人気YouTuberのドラン兄弟が週1回の動画投稿に終止符を打ちました。
ドラン兄弟は一卵性双生児です。YouTube登録者数1060万人、グレイソンのInstagramのフォロワーは960万人、イーサンのInstagramのフォロワーは930万人です1。
左がグレイソン(Grayson)、右がイーサン(Ethan)です。
(2024年9月8日:削除されたInstagram投稿をキャプチャ画像で置き換えました。)
ドラン兄弟は14歳のとき動画投稿を始め、YouTuber歴も5年目を迎えました。2019年には、最愛の父御をがんで亡くしています。子どものころから活動している彼らは、何を思い、週1回の投稿を止める決断をしたのでしょうか。
以下はこちらの動画の内容に即しています。
先輩YouTuberと対談
今回の発表は先輩YouTuberのシェーン・ドーソンと対談している形式でされました。シェーンは12年間YouTubeで活動しています。先輩YouTuberに助言をしてもらいつつ、通常の動画では見せない彼らの本心を明かしています。
文字通り子どものときから活動して僕らは大人になりつつある。
今まで何か困難があっても、問題に向き合うことなく仕事してきた。困難があっても投稿してきた自分たちを誇りに思うけど、人間的に成長する機会を逃してきた気もするんだ。実際、私生活でつらいことがあっても「撮影のために明るく元気にならなきゃ」って無理してきた。
無理し続けて、燃え尽き症候群になったYouTuberはたくさんいるよね。僕も、初期は週7本の動画を投稿してて、それが週3回になって、今は年1回のペース(笑)になってるけど、それで良いんだよ。永遠に高頻度の動画投稿なんて無理なんだから。ウソの自分を演出なんてしなくて良い。正直な今の姿を見せる方が、視聴者として興味が湧くと思うし。
19歳で週1回の投稿を止めるって早いと思わない?
ぜんぜん。だってもう5年も頑張ってるじゃん。アイディアも尽きるし、気力もやる気も尽きてくる。まだ若いのに仕事中心の生活してるなんてもったいないよ。19歳っていろんな人生経験積んで、遊んで、バカなことしてる年齢じゃない? (子ども時代を犠牲にして仕事してきた)ディズニーの元子役が大人になったら悲惨になった例っていっぱい聞くでしょ。
ドラン兄弟は、毎週の動画を楽しみにしているファンを落胆させるのが怖くて更新頻度を下げられなかったとも話しています。
その楽しみにしてる視聴者はドラン兄弟が更新頻度を下げたとしても、楽しみにしてくれると思うよ。それに視聴者を飽きさせないように半年ごとに新しいことに挑戦していかないといけない。
YouTuberのブランドとは?
動画の中の自分と、ふだんの自分って、違うんだ。成長した自分になって、僕たちの「ブランド(動画の中の自分)」を改めて見たら「あれ? これもう俺じゃない」って思うようになってきたんだ。
編集しながら自分たちの様子を見て、「これ自分じゃない」って感じる。
まず、自分たちを「ブランド」で定義しない方が良い。YouTuberはみんな「自分のブランド」を演じるのが主流だけど。だって、ブランドって古くなるし、そのうちダサくなるし、必ず「新しいブランド」に追い越されてしまう。けど、「ありのままの自分」が「本当に楽しんでいること」をしていたら決して古くはならない。視聴者と一緒に成長していけば良いんだよ。
ドラン兄弟は14歳で業界に入って以来「独自のブランドを確立すべし」と教え込まれてきたそうです。シェーンの助言を新鮮な様子で聞き入っています。
最愛の父の存在
仕事を最優先にしてきたドラン兄弟。週1回の動画投稿を続けながら、週の半分は実家のニュージャージー州に帰り父御の介護をしていました(ドラン兄弟はカリフォルニア州在住)。
動画では人が元気になるようなポジティブなメッセージを発信して、残りの時間は父親の介護に充てていた。楽しく笑っている時間は罪悪感しかなかった。
私生活は介護のため忙しかったけど、動画は休まず投稿してた。もし、投稿を休んでいたら、家族との大切な時間をもっと多くとれたのかもしれないと思うこともあるよ。
家族を亡くすのは……親を亡くすのは、人生観を変えるきっかけになるものだけど、その実感はある?
それが、あまりないんだ。
感覚が麻痺してるみたい。けど父親が亡くなった後、4週間休んだよ。
実際は3週間。撮影に1週間はかかるから。けど、父親が勤勉な人だったから、がっかりさせたくなかった。
覚えていてほしいのは、あなたたちはまだ19歳だということ。お父さんは青年期を過ごして、成長して、自分がどのような人かを考える時間があったでしょう。お母さんと出会い、恋愛もする時間があった。お父さんのようになるためには、あなたたちも同じような経験をする時間をもうけないと。
ドラン兄弟がカメラの前で父御の他界について話をするのは初めてです。シェーンは個人的なつらいことを話すのは勇気が必要かもしれないけど、同じ経験をしている若い視聴者は勇気づけられると思う、と話しています。ドラン兄弟にとって、活動の動機は「コミュニティや人の役に立ちたい、恩返しをしたい」という思いだそうです。最近はそれが何を意味するのか見失っていたようです。
実は、原因不明の体調不良になって、細菌感染だと判明するまで半年苦しんでた。(父御が入院している)病院を訪ねた際に感染したみたいだった。
僕も父親が歩けなくなってからは抱えてトイレに連れて行ってあげていた。そのせいでヘルニアになって、3週間歩けなくなった。
視聴者を心配させたくなかったから話さなかったそうです。
この間、メイク・ア・ウィッシュの子どもたちが家に来たんだけど、ドラン兄弟が一番好きって言ってたよ。あの子たちも、ドラン兄弟が病気や、体調不良の経験を話したら、きっと共感してくれたと思う。視聴者もいろいろな悩みを持って見ているから、つらい内容もこれからは正直に話していったら良いと思う。
ジェフリーとのコラボ
話はジェフリー・スターとのコラボ動画になります。
この動画は企画から2週間かかったそうです。3人の脚本家が案を出し合い、ドラン兄弟は監督を務め、2人のカメラマン、1人のアシスタント、2人の編集者によって完成したそうです。編集が終わったのは、投稿予定時刻の22分前でした。面白いコラボ動画の制作には、こんなに多くの人が関わっているのですね。
幸せではなかった時期
“Sister Squad”と呼ばれていた若手YouTuberグループがありました。ドラン兄弟と、美容YouTuberのジェームズ・チャールズ、ライフスタイル動画を投稿していたエマ・チェンバレンの4人組です。
このコラボ動画を投稿していた頃の心境を明かしています。
最近のYouTuberを見てると、急成長して「もっと動画投稿しなきゃ! もっと! もっと!」ってなって、燃え尽きるか、炎上して、いつの間にか、いなくなるってあるよね。環境の変化に精神的に追いつけなくて、若い子には大変なことだと思う。あのコラボ動画の頃は楽しんでた?
正直、そんなに楽しんでなかった。
お父さんの病気もあったり、体調不良もあったり、YouTubeの撮影もあったり、きっと大変だったよね。
これから
シェーンに連絡したのは、助言が欲しかったからなんだ。今後、僕たちはどうしたら良いと思う?
部屋に2人きりになって「今後5年間、どうなりたいのか、何が自分たちの幸せか、何をしたいか」をじっくり話し合ったら良いと思う。次の動画のことは考えないんだよ。1か月に1本でも良いし。必要な時間を確保しなよ。
人生をもっと楽しんで! こんなに魅力的で、成功していて、誠実で、周囲の評判も良い子たちが人生を楽しんでないなんて、見ていてつらい。
ドラン兄弟は「未来に希望が持てた! これからが楽しみ!」と話していました。今後、ドラン兄弟がどのような動画を制作するのか楽しみです。シェーンはドラン兄弟の人柄をしきりに褒めていました。彼らのような素直なクリエイターは珍しいそうです。
Image: adriana, Tea By Ali, The Rewired Soul