新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界各地で拡大し、第一波が収束しつつある地域もあります。
第一波を収束させ、今後予想される第二波によりよく対処するための鍵になるのが接触者追跡アプリです。
このアプリはどのようなものなのか、追跡はどのように行われるのか、プライバシーの問題はないのか、動画で見てみましょう。
接触者追跡アプリって何?
接触者追跡アプリについて解説している動画です。チャンネルはWall Street Journal(登録者数217万人)です。
新型コロナウイルスに限らず、感染症の感染者が発見されると、接触者の追跡が始まります。保健当局が感染者に最近誰と接触したのかを聞き取り、濃厚接触者を見つけて、検査すると同時に隔離します。この聞き取りは手間のかかる作業です。
接触者追跡アプリは接触者の調査を省力化してくれます。アプリがインストールされた2台のスマホが近づくと、スマホ同士が自動で通信して、キー(数字の列のようなもの)を送りあい、記録します。
感染が確認された人のスマホのキーは公表されます。自分のスマホにこのキーが記録されていた人は接触者だとわかるので、自動的に通知が来ます。
キーは匿名化されているため、個人は特定されません。また、キーは定期的に変化します。接触相手を示すキーを使うだけで、位置情報は記録されません。そのため、どこで接触したのかの情報が漏れることはありません1。
スマホの接触者追跡機能
2020年5月20日リリースされたiOS 13.5には接触者追跡機能が入りました。Androidにも導入される予定です。この機能はAppleとGoogleが共同開発したものです。こちらの動画で解説されています。チャンネルは9to5Mac(登録者数55.4万人)です。
iOSでは「設定」からこの機能をオンにすることができます。ただし、この機能をオンにするとともに、各国の保健当局の作成した接触者追跡アプリをインストールしなければ使えません。プライバシーが心配な人は機能をオフにすることもできます。
接触時のキーの通信はBluetoothで行われます。AirPodsと同じです。BluetoothはWifiと比べて短距離の通信なのでスマホで接触者を自動的に記録するのにちょうどよいからです。
仕組みについてはこちらをご覧ください。
なお、iOS 13.5にはもう一つ新型コロナウイルス関連の機能が入りました。マスクをつけているとFace IDではロック解除ができませんが、ロック画面をスワイプするとパスコードが入力できるようになりました。
米国の一部の州はこのアプリを導入予定だと9to5Macは報じています。
すでに導入されている国では
多くの国で接触者追跡アプリはすでに導入されています。こちらのDW News(登録者数140万人)のニュースでは、シンガポールやインドやオーストラリアで導入され、インドでは旅行者には義務化されていると語られています。
早くから導入されたアプリはAppleとGoogleのAPIとは違う仕組みで動いており、プライバシーの問題があると指摘されているものもあります。
オーストラリアではアプリが導入されていますが、アプリは患者を1ヵ月で1例しか発見できていません。これはiPhoneではアプリが動かなかったからです。iOSに正式に接触者追跡機能がついたため、状況は今後改善すると考えられています。
また、これまでは人々の位置を記録することで接触者追跡をしていたが、今後は個人を特定できず位置情報も持たないキーで追跡できるようになるのでプライバシーの点でも改善されるだろう、と専門家が話しています。仕組みが透明化され、プライバシーの不安が減ればアプリが普及しそうです。
【2020年6月1日追記】iPhoneで設定 > プライバシー > Bluetoothに入ると次の表示が出て「COVID-19接触のログ記録」を設定にできるようになりました。