いつの間にか部屋に落ちているホコリ。掃除をしないとどんどんたまっていきます。一体ホコリってなぜ出てくるのでしょう? 何がホコリのもとなのでしょう?
科学YouTuberデレク・ミュラー(Derek Muller)のチャンネルVeritasiumの動画から「ホコリってほとんど垢なの?」を紹介します。
Veritasiumは登録者数744万人です。質の高い科学番組のような動画を投稿しています。
ホコリの正体とは?
デレクによれば、英語圏では「ホコリの70から80%は垢だ」とよく言うのだそうです。
ところが、これは都市伝説だという声もあります。確かに、人がいない廃屋にもホコリが積もります。
しかし、きちんとした科学的調査でなければ結論が出せません。
そもそも、ホコリとは何でしょう。
ホコリに明確な定義はありません。国際標準化機構(ISO)は直径75 μm以下のものをホコリと定義していますが、研究によっては違う定義をしている場合もあります。
いずれにせよ、はがれて垢になるヒトの表皮細胞はホコリの定義にあてはまります。
では、ヒトの体からは1日あたり何個ぐらいの表皮細胞がはがれるのでしょう? 表皮1 cm2から1時間あたり細胞1000個です。成人の皮膚表面積はおよそ2 m2なので、24時間で一人あたり5億個です。大変な数ですが、重量にすると1から2 gです。1年でも1 kgに達しません。
しかも、脱落した表皮細胞は風呂や洗濯で洗い落とされるものも多く、すべてがホコリになるわけではありません。
そこで、デレクは研究書を調べてみました。JEMH van Bronswijk “House dust biology : for allergists, acarologists, and mycologists”という本によれば、ホコリのうち表皮細胞は(サイズによって異なりますが)20から50%ほどです。寝具のホコリを顕微鏡で確認したところ、半分以上が表皮細胞だったそうです。
空気1 m3あたりの表皮由来のホコリの数はベッドメイキングをすると5倍ほどに跳ね上がります。家屋の外でも、ロンドンの地下鉄の空気中に浮かぶホコリの10%程度が表皮由来でした。
ホコリの残りは植物繊維、紙、消しゴムのかす、髪、ウール、綿、化繊、たばこ、すす、黒鉛、かんなくず、はがれたペンキ、糊、水晶、デンプンなどでした。
その他の動画
Veritasiumの動画はどれも丁寧に調査した結果を丁寧に構成したものです。今回の動画も、都市伝説のウソを暴くだけでなく、さらにその先まで踏み込んでいるところに好感が持てます。
ほかにもVeritasiumは質の高い動画をたくさん投稿しています。一部を紹介します。
こちらは極秘だったはずの核実験を察知していた人がいたという話です。
コダック社の研究者が保管されていたフィルムに異常な斑点を見つけていました。それが核爆発の証拠だったのです。
こちらは不思議な挙動を示す簡単な数式の説明をしています。
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今回取り上げた動画はGoogleがスポンサーで、ほかにHBOがスポンサーについた動画もあります。質の高さの表れでしょう。