕組みです。
本丸はSynapse
面白そうにも、危なそうにもみえる仕組みですが、預金が下ろせなくなってしまったのはこの仕組みが失敗したからではありません。
ヨタはそれ自体銀行ではなく、本体の業務は銀行に行ってもらい、自分自身はアプリの開発に傾注するフィンテック企業です。
この手のネオバンク(neobank)は近年急増していました。ヨタ以外に、ヒスパニック向け、ネイティブアメリカン向け、ティーンエイジャー向けなどさまざまなネオバンクが出現していたととこちらの記事では紹介されています。
このようなフィンテック企業が銀行と提携するのを仲介する企業がありました。銀行としてはフィンテック企業との提携が面倒であり、フィンテック企業としては銀行と提携しなければ何もできないため、このような仲介業者が必要だったのです。
この仲介をしていた会社シナプス(Synapse)が、2024年5月、稼働を停止しました。そのあおりを受けてネオバンクは一斉にユーザーの預金を扱えなくなり、ユーザーはアプリにアクセスできなくなりました。シナプスはそれ以前から資金繰りに苦しみ、複数の訴訟を抱えていたようです。
2023年にはユーザーが預金保護の対象になる口座からそうでない口座にお金を移すように促されるなど怪しい動きがあったようです。
ヨタは身売り先を探すなどして資金繰りをなんとかしようとしましたが、うまくいっていません。
Neobank Yotta, which had briefly onboarded accounts to Thread Bank via BaaS intermediary Unit, appears to be winding down that engagement: pic.twitter.com/9CZutXG5o4
— Jason Mikula (@mikulaja) April 2, 2024
ヨタが直接悪いわけではありませんが、不祥事が発覚した後でヨタがなぜか宝くじ・ギャンブルアプリに衣替えしており、誠意のかけらも感じません。
宣伝したグラハム・ステファンやマーカプライヤーは声明を出すのでしょうか。