ケイトリン・ベネット(Kaitlin Bennett)がSNSで論争を巻き起こしていたので紹介します。
オハイオ大学の騒動
論争の的になった事件の動画がこちらです。ケイトリンが出演しているチャンネルLiberty Hangoutで2020年2月18日に公開されました。
場所はオハイオ大学です。ケイトリンが多くの学生に取り囲まれ、罵声を浴びせられています。学生たちはケイトリンを差別主義者だと非難しています。
なぜ、学生たちはケイトリンを非難しているのでしょう？ ケイトリンは何をしに大学にきたのでしょう？
ケイトリン・ベネット
その前に、ケイトリンがどのような人物かを紹介します。ケイトリン・ベネットは通称ガン・ガール(gun girl)です。
Kaitlin Bennett
2018年にケント州立大学（オハイオ州）を卒業した後、自動小銃(AR-10)を背負いキャンパスに現れたからです。これは、在校生はキャンパスへの銃の持ち込みを禁止され、来校者は銃の持ち込みが許可されている規則に抗議するためのパフォーマンスです。
もうケント州立大を卒業したので、キャンパスで銃を所持できます。このキャンパスで丸腰だった4名の学生が政府に撃たれ亡くなっている1ので、私が在校生だった時から許可されるべきでしたが。
Now that I graduated from @KentState, I can finally arm myself on campus. I should have been able to do so as a student- especially since 4 unarmed students were shot and killed by the government on this campus. #CampusCarryNow pic.twitter.com/a91fQH44cq
— Kaitlin Bennett (@KaitMarieox) May 13, 2018
ケイトリンは銃規制反対派です。妊娠中絶に反対で、トランプ大統領を支持しています。
あなたの安全を心配して、誕生日プレゼントに拳銃をくれるような彼氏をみんなも持つべきね。ジャスティンありがとう。
Get yourself a boyfriend that cares enough about your safety to surprise you with a new handgun for your birthday. Thank you @JustinMoldow <3 pic.twitter.com/zvjO2MoDPU
— Kaitlin Bennett (@KaitMarieox) October 15, 2018
キャンパスにAR-10を持ち込んだ写真はバイラルになり、ケイトリンは一躍ネットの有名人になりました。彼女はアレックス・ジョーンズ主催の陰謀論系サイトInfowarsと提携している、Liberty Hangoutというチャンネルの動画に2018年の半ばから出演しています。Liberty Hangoutはそれ以降、急速に視聴数と登録者数を伸ばしました。
Liberty Hangoutの定番動画は、各地の大学キャンパスや抗議パレードに向かい、人々にインタビューをするというものです。
オハイオ大学で起こったこと
今回、論争を呼んでいるのはリベラルな校風で名高いオハイオ大学を訪れた際の動画です。
ケイトリンの投稿です。
トランプ支持者が大学キャンパスに行けば、このありさまです。オハイオ大学の左派は私たちが現れると暴徒化しましたが、オハイオ警察は無視です2。トランプ大統領はテロリストの温床になっている大学の助成金を削減すべきです。
This is what happens when a Trump supporter goes to a college campus. Leftists at @ohiou started a riot when @Joelpatrick1776 and I showed up, and the @oupolice let it happen. I think @realDonaldTrump should strip funding from universities like this that harbor terrorists. pic.twitter.com/5TMlfdto9O
— Kaitlin Bennett (@KaitMarieox) February 17, 2020
ケイトリンの動画からもわかりますが、彼女を取り囲んだ多くの学生たちが動画を撮影しています。そのうちTikTokに投稿されたものを紹介します。
ケイトリン・ベネットが、オハイオ大学の学生にいじめられているTikTok動画です。当然ですが。
（2021年6月20日：削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。）
ずいぶんと嫌われているケイトリンです。
Liberty Hangoutの番組
ケイトリンとは逆の政治的立場の学生が多いといっても、なぜ、ここまでケイトリンが嫌われ、彼女に抗議しようとする学生が多いのでしょうか？ Liberty Hangoutのほかの動画を見てみましょう。
中絶反対派であるケイトリンが、中絶賛成派の人々にインタビューをしています。動画の題名は「リベラルたちは偽善者だ」です。
動画では、「死刑制度に反対？」「うん」「なぜ？」「人を殺すのはよくないから」「じゃあ中絶はどうなの？」というやりとりで困らせています。
こちらの動画は、「ネイティブ・アメリカンの血が入っていると主張したエリザベス・ウォーレンの仮装をした」という回です3。
白人であるケイトリン・ベネットがネイティブ・アメリカンの格好をするのは、タブーです。近年、多くの有名人が過去にネイティブ・アメリカンの格好をしたりアフリカン・アメリカンの格好をしたことで釈明を迫られています。
ケイトリンは一般人に意地悪なインタビューをしたり、差別的でよくないとされている行動をあえてとったりしているので、批判を浴びています。また、議論の準備ができている専門家に（間違えて）インタビューしてしまったときは言い負かされないように逃げ出すこともあり、卑怯だという声も上がっています。インタビュー動画でもカットが多く、自分に都合のよい編集をしているように見えます。
ケイトリン・ベネットについてぐちぐち言ってる人は、あの人の動画を最後まで見たことないでしょう。人々を嫌な気分にさせ、人種差別的、同性愛嫌悪、トランスジェンダー差別発言、などなど。これは許しがたい動画のひとつ。
（2020年5月24日：削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。）
このように差別的発言や人々の神経を逆なでする発言をしてきたケイトリンなので、オハイオ大学で学生たちに取り囲まれることになったのです。
ケイトリン・ベネット ナチのガンガール
通称：脱糞女
彼女はホロコースト否定派のナチ「リベラル社会主義者のテロリストたちが水をかけてきた」
オハイオ大学はベネットたちが暴力的な武装したナチのインセル集団を連れてきて、この平和な大学キャンパスでまた殺人が起きないように、出禁にすべき
（2020年3月25日：削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。）
ケイトリンがオハイオ大学で学生に囲まれている動画を見て「当然だ」という意見も多く見られました。
it’s what she deserves https://t.co/6KM7N5QgmX
— zel (@denzeldion) February 18, 2020
ケイトリン・ベネットは20%銃、20％鉤十字、20%「あなたの上司はどこ」、10%「私の父親が誰か知ってるの」、30%はトミー・ローレン4、以上 クランセストリー・ドットコム5。
Kaitlin Bennett is 20% gun, 20% swastika, 20% I want to speak to your manager, 10% do you even know who my father is, and 30% Tomi Lahren, according to Klancestry dot com.
— The Volatile Mermaid (@OhNoSheTwitnt) February 18, 2020
ケイトリンには「ケント州立大学に在学中、パーティーでウ○コを漏らした」とのウワサがあります。オハイオ大学で学生からトイレットペーパーが投げ込まれたり、「オムツはどこ？」コールが起こったりしたのは、そのためです。さすがにこれは行き過ぎた個人攻撃ですが、これまでの行状のせいで誹謗中傷が飛び出すほど嫌われています。
（2020年6月6日：削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。）
ケイトリンの真の目的は？
ケイトリンの目的は何なのでしょうか？ ケイトリンの銃規制反対、中絶禁止、トランプ大統領支持は、保守派の主張に近いものです。ですから、保守派の意見を代弁し、リベラルの矛盾を指摘しているのかもしれません。
しかし、米国の保守派の特徴である、キリスト教の精神は薄いようです。
こちらのツイートの動画では、「銃は人を殺します。同じキリスト教徒として、銃を持つことには反対です。」と言っている学生とのやりとりをケイトリンは「うるせぇ黙れ」の一言で切り上げています。
（2020年9月19日：削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。）
こちらは、Liberty Hangoutが出した「ジェームズ・チャールズのTwitterアカウントを停止せよ」と主張する声明です。
（2023年11月5日：削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。）
ジェームズ・チャールズは本サイトでもたびたび取り上げてきた人気美容YouTuberです。YouTube登録者数もTwitterのフォロワーも多く、メディアにもよく登場します。
ケイトリンとLiberty HangoutをTwitterで批判している人は多いのに、その中でもあまり政治的発言が多くない有名人をターゲットにしています。YouTuberのローガン・ポールともいざこざを起こしています6。政治的議論をしようとしているというより、炎上商法らしき様子があります。
ケイトリンの強引な手法には、保守派からも批判が上がっています。
豆知識：私はトランプ支持者よ。今日トランプ2020のキャップ被って、レーガンのTシャツ着てた。いくつのものが私に向けて投げられたと思う？ ゼロ。ケイトリンが非難されているのはトランプ支持者で、共和党支持で、銃規制反対派だからじゃない。ケイトリンは憎しみにまみれてて、失礼で、侮蔑的で、ただ意地悪な人だから。
Fun fact: I’m a trump supporter. I wore a Trump 2020 hat and a Reagan t shirt today. Wanna know how many things were thrown at me? 0. It’s not becuase you’re a trump supporter, republican, or pro gun. It’s bc you’re hateful, rude, disrespectful, and just a genuine mean person. https://t.co/MC1qmSEEN7
— Daelyn Fry (@FryDaelyn) February 18, 2020
現代のSNSは、良いことでも悪いことでも注目を集めれば、視聴者数やフォロワー数が増えて、それが金になる仕組みになっています。ケイトリンとLiberty Hangoutはそれを悪用しているように見えます。動画は報道のインタビューのように見えますが、人々を苛立たせ、対立をあおり、炎上するのが真の目的でしょう。炎上すれば動画再生回数が跳ね上がり、広告収入が増えるからです。
左派系ニュースチャンネルTYTの動画です。
Infowarsの関係者がTYTのスタッフにインタビューしようと寄ってきたことがあるそうです。しかし、全員で無視したところ、何もできずに帰っていきました。「炎上で飯を食っている人物は、まともに相手にしないのが一番。挑発に乗るのは思うつぼ。」と言っています。
政治には冷静な議論が必要です。そのためには、どのような政治的見解もそれぞれ尊重される必要があります。ケイトリンの立場も、彼女を非難する学生の立場も、尊重が必要です。ケイトリンとLiberty Hangoutの行動は、尊重し合いながら議論する場を崩すものですから褒められたものではありません。しかし、たとえ悪名であっても有名になれば金になる仕組みがある限り、彼らのような人々が出てきてしまいます。彼らのような炎上狙いの動画を作る人々が儲けにくくなる仕組みが待たれます。
Image: Johnny Dogs
注
- 1970年のケント州立大学銃乱射事件を指す。ベトナム戦争に反対する学生を州兵が撃った事件。ベトナム反戦運動はケイトリンの思想とは相容れない左派的色彩の強いものだった。
- 警察からは、ケイトリンの行動も彼女を取り囲んだ学生の行動もともに表現の自由の範囲にあり、犯罪行為があったとは考えていない、というコメントが発表された。
OHIO POLICE PUT OUT A RELEASE THAT JUST BASICALLY POLITELY TOLD KAITLIN BENNETT TO SHUT THE FUCK UP LMFAOOOOOOOOOOOOOOOOOO FOR JUST THIS ONE DAY PERHAPS IT ISNT FUCK THE POLICE ? pic.twitter.com/Zjf6tLbRcl
— elijah daniel (@elijahdaniel) February 19, 2020
- トランプ大統領がエリザベス・ウォーレンを攻撃して、彼女が本当にネイティブ・アメリカンの血を引いているのかどうか怪しいと言ったことがあった。
- Tomi Lahrenは保守派の政治コメンテーター。
Tomi Lahren
2017年にテレビ番組にゲスト出演した際、「私は中絶賛成派である」と発言し、解雇される。その後は反省して保守派のパペットに徹することにしたのか、執筆時はFox系列のレギュラー番組を持っている。
- Klancestry dot comはKu Klux Klan (KKK)のKlanとancestry（祖先）を組み合わせた語で、「差別的なルーツ検索サイト」のような意図だと思われる。
- こちらの動画。ローガン・ポールのポッドキャストにゲスト出演していたが、ローガンがその回の動画を削除した。
Kaitlin Bennett Exposes Logan Paul
