フランス人Kickストリーマーのラファエル・グラヴェン(Raphaël Graven)さんが配信中に亡くなり、事件性があると話題になっています。46歳のラファエルさんはストリーム名JP(Jean Pormanove、ジャン・ポルマノヴ)として知られ、Kickの視聴者数では世界7位の人気でした。TikTokでは50万人のフォロワーがいます。
もともとラファエルさんはゲーム配信をしていましたが、3年ほど前からオーウェン・セナザンドッティ(Owen Cenazandotti)とサフィーネ・ハマディ(Safine Hamadi)という男たちが率いるグループ内で配信をするようになります1。
亡くなる瞬間ラファエルさんは12日間の連続配信の最中でした。その中で、ラファエルさんは男らから激しい暴行、虐めを受けていました。
ラファエルさん
軍人をしていたラファエルさんが配信を始めたのは両親と暮らす実家の部屋からでした。孤独で恋愛経験がほとんどなく、両親の元で暮らしていたラファエルさんはコミュニティを求めゲーム配信を始めたそうです。配信をするなかで事件に関わるオーウェンとサフィーネと知り合います。
手前がラファエルさん、中央がオーウェン、右がサフィーネです。
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男らは配信中にラファエルさんをいじりの対象として扱い、視聴数が伸びると「男らしく結婚したければ、このまま俺らと配信して稼ぐべきだろ。」と話し、ラファエルさんを利用していたようです。月収は6000ユーロ(約120万円)ほどだったとされています。
Dès lors qu’ils ont compris à quel point ce spectacle macabre pouvait rapporter, ils l’ont convaincu que sans eux, sans le salaire lié au stream, Jean Pormanov n’aurait jamais de femme ni d’enfant. Tout ça justifié par une réthorique de développement personnel masculiniste. pic.twitter.com/aJlq4bSw4C
— OuaisGᴜᴇsʜ ☭ (@GueshCtrl) August 18, 2025
配信ではラファエルさんを車のトランクに入れデコボコの道を高速で走ったり、油やペイントをかけたりゲロを吐きかけたり、ラファエルさんが逃げだそうとするとゴム弾で打ったり、首を絞めたりなどもしていたようです。12日間の配信中、ラファエルさんは睡眠も満足にできない状態に追い込まれていたようです。
過激化する配信を受け、2025年1月にオーウェンとサフィーネは検察の取り調べを受けていたそうですが、お咎めなしで終わっています。2024年の年末にはフランスの人気ストリーマーやジャーナリストからも問題を提議する声があったと報じられています。
ラファエルさんはニースの北に位置するコントの家で憔悴し睡眠中に亡くなったようです。その様子は視聴者が録画してネットでは転載されています。
ラファエルさんが亡くなる前、男らは「(ラファエルさんが)死んでも俺らのせいではない。アイツの健康状態のせい」と話している様子も映像で残っています。12日間の配信では累計で3万6000ユーロ(約720万円)を稼いでいました。
執筆時、ラファエルさんの詳しい死因については明らかになっていませんが、8月21日に検死が予定されています。ここまでの内容はフィリップ・デフランコがニュースで紹介しています。
プロパガンダを始める関係者
オーストラリアを拠点にするプラットフォームのKickは主として違法ギャンブルの宣伝をしています。他のプラットフォームでアカウントを凍結された人が活躍する傾向があり一番の稼ぎ頭はアメリカ人ストリーマーのエイデン・ロスです。エイデンも過去にTwitchでアカウント凍結処分になっています。エイデンはKickの株主でもあります。
今回の事件の報道の直後、エイデンとラッパーのドレイクはラファエルさんの葬儀費用を負担すると発表しています。
Adin Ross announces that he and Drake will be covering the funeral costs of French streamer Jean Pormanove, who passed away in his sleep during a marathon stream
“Whoever was apart of this deserves to face severe consequences… Prayers go out to Jean’s family” pic.twitter.com/VK6DB8aavF
— FearBuck (@FearedBuck) August 19, 2025
ドレイクもKickと巨額契約を結んでいますが、事件発生3日後にアカウントを削除しています。ファンは評判が地に落ちたKickからドレイクは手を引いたのではないかと推測しています。
Drake’s Kick channel has been deleted, leading fans to believe he has officially left the platform 👀 pic.twitter.com/c6UV2eLrSE
— FearBuck (@FearedBuck) August 21, 2025
Kickはこれまで無法地帯でしたが規制が厳しくなったり、国によってはアクセスできなくなったりするかもしれません。少なくとも年齢制限は設けるべきなのでしょう。
ラファエルさんを暴行していたオーウェンとサフィーネのKickアカウントは凍結しています。オーウェンは弁護士を通じて声明を出し「配信の内容はすべてヤラセで、オーウェンは虐待犯ではない、共演者は全員親友である、中傷する者に法的措置を検討している」と主張しています。
UPDATE: Naruto’s lawyer says the shocking videos are “just stagings” with Jean Pormanove, denying his client is a “torturer.” He calls them best friends, blames a cyberbullying campaign, and plans legal action. Reminder: Naruto & Safine were already investigated by police in Nice… https://t.co/7zlYxsl7RE pic.twitter.com/Bi5x5WyGNJ
— Louis Pisano (@LouisPisano) August 20, 2025
配信された動画は残っているので、証拠は充分なはずです。
視聴者さえ集まればよい、過激な配信をして金さえ稼げればよい、が行き着くところまで行き着いた結果のように思います。歯止めが必要ですが、Kickが規制されてもほかのプラットフォームが出てくるだけかもしれません。もっとストリームに包括的な規制が必要だったり、目立ったもの勝ちをなんとかする必要があったりしそうです。プラットフォームの責任が問われるべきかもしれません。