エミリー・マリコのトートバッグ18000円、シェルビーさんのマグカップ12000円は高すぎる?付加価値「感覚」の生み出す魔術

YouTuberニュース

物を売るには付加価値をつけるのが必要な時代になったようです。憧れのインフルエンサーが売り出したトートバッグを買えば、インフルエンサーと同じような高級感溢れる生活をしている感覚になり、作家が作ったマグカップを買えばオシャレな生活をしている感覚になれます。

このような付加価値があれば、原価が数百円のトートバッグでも高価格で販売できるようです。付加価値は消費者の財布のヒモを緩ませます。

今回はTikTokインフルエンサーのエミリー・マリコが売り出したトートバッグと作家が売っているマグカップの価格帯について論争が起きていたので紹介します。

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高すぎる?トートバッグ

エミリー・マリコは2021年に鮭とご飯にマヨネーズとスラーチャをかけ、韓国ノリで巻いて食べる動画がバイラルになりTikTokで有名になりました。コツはご飯をチンする際、氷を一つ入れることです。お米がしっとりしますね。エミリーのTikTokフォロワー数は1270万人です。

エミリーはファーマーズマーケットで無農薬栽培された新鮮な野菜や果物を大量に買うライフスタイル動画を投稿しています。環境への意識が高く高級感溢れる食事をしているエミリーを参考にしたり憧れたりする視聴者が多いようです。

通常は視聴者に話しかけることはなく、コメント欄で交流することもありません。一方的に暮らしぶりを見せるインフルエンサーのようです。距離があった方が高級感が高まるのかもしれません。

そんなエミリーですが、オリジナルのトートバッグ$120(約1万8000円)を販売して話題になっています。綿100%で、2色展開です。

ファーマーズマーケット用トートバッグとして売り出しているあたりにエミリー・マリコのブランドを感じます。執筆時、エミリーのトートバッグは売り切れになっています。

売り切れにはなりましたが、エミリーのトートバッグの価格については少なからず批判の声が出ています。こちらの動画では「アリババで数百円でトートバッグが買えるのに」と指摘しています。

ここまでの内容はTea Spillが紹介しています。

Influencers are ripping you off…(tote gate)

ファンの憧れの存在になってしまえば、原価が限りなく低いトートバッグを高値で売りさばき、完売できるようです。ファンが買っているのはトートバッグではなく、「エミリーみたいな憧れのライフスタイル」なのでしょう。憧れという実体のないものにお金を払っているとすれば、ほぼ宗教的なお布施をしているのと同じです。マインドコントロールだとか、収奪だとか批判されないので、教祖になるよりインフルエンサーになる方が安全です。

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高すぎる?マグカップ

オーストラリア人インフルエンサーのソフィアさん(Sophia Begg)が投稿したマグカップの動画が話題になっています。ソフィアさんは手作り市へ行き、作家のマグカップを購入したそうです。価格は125豪ドル(日本円で約1万2000円)だったそうですが、「このマグカップかわいいでしょう? 値段を知らずに買おうとしてて、箱に詰めてもらった後に値段を知ったの。クリスマスプレゼント用に買ったけどこんな値段だと思わなくてびっくりした。」と話しています。マグカップにはいちごの絵が描かれ、持ち手が二つ付いている特殊なデザインです。

マグカップとしては高級品です。たとえば、エルメスのマグカップは2万5000円なのでその半分ほどです。視聴者は「家族のために素敵なプレゼント用意して優しいね」のような意見を書き込んでいます。

しかしソフィアさんの動画を見て気分を害した人がいました。マグカップの作り手シェルビーさんです。シェルビーさんは反論動画を投稿していました。※動画はすでに削除されています。

シェルビーさんは「作り手の時間や労力を考慮しないなんて悔しいです。」と話し、ソフィアさんには価格を説明した上で購入してもらった、と反論しています。

ソフィアさんはさらに状況を説明する動画を投稿します。「私はマグカップが価格相応ではないと言っていません。ただ、私が値段を知らないまま買ってしまったと言っただけです。」と話しています。

ここまでの内容はHaylo Hayleyが動画で紹介しています。

TikTok's 'Small Business Owners' Are DELUSIONAL…

ソフィアさんはびっくりしたようですが、シェルビーさんがその価格で売ってきたということは、買う人もいたということでしょう。どんなマグカップでも、自由に価格をつけて、納得して買う人がいれば問題ありません。ただ、確かにびっくりする価格ではあります。シェルビーさんが過剰反応してしまったのも、面と向かってそう言われることがよくあるからかもしれません。

ファンを作り、ファンの憧れの存在になり、ファンにはうれしい付加価値をつければ商売は安泰ですが、シェルビーさんにはエミリー・マリコのようなファンはまだついていないようです。

商品そのものではなく付加価値を売り、商品の使い勝手ではなく憧れの感覚を買い手は求める時代になったように見えます。この記事で紹介したトートバッグもマグカップも詐欺ではありませんが、詐欺としか言いようのない「商品」も、ファンにとっては垂涎の的なので飛ぶように売れることもあります。商売と新興宗教の区別がつかない時代になりそうです。

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