アメリカの有名なスラム街を撮影し動画にしている貧困ツーリズム系YouTuberタイラー・オリベイラ(Tyler Oliveira)が批判されています。批判されているのは、スラム街にいる人を許可無く撮影しているのでプライバシーを侵害している、偏った情報を流している、人種差別的な内容がある点です。
タイラー本人は、実際に現場に行って話を聴いているので事実を動画にしているだけ、と反論しています。タイラーの動画を検証してきた人たちの意見を紹介します。
タイラーの動画
タイラーのYouTube登録者数は618万人です。タイラーはこれまで心霊スポットを巡ったり、ミスター・ビーストの真似をしたりする動画を投稿してきましたが、2023年から危険な地域を旅するYouTuberになっています。
タイラーはコンテンツにこだわりがあるわけではなく、再生回数が増える内容を追求しているだけのように見えます。ジャンル変更は成功してミスター・ビーストのまねをしていたときよりも再生回数は激増し、危険な地域を巡る動画は数千万から数百万回再生されています。
タイラーは自身を実地調査するジャーナリストと自称しています。しかし、タイラーの動画にはウソ、誇張、偏見が大いに含まれていると指摘されています。
批判の声
Twitterユーザーの意見です。
I researched Tyler Oliveira a few months ago and I think his content needs much more extensive coverage from @BoyBoy_Official and @hasanthehun I can only describe the guy as a racist, homeless hating right-winger who masks his rhetoric as the “white moderate” (1/9) pic.twitter.com/8nYgY3braX
— naivety (@AlexNaivety) April 17, 2024
その理由として、タイラーはサムネ画像を極端に編集している、治安の悪さと黒人を結びつけるようなAI生成画像をサムネに使用している点を指摘しています。
さらにタイラーはゲストとしてケビン・ダルグレンを呼んでいますが、この人物がまた問題だと指摘されています。
さらに、タイラーに無断で撮影され迷惑を被ったという人の声を知った後も、謝罪して動画を削除するどころか、開き直っている。タイラーは薬物依存症の人も軽蔑している。
When one of his victims came out about the harm Tyler’s videos did to him, Tyler, instead of apologizing or removing his video, DOUBLED DOWN on his actions. He despises drug addicts. (5/9) pic.twitter.com/ITZXIxUFUj
— naivety (@AlexNaivety) April 17, 2024
YouTuberのボーイボーイは「路上生活者を撮る方がミスター・ビーストの真似をするより金儲けできるとは」とタイラーに嫌みをツイートしています。
Who would’ve thought exploiting homeless people was way more lucrative than being a Mr Beast clone pic.twitter.com/ssdIKisHVy
— Boy Boy (@BoyBoy_Official) April 18, 2024
ここまでの内容はソートスライムが動画で紹介しています。
タイラーは動画でバンクーバーを撮っていますが、タイトルは『全ての薬物が合法になった国を調査した』という釣りになっている点を批判しています。ソートスライムはカナダ人なので「カナダで全ての薬物が合法なわけないよ。ひどいタイトルだ。」と指摘しています。薬物が非犯罪化されたのはカナダではバンクーバーを含むブリティッシュコロンビア州だけです。
タイラーは動画のサムネ、タイトル、内容を最大限誇張をしています。ジャーナリストをしているわけではなく、再生回数を求めるただのYouTuberです。タイラーの視聴者のほとんどは娯楽を目的に視聴している子どもたち1だと思われますが、偏見を植え付けている可能性があります。
現地の人に呼ばれたわけでも寄付を集めるわけでもなく、自身のチャンネルに還元するために弱い立場の人にカメラを向けるYouTuberは批判されて当然です。
危険な地域を巡るYouTuberではアンドリュー・キャラハン(Andrew Callaghan)やフィディアス(Fidias)、アラブ(Arab)がいますが、いずれも逮捕や拘束された経験があります。彼らはタイラーほど批判されている様子はありません。
興味本位のエンターテインメントとジャーナリズムの間には広いグレーゾーンがあります。興味本位だからといって直ちに否定されるべきではなく、そこから得られる学びもあります。しかし、ひとたび良識ある人々に見つかれば、批判を浴び、退場せざるを得ないことも多そうです。