2019年の映画『ジョーカー』の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が公開されました。主演はホアキン・フェニックス、監督はトッド・フィリップスが務めています。2022年にはレディ・ガガがハーレイ・クイン役を務めると発表されていました。
2019年の映画『ジョーカー』はR指定の映画で初の1ビリオンドル超(約1480億円)の興行収入記録を打ち立て、主演のホアキン・フェニックスはアカデミー賞、ゴールデングローブ賞を受賞しています。完璧とも言える2019年の映画『ジョーカー』でしたが、続編は対照的な評価となっています。
ミュージカルだった
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は公開の週末37.8ミリオンドル(約56億円)の興行収入を出しています。映画の予算が200ミリオンドル(約300億円)、主演俳優のホアキン・フェニックスのギャラが20ミリオンドル(約30億円)、レディ・ガガのギャラが12ミリオンドル(約18億円)であることを考えると採算が取れない結果になっています。
理由として、早々に劇場に足を運んだ人々からの評判が非常に悪いことがあげられます。そもそも「続編がミュージカルであることを知らなかった!」という声があがっています。他にも「ジョーカーの世界観を期待して観に行ったのに裏切られた」、「これほどのクソ映画は観たことがない。金と時間を返せ」という声もあります。
評判が悪いと知りつつ映画を見に行ったYouTuberのチャーリーは「そんな悪いわけないだろう、と思ったが、本当にクソ映画でびっくりした」とレビューをしています。
こちらのツイートでは、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の制作の過程を紹介しています。
Here’s what went down with #Joker2 pic.twitter.com/6oe15OvyE7
— Culture Crave 🍿 (@CultureCrave) October 8, 2024
ツイートによれば「ミュージカルのアイデアはホアキンの夢から始まった」「映画化前に舞台化する案があった」「ワーナーはトッドに自由に制作するように許可を出しており、テスト試写は行われなかった」「脚本ができる前にレディ・ガガの起用が決まった」「ボスのジェームズ・ガンは作品に一切関与していない。いくつか助言があったがトッドは無視した」「ミュージカルであることはほぼ伏せられていて、監督も当初はミュージカルではないと言っていた」「公開最初の週末、監督は農園にこもっていた」などが書かれています。
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』はコミック原作の映画として最悪の評価と最悪の興行収入を記録しています。
人々の声
映画を観た人々の一部の声を紹介します。
Joker 2 is apparently one long humiliation ritual for the character from The Joker, demeaning and destroying him so that everybody who liked or admired or even a little bit identified with the character can be humiliated by proxy.
Because Hollywood hates you. pic.twitter.com/hVIPzUv240
— Daddy Warpig (@DaddyWarpig) October 7, 2024
Me after watching Joker 2. They just wanted Lady Gaga to sing. The film had no plot, just vibes. I want my 3 hours back #JokerMovie pic.twitter.com/k3ydGZ0amQ
— Nine (@ninewontmiss) October 4, 2024
my theater every time joker and harley started singing in joker 2 pic.twitter.com/JtdTa4242F
— wiLL (@willfulchaos) October 4, 2024
今のところの評判では、完璧で何も付け加えるところのなかった『ジョーカー』に巨大な蛇足がついてしまったようです。ハリウッドが強欲なあまり、もっと稼ごうと続編を作らせたら残念な結果になった、とも言えます。
高評価の声
映画オタク的視点ですが、批判的な意見が出ることこそ、この映画が意図していたことなのであるとの意見が出ています。
One of the best takes Ive seen on Joker 2 pic.twitter.com/U0DzYdjHfo
— Zushii (@SuperSaiyanJBG) October 5, 2024
要約するとアーサー・フレックを美化して、さらなる活躍を期待した視聴者に問題を提起している……と解釈できるそうです。百億円以上の損失が出る可能性もあるのに商業映画がそんなことするか、という指摘はしないでおきましょう。
映像の美しさや演技は今回も優れていて、とにかく悪評が集中しているのは脚本のようです。一方、主人公アーサーの悲しみや苦しみが痛いほど伝わってくるよい脚本だという評価もあります。虚無的な世界にミュージカルの要素を織り込む度胸もすごいとも言われています。アーサーが生み出してしまったジョーカーですが、人々の抱くジョーカー像がアーサーの手を離れて膨れ上がり、最後は別の者に取って代わられるエンディングも象徴的です1。徐々に評価が上がる作品かもしれません。