イーロン(Elon)と呼ぶとエゴサーチして飛んでくるのが煩わしいからか、名前も呼びたくないからなのか、ネット(主にTwitter)でエルモ(Elmo)と呼ばれていじられているイーロン・マスクがTwitter(現X)でH-1Bビザに関する擁護をしてMAGA(強固なトランプ支持者)とケンカになる一幕がありました。
騒動の後、イーロンを批判したMAGAアカウントから認証マークが外され、またも騒ぎになっています。ついでにイーロンのサブアカウントか?とされるアカウントの投稿もいじられているので紹介します。
H-1Bビザ
今回、話題になっているH-1Bビザは特殊技能を有する者に与えられ、シリコンバレーをはじめさまざまなテック企業で必要とされている人材の確保に貢献しています。イーロンは才能あるインドの技術者にH-1Bビザを与え、米国の企業で働かせるのは国益になっていると投稿していました。このイーロンに異論を投じたのは、MAGAの人々です。
MAGAは主として「なぜ優秀な米国人を雇わずに異国から雇うのか?」「有色人種をアメリカに入国させるな」のような意見を述べていたようです。移民を制限することを主張しているトランプ支持者からすれば当然の主張です。
これにイーロンは「(抄訳)H1BビザのおかげでスペースX、テスラなどの企業は繁栄している。この件について絶対に意見を変えないぞ」などと投稿していました。
The reason I’m in America along with so many critical people who built SpaceX, Tesla and hundreds of other companies that made America strong is because of H1B.
Take a big step back and FUCK YOURSELF in the face. I will go to war on this issue the likes of which you cannot…
— Elon Musk (@elonmusk) December 28, 2024
要は、イーロンは外国の優秀な人材を最低な賃金で搾取するためにビザで雇い入れているのですが、MAGAにその点は伝わっていません。条件が悪くても、解雇になれば母国に送還される可能性があるビザの取得者は、米国人に比べおとなしく、過酷な環境でも耐える傾向にあります。ちなみに、トランプ次期大統領もH-1Bビザには大賛成だと報じられています。
MAGAの面々ははしごを外された形ですが、労働者を安く使いたい金持ち(トランプ次期大統領とイーロン)が何をするのかは明らかですから、外されるのが見え見えのはしごに自分で上っただけです。
ここまでの内容はハサン・パイカーが動画で説明しています。
イーロンに刃向かったMAGAたちは次々に認証マークを外され、アカウントが凍結されています。
X has suspended the accounts of numerous “groypers”, which are followers of Nick Fuentes.
Dalton Clodfelter and Tyler Russell amongst the accounts suspended. pic.twitter.com/f5zJ6D9lEC
— Gabe Hoffman (@GabeHoff) December 28, 2024
言論の自由を掲げてTwitterの買収をしたイーロンでしたが、予想されていた通り、自分の利益にならない人や攻撃する人は排除するようです。
サブアカウントで自分褒め?
MAGAとのケンカに疲れたのか、イーロンは「俺、Xでいつも侮辱されてるな」と投稿しています。
This is the funniest thing he’s ever posted pic.twitter.com/onjLwCWXxW
— Lolo (@LolOverruled) December 27, 2024
Xだけではなく、他でもいじられているよと言われています。
Don’t worry, Elmo. They insult you on other platforms, too pic.twitter.com/sjoXwPS9fI
— Tea Pain (@TeaPainUSA) December 27, 2024
イーロンは「(息子の)Xが背中にしがみついてお猿さんごっこと言う」との投稿に、イーロンのサブ(の疑惑が濃厚なアカウント)が「イーロン、あなたは素晴らしい父親です。あなたのような方を父に持ち、御子息たちは幸せでしょう」と不気味な反応をしていると指摘されています。
wait did he tell himself this from his alt ?? pic.twitter.com/wcgnv2a7G7
— Hurt CoPain (@SaeedDiCaprio) December 28, 2024
イーロンのサブアカウント疑惑があるこのエイドリアンは2021年7月にアカウントを作り17万人のフォロワーがいます。バーモント州の上院議員バーニー・サンダースやFBIの長官候補キャッシュ・パテルなどをフォローしています。異常なほど常にイーロンを擁護しているので、サブアカウントの疑惑が出ています。
サブアカウントだとしたら実に不気味です。本当にわが子が好きなら「御子息たちは幸せでしょう」なんて言われずとも満ち足りているはずですし、子どもがうっとうしいならそもそもいっしょに遊ぶ様子も投稿したくないはずでしょう。何なのでしょうか。
しかし、このエイドリアンはイーロンよりどもりが少なく、滑らかにしゃべっているのでイーロンではないのでは、とも指摘されています。他にもイーロンがマール・ア・ラーゴにいるときに会場にいたが、エイドリアンがTwitterスペースでライブをしていたので違うと投稿する人もいます。
その後、イーロンは一時的にアカウント名を「カキウス・マキシムス1」に変えていました。
Jesus Christ dude pic.twitter.com/D83M7bM2ia
— j aubrey 🤠 (@jaubreyYT) December 31, 2024
これはどうやら暗号資産の名前のようです。案の定、イーロンのアカウント名が変わるや急騰し、怪しいこと千万です。どうせ暗号資産なので、インサイダー取引でイーロンが捜査されることもないのでしょうが。
この名前は共和制ローマ、ポエニ戦争の時代の将軍ファビウス・マキシムスのもじりのように見えます。カキウスというのは民主主義(デモクラシー)や貴族制(アリストクラシー)と対比した「最悪な人たちによる政治」(カキストクラシー)を思わせます。
トランプ政権はカキストクラシーだと言われていますが、その一翼を担うイーロンは何を言いたいのでしょうか。自己紹介かな? 語源的にはカキストテレス(Kakistoteles)とかカキスタルコス(Kakistarchus)の方がよかったと思います(参考1、参考2)。
「カキウス・マキシムス」ことイーロン・マスクは結局ただの中年の危機を迎えているだけではないか、と指摘されています。
BREAKING: Elon Just changed his name pic.twitter.com/j6AP3uapOh
— Right Wing Cope (@RightWingCope) December 31, 2024
振る舞いを見ていると中年の危機というより中二病ですが。
少し前にはこんなことも言っていました。
Please post a bit more positive, beautiful or informative content on this platform
— Elon Musk (@elonmusk) December 29, 2024
無理ですよ。ネガティブで汚くて無駄なことばかり投稿している(しかもそれを奨励している)人にそんなこと言われても、と思います。しかし妙に弱気で、やっぱり病んでいるのかもしれません。ある日突然、自分のSNSが地獄みたいになっているのに気づいてしまったのでしょうか。なぜこれまで気づかなかったんだ。
収益化が困難なプラットフォームをわざわざ買収して大損したり、作った電気自動車は誤作動を起こしニュースになったり、一部からもてはやされている世界一の富豪は、崇めるほど天才ではないのではと言いたくなります。
注
- そのまま読むとケキウス。アイコンはオルトライトの象徴になったカエルのペペで、ケック(kek)はペペの声。