監督のジャスティン・バルドーニと法廷闘争中の俳優ブレイク・ライヴリーが、批判的な動画を投稿していたクリエイターに召喚要請をして話題になっています。召喚された代表例はゴシップブロガーのペレス・ヒルトン、右翼陰謀論者のキャンディス・オーウェンス、YouTuberのアンディ・シグノアです。
ブレイクはこれらのクリエイターの情報を得ることで「ジャスティン・バルドーニが中傷キャンペーンを行った証拠」を集めたいようです。
ブレイクはDVをテーマにした2024年の映画『It Ends With Us』の宣伝中に、便乗して自身の飲料ブランドやヘアケア製品を宣伝していたことからひんしゅくを買い批判されていました。
映画は深刻な内容なのに、おちゃらけた様子で自身のブランド製品を宣伝していれば、批判されても仕方がないのですが、ブレイクはジャスティン・バルドーニが率いた中傷キャンペーンのせいで世間から批判された、と主張しています。
プライバシーの侵害?
今回、召喚されたクリエイターは他にもゴシップYouTuberのスピル・セッシュ、Xのユーザー、ザック・ピーターなども召喚されています。Google、X、などに情報提供をするように召喚された対象のクリエイターは全員、銀行口座の送金記録、住所、位置情報の記録、メタデータ、EメールとサブのEメールの記録、通話記録、SNSの記録、IPアドレス、SIMカードの記録の開示などを要求されています。すべてジャスティン・バルドーニの事務所との関わりがあるかの証拠を探すために召喚しているようです。
しかし、召喚されたYouTuberのスピル・セッシュは「ただのYouTuberとして裁判を紹介してきただけで、決してジャスティン・バルドーニやその事務所からお金を貰って動画を投稿していたわけではない。召喚に対する無効申立てを提出するだけでもそれなりに費用が嵩むので、何も隠すことはないから要求に応じるが、もう少し知りたい情報を絞ってほしい」と話しています。たしかに項目が多すぎて意味もなくプライバシーの侵害をしているかのようです。
さらにスピル・セッシュは「ブレイク側が得たクリエイターの個人情報がどのように扱われるのか心配。裁判のなかでクリエイターのドックス(個人情報の晒し)が起こるのではないか懸念される。今回の召喚ではクリエイターだけではなく、SNSの一般ユーザーも同様に召喚されているようだが、かわいそうに思う。」と話しています。
召喚の無効化を申請する1ためには弁護士に依頼するしかないので資金がある有名クリエイターなら賄えても、一般のSNSユーザーでは余裕がない人もいるはずです。
ブレイク側の手法について「億万長者のハリウッドセレブが弱小クリエイターいじめをしている」との指摘があるのはこのためです。召喚の要求を拒否するだけでも弁護士に何百万円も払わねばならないのだとすると、もし仮にクリエイター側からライヴリー側に資料が行くと、ライヴリー側は弁護士にそれ以上のお金を払って内容を精査させねばならなくなるはずです。精査したところでほとんど徒労に終わるでしょうし、ライヴリー側も無駄金を使うことになりそうです。法律事務所の言いなりになってお金を搾り取られているのか、半狂乱になって損得勘定ができなくなっているのか、どちらでしょう。
クリエイターの声
召喚されたYouTubeポップコーンド・プラネットを運営するアンディ・シグノアは「僕はミント・モバイル(ライアン・レイノルズが株主兼広報を務める会社)からしか広告費を受け取ったことしかない! 僕の動画はそれほど問題になっていないようだ! 僕の動画にミント・モバイルの広告が出たらスクショ撮って!」と投稿しています。
All hail @KassidyOC 🙌🏻 This clap back at Blake Lively & Ryan Reynolds is 💯 TRUE!!! The only party who’s paid me is RYAN REYNOLDS thru constant Mint Mobile ads! Our videos must not be that offensive! Guys go screenshot Mint Mobile ads on our content! Post them below! pic.twitter.com/Qx2cO6CflZ
— Andy Signore (@andysignore) July 22, 2025
ジャスティン・バルドーニ側ではなく、ライアン・レイノルズとブレイク・ライヴリー側からしか資金は得ていない、と主張しています。
同じように召喚されたクリエイターのザック・ピーターは「去年(まさに『中傷キャンペーン』の時期)に私のポッドキャストのスポンサーをしていたのはミント・モバイルだった。もうスポンサーは断ったけど、私のYouTube動画には相変わらずミント・モバイルの広告は付いてる」と投稿しています。
Funny because last summer Mint Mobile (during the “smear campaign”) was actually a sponsor of my podcast.
I’ve since declined a new sponsorship with them twice but their ads still run on my YouTube videos. https://t.co/cbrX3uUWlC
— Zack Peter (@justplainzack) July 22, 2025
もし、そのままスポンサーを受けていたらブレイク批判の内容は却下されていたでしょうね。
却下された人も
すでに召喚の無効化を提出し、受け入れられた人もいるようです。イギリス在住のリーアン・ニュートンは情報提供の必要がなくなったと報告しています。
🚨BLAKE LIVELY HAS WITHDRAWN HER SUBPOENA FOR MY DATA🚨
For the record, I never met with the lawyers and have not been asked for anything. I simply got an email letting me know they were withdrawing and had notified X. pic.twitter.com/w0b2VbgPZL
— Leanne Newton (@kiarajade2001) July 26, 2025
しかし、ほとんどのクリエイターはそのままのようなので、今後の動向に注目です。
こちらの記事ではライヴリー側がクリエイターを召喚するのは弱い者いじめと指摘しています。
Blake Lively is married to one of the most powerful men in Hollywood, and she’s coming for the rights of female content creators with subpoenas for their bank info, contacts, locations and more.https://t.co/TweyiWxMPA
— Sarah Reese Jones (@PoliticusSarah) July 25, 2025
さらに記事では「一部のジャーナリストはライヴリー批判をしているのは右翼の女性蔑視主義者という論調を唱えているが、ライヴリーを批判しているのはノンポリで男性からDV被害に遭ったことがあるサバイバーの女性たちやトゥルー・クライム系クリエイター、ポップカルチャーを扱うクリエイター、ノルウェー人のジャーナリストなどで、ミー・トゥー否定派や右翼はごく一部」と指摘しています。
この記事は、弱いクリエイターたちを召喚することで高額な弁護士費用を負担させ威圧するさまはトランプがメディアにしていることと同じ、とまで指摘しています。
Image: SLOAN “BLAKE LIVELY THREATENS YOUTUBERS, GWYNETH PALTROW SHADES BRAD PITT, HAILEY WON’T LET JUSTIN TOUR”