ユタ州で学生と討論中のCharlie Kirkが銃撃される 今わかっていることと過去の発言

社会・政治

【本記事はカークの死についての直接的な記述を含みます。】

2025年9月10日、右派ポッドキャスターとして有名なチャーリー・カーク(Charlie Kirk)が訪問先のユタ州ユタバレー大学で銃撃され亡くなりました。当日、カークは大学の学生を相手に討論をしていました。

カークは保守系NPOターニング・ポイント・USA(Turning Point USA)を運営し、YouTubeやPodcastでコンテンツを投稿していました。人種差別的で、女性蔑視主義者、中絶反対、銃規制反対、他者への思いやりは不要といった極端な意見で知られるカークは右派の人々を惹きつける存在でした。アニメシリーズ『サウスパーク』の最新シーズンでも取り上げられていた有名人で31歳です。18歳のときから活動しています。

会場にはカークの妻と子どもたちもいたと報じられています。

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会場の様子

事件当時、大学には多くの聴衆が集まりカークは学生と討論中でした。皮肉にも銃撃される直前の討論のテーマは銃乱射事件についてでした。あまりにも、できすぎたタイミングでカークは撃たれています。

犯人は一発だけ撃ち、弾はカークの首に命中しています。座っていたカークは撃たれた後、首から血を流して椅子から崩れ落ちています。観客は即座に異変に気付き、逃げ惑っています。

建物の中から撮影されたこちらの映像では、向かいの建物の屋根に屈んだ人物が移動する様子が見えています。おそらく、これが犯人なのではないか、と推定されています。犯人からカークまでの距離は142ヤード(約130メートル)1だと報じられています。離れた建物の屋根から、テントの下に座っているカークを的確に撃っているので、狙撃の訓練を受けた人物ではないかと言われています。

会場にいた学生によると、手荷物検査などのセキュリティのチェックは一切なく、関係者以外の誰でも学内を自由に出入りできる状態にあったそうです。

こちらはユタ州ですがカークがいたのとは別の大学、ユタ大学が8月に規則を改正したというツイートです。

州の法律が変わったので、学内で銃を露出した状態で持ち運べるようになったという内容です。州の法律で通常時に銃を自由に持ち運べるなら、手荷物検査をしても限界がありそうです。

カークは病院に運ばれ治療を受けますが、死亡しています2。事件の後、カークの死亡を発表したのはトランプ大統領でした。

警察は会場で複数の怪しい人物を捕らえ事情聴取しますが、釈放しています。執筆時、犯人は逮捕されていません。犯人は何人いるのか、なぜカークを撃ったのか、どのような政治思想なのかは不明です。しかし、トランプ大統領は事件後に映像を公開し「狂った左派による犯行」と断定しています。

トランプ大統領は半旗掲揚を指示しています。6月に発生したミネソタ州議会議員連続銃撃事件へのそっけない対応とは大違いです。

FBIのパテル長官は重要な人物が捕まった!いや違った!とツイートをしており、混乱がうかがわれます。トランプ政権は政府関係者の大量解雇をしているので、人員不足で捜査がうまくいっていない可能性もあります。

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反響

トランプ大統領だけではなく、右派のコンテンツクリエイターは「これは戦争だ」などと一斉に投稿しています。

銃撃事件が発生するたびアメリカで議論が巻き起こるのは、合衆国憲法修正第2条の武装権、いわゆる銃を持つ権利です。カークは保守派として、銃を持つ権利を擁護してきました。ある討論の場で「神から与えられた修正第2条の権利を守るために、毎年銃による犠牲が生じるのは仕方のないこと。賢明で合理的な理屈。」と話していました。

カークは自分が銃に撃たれるとは想定していたのでしょうか? 自分以外の誰かなら良いと考えていたのでしょうか。あるいは、カークが首尾一貫した人物なら、自分が撃たれたことも仕方のないことだと受け入れるでしょうか。

注目度の高い事件で、各国の首脳からも死を悼み暴力に反対する声明が出されています。そのうちある人物の投稿が話題になりました。イスラエルの首相ネタニヤフは「カークのために祈る」と投稿しています。虐殺を指揮しているネタニヤフが米国の右派のために祈るのは滑稽だとジャーナリストは投稿しています。

進歩派のメディア会社TYTを運営するジェンク・ユーガーは「カークに起こったことは米国政治において最悪の出来事だ。ご家族へお悔やみ申し上げます。犯人を許すまじ! これは凄惨な事件なだけではなく、政治論者すべての身に危険が及ぶ。暴力は常に間違いだし思考を放棄している。」と犯人を批判しています。

こちらのTikTokではカークの政治的な意見をまとめて紹介しています。

右派は残された家族への思いやりを持てと主張し、左派はカークの残したこれまでの政治的発言が現代の米国政治に残した禍根を強調しています。カークは「共感というのはニューエイジの造語で、大変有害なものだと思う」と発言したこともあります。

他者への共感を嫌ったカークは、残された自分の妻と子どもたちへの思いやりも拒否するのでしょうか。

昨年の大統領選挙期間中の暗殺未遂事件に続き、暗い時代に入ったことを予感させる出来事です。

Image: JustKoosh “The Internet Found Charlie Kirk’s Shooter”

  1. 当初は200ヤード(約183メートル)だと報じられていた。
  2. 映像から判断すると即死だと思われる。
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