『ドラゴンボール』を扱ったTotally Not Markの動画が150本以上消される 国ごとの著作権の扱いの違いで発生した事件

YouTuberニュース

著作権についての考え方の違いから不幸な事件が発生しました。『ワンピース』や『ドラゴンボール』などの人気アニメにリアクションしたり二次創作を作ったりしてきた著名なチャンネルの動画が、著作権侵害のクレームを受け、大量に削除されていると話題になっています。

日本では漫画やアニメの二次創作は著作権法上、グレーゾーンの存在とみなされることがあります。しかし、米国の著作権法にはフェアユースの概念があります。

フェアユースは、利用方法が不当でない限り、ある程度は二次創作や作品そのものを利用できることです。そのため、フェアユースであるということで、アニメを動画の中に取り込んだリアクション動画が許容されています。

ただし、丸々コピーするのは不当と見なされるので、ほとんどぼーっと見ているだけのスージー・ルー(Suzy Lu)のような動画は除外されます。

チャンネルから「150本以上の動画が不当に削除された」と話しているのはYouTube登録者数64万人のマーク(Mark Fitzpatrick、マーク・フィッツパトリック、アイルランド出身)です。

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マークの主張

マークは人気アニメを批評する動画を公開していました。執筆時、マークのチャンネルに残されている『ナルト』のレビュー動画を見ると、各シーンに詳細な批評が加えられています(ほかの人気アニメのシーンも細切れの編集で挿入されています)。

こちらがマークのチャンネルから動画が大量削除された状況を説明している動画です。マークは憔悴した様子で原稿を読んでいます1

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(2021年12月19日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)

一晩のうちにマークのチャンネルの150本の動画が一挙に、Toei Animation Ltd.(東映アニメーション)から著作権クレームされました。これまでマークは週に1本の動画を公開してきたので、労力に換算すると3年分のコンテンツが一晩で消されたことになります。著作権侵害のクレームがされた動画は表示されなくなり、すべて非収益化されているそうです。

マークは「私本人だけではなく、私が雇用している従業員の生計にも関わる重大な問題です。クレームされた動画のなかには、明らかに著作権に抵触していない動画が含まれており、納得できません。」と話しています。

さらにマークは以前、東映アニメーションからPRの依頼を受けていたそうです。宣伝に使うときはチャンネルを利用するのに、同じチャンネルを著作権侵害のクレームで削除に追い込む一貫性のなさは何なのか、と訴えています。

海外YouTuberの声

著名なアニメ批評チャンネルが危機にあると知り、多くのクリエイターがマークを支持する声明を出しています。YouTube登録者数300万人のサム・オーディナリー・ゲーマー(ムタハ)のツイートです。彼はこの件についての動画も公開しています。

ムタハは「マークの動画は違法な再アップロードではなく、フェアユースに該当する内容であるはずだ。」と話しています。さらにYouTubeの著作権侵害クレームシステムの穴も指摘しています。

YouTube登録者数950万人のチャーリー(penguinz0)も動画でマークを擁護しています。チャーリーは「東映アニメーションは著作権侵害クレームに関して容赦ないことで有名だ。八歳児が悟空の絵を描いているほほえましい動画にも著作権侵害だって申し立てするだろう。フェアユースだろうがお構いなしだ。こんなことになって残念だが、驚きはしない。」と話しています。これに関連してジャニーズ事務所の著作権管理の異様さにも言及しています2

その他、YouTube登録者数119万のオプティマスも動画にしています。オプティマスも「マークの動画はアニメの批評や解説であり、フェアユースだろう」と話しています。さらに、大物YouTuberのピューディパイもマークを支持する動画を公開しています。

今回の事件について著作権法やYouTubeの著作権侵害のクレームについて説明している動画です。動画によれば、「A国で製作された著作物を利用して、B国の人物が動画を作り、C国の人々が見るとき、どの国の法律が適用されるかは難しく、やり方が確定していない。YouTubeによる判断は米国カリフォルニア州の法律に従うと規定されているが、それですべてが決まるわけでもない。」と解説されています。

マークの出身地アイルランドや、マークの動画の視聴者がいるアメリカと、アニメが制作された日本の法律は異なります。東映アニメーションがある日本にはフェアユースの概念はなく、今後マークの動画が復活する可能性は極めて低いように思います3

その後

マークの告発が話題になり、大きな反響がありました。マークはさらに2本の動画を公開して状況を説明しています。執筆時、それらの動画は検索結果には表示されないようになっています。

マークの動画を部分的に紹介しているチャーリーの動画です。マークは19本の動画は復活したこと、YouTubeに問い合わせてもFAQページのリンクを送られるだけで役に立たないことを報告していました。さらに通訳の協力を得て日本語でも声明を発表していました。マークは、動画を日本からアクセス不可にして、日本の著作権法の問題を回避することも提案しています。

マークは2021年12月11日に著作権侵害のクレームに関する最後の報告をしています。

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(2022年4月10日:削除されたYouTube動画をキャプチャ画像で置き換えました。)

マークは今回の件のせいで、不安障害を発症してしまい、眠れず食事もままならないことを明かしています。さらに、「東映アニメーションのボイコットは望みません。もし私の発言が無礼だという印象を与えてしまったのであれば、そのような意図はありませんでした。10,000ドル(約100万円)を日本のNPO団体(Light Ring)に寄付します。」と話しています。

Image: Optimus

  1. マークの弁護士が内容を確認したと思われる内容である。
  2. ネット上の雑誌の表紙画像を加工させるなど。
  3. 東映は扱いが厳しいことで日本でも以前から知られているため、東映が判断を覆す可能性は高くない。
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