YouTuber、コンテンツ・クリエイターのCasey Neistat(ケイシー・ナイスタット)がMrBeast(ミスター・ビースト、以下ジミー)にインタビューしています。ニューヨークにあるケイシーの自宅兼事務所でインタビューは行われました。
MrBeastは本名ジミー・ドナルドソン。ノースカロライナ州在住の1998年生まれ(26歳)。YouTube登録者1600万人。100万個のレゴで家を建てたり、Twitchストリーマーやピザの配達員に大金のチップを渡したり、10時間通しでジェイク・ポールの名曲(迷曲)『It’s Everyday Bro』を聴き続けたりする動画を投稿している。全てが桁外れで子どもの夢を叶えたような企画が多い。チャンネル総再生回数は20億回。今、最も視聴されているチャンネルの一つ。
ケイシー・ナイスタットはYouTube登録者1100万人。批判的視点でドキュメンタリーを制作したり、最高級ファーストクラスに乗って移動したり、1泊およそ200万円のホテルに滞在したりするガジェット好き。人気YouTuberのデイヴィド・ドブリックを可愛がっている。
以下はこちらの動画の内容に則しています。
ミスター・ビーストのチャンネルについて
ミスター・ビーストのチャンネルの総再生回数が20億という驚くべき数字なのをケイシーは冒頭に讃えています。1人1回とすると地球の総人口の3人に1人が見た計算です。
チャンネルでは今まで辞書を8時間かけて読んだり、24時間フィジェットスピナー回し続けたり(2回)、ペイントが乾くのを1時間かけて眺めたり、ピューディパイの名前を10万回言ったりしてるね。44時間かけて10万まで、ただ数を数えているだけの動画もある。気がおかしくなりそうになったりした?
あの時は必死だったんだ。大学中退して、絶対にバイラルになる動画作りたかったから。
ジミーは最初のチャンネルを12歳の時に開設しています。現在はそのチャンネルは削除されていますが、今のミスタービーストのチャンネルでは700ほどの動画が投稿されています。初期はマインクラフトなどのゲーム動画を投稿していました。
ずっとYouTuberになる夢はあった。でも無理だろうって思ってた。それでも何年も何年も続けてて、どうしたら人気になれるんだろうってずっと考えてたよ。
広告収入が全くない状態で、再生回数は少なくても続けていたんだね。最初に100万回再生された動画はジミーの人間性を表してる内容だね。スタントがあったり。
ミスタービーストのチャンネルで5番目に100万回再生された動画です。サランラップとトイレットペーパーを体に巻いています。
桁外れの企画はどのようにして生まれたか
初期の頃ジミーは、撮影機材を持っていなかったので、PCに内蔵されているカメラやマイクで撮影していました。少しお金が貯まって、iPhoneを購入して撮影の幅が広がり(この時点で登録者は20万人)、さらにお金が貯まり、やっとカメラを購入出来たそうです。
最初に1000万回再生されたのは、お金にまつわる企画だった。賢明な人間がYouTubeに投稿しないような内容だ。動画がバイラルになって、手応えを感じてどう思った?
僕の考えでは、ずっと貯金して撮影機材を揃えていったように、今月の収入を来月の撮影予算に充てるって感覚だった。収入が増えたから、その分撮影に使える予算が増えただけなんだ。
もしね、YouTuberになりたい100人に「100万円あげるよ。」って言って使い道を訊ねたら、撮影機材とか、旅行とかに使うと思うんだよ。けど、「100万円をそのままピザの配達員に渡そう!」って発想にならないと思うんだよね。
ジミーの最初のスポンサー動画は『たまたま出会った路上生活者に100万円渡す』でした。
スポンサーには50万円を提示されていましたが、2倍を要求して路上生活者に渡したそうです。
ケイシーは純粋な慈善活動なのか、バイラルな動画を作るためなのか動機を質問しました。
もともと人助けは好きだったよ。貧乏な頃から路上生活者にお金渡したりしていたから。証明しようがないからウソに聞こえるかもしれないけど! 人生の目標は、お金たくさん稼いで、死ぬ時に寄付することなんだ。
お金の話
ジミーは善意の塊のような人ですが、ケイシーはチャンネルの説明欄を読み上げます。「メールでお金を要求しないで下さい。ブロックして無視します」と書いてあります。矛盾に2人して笑いますが、ケイシーは今までジミーが人にお金を渡している動画の題名を読み上げます。
「路上生活者に100万円渡した」「路上生活者に家を買った」「お母さんに1000万円渡した」などなど。
動画ニュースにもなっています。
何で現金渡すの?
年収に相当するような金額を受け取った人の反応が面白いからだよ。動画にはしてないけど、翌日「あなたのお陰で仕事休めたから、娘との時間が出来ました」ってお礼を言ってくれる人もいる。嬉しいよ。
ニュースでは悪い報道の方が人気になるかも知れませんが、YouTubeは特殊だとジミーは話します。YouTubeではポジティブで感動するような動画の再生回数が増えやすいと話しています。
サムネと企画のアイディア
ケイシーはジミーの企画の秀逸さ、サムネや題名の付け方が上手だと褒めています。
他のYouTuberが30分で企画考えて5時間で撮影するところを、僕は10時間かけて企画を練りたいし、数日かけて撮影したい。企画だけじゃなくてどの工程も丁寧にしてるよ。
考え抜かれているからこそ、ついクリックしたくなるような動画を作れるのですね。
『Orbeez11億個を友だちの庭に置いた』という動画です。
完成したプールの迫力と、かかった労力に脱帽します。実際に入ってみたい!
YouTuberとして
どうやって再生回数を稼ぐか、いつも考えてるって話してくれるけどYouTuberとして重視するのは、やっぱり再生回数や収益?
核心を突くような質問だね。僕を頼りにしている従業員や母がいるんだ。みんなの生活がかかってるから、収益は意識するよ。再生回数が多い面白い内容の動画は作れるし、それを実現したいと思ってる。バイラルな動画を作りたいって思いは別に悪いことではないよね。
モチベーションの話題になりました。ジミーはどのような目標を掲げてYouTuberを志したのでしょうか?
YouTuberになりたかったから、友人たちを雇用したいから、家族を支えたいから、などを答えています。ジミーはたとえ今、収益がほとんど無い状態でもYouTubeは続けているだろうと話します。5年間ほとんど収益がなくても続けていたジミーの言葉には説得力があります。
ピューディパイへの執着
MrBeast(ジミー)は今までピューディパイをテーマにした動画を20本ほど投稿しています。
こちらはMrBeast(ジミー)たちがスーパーボウルの会場で「PewDiePieに登録して!」と書いてあるTシャツを着て生放送に映ったという内容です。
こちらの記事でも紹介しています。
なんでフィリックス(ピューディパイ)の動画をいっぱい投稿してるの? 忠誠心? 面白いから?
とうぜん、面白い動画になるからだよ。ピューディパイ好きだから、登録者増やしてあげたい2し、応援するためには動画がバイラルにならないといけないし。
『未来の自分へ』動画
ジミーは『未来の自分へ』という動画をいくつか投稿しています。
こちらは『2年後の自分へ』という動画です。
登録者が目標に達してると良いね、など話しています。
あの『未来の自分へ』シリーズ面白いよね。
誰もしてなかったし、人の興味を引けるかなと思ったんだ。
クローン病を患っている
ジミーはクローン病を患っています。クローン病は大腸と小腸に慢性の潰瘍ができる病気です。
ケイシーは病気について聞こうとしますが、ジミーは動揺してあまり話したくなさそうにします。簡単には説明できない、大変な思いをしているのですね。クローン病は場合によっては口から食事ができず、中心静脈栄養(点滴のように栄養を血管に注入する)になってしまいますし、食事ができる場合でも消化のよいものを注意して選ぶことが必要です。ジミーが動画で落ち着いているのは、病気のせいで体力がないからだと話しています。
今まで、YouTubeで人気になるのは問題行動が多く、違法行為すれすれの動画を撮っているクリエイターでした。しかしMrBeast(ジミー)は人を喜ばせるような動画、感動するような動画、子どもの夢を実現したような楽しい動画を投稿して人気になりました。
今までジミーが他人に渡した総額は$2ミリオン(約2億2千万円)です!
人気YouTuberになる秘訣は諦めない執念と、動画に時間や労力を惜しみなくかけて他のクリエイターと差を付けることだと教えてくれています。10年後も変わらず動画を制作し投稿するつもりだそうです。ジミーは心底、楽しんで動画制作をしているのをインタビューの受け答えから感じました。これからも、桁外れの金額をバラまき、桁外れの夢を叶えていくYouTuberのMrBeast(ジミー)から目が離せません!
ミスタービーストの代表的な動画を紹介しています。ぜひ併せてご覧ください!
Image: Dany #gotaworldtosee, Leon Lush, Dara Tah, Nic _D
注
- Orbeezは水で膨らむぷよぷよしたビーズ。
- ピューディパイはインドの音楽・映画配信チャンネルT-seriesと登録者争いをしている。その応援のためにジミーはしつこく「ピューディパイに登録して!」と動画で言っている。