化粧品販売大手のセフォラ(Sephora)に10歳の子どもたちが押し寄せているとTikTokで話題になっています。子どもたちは大人向けのレチノール入りの基礎化粧品や高額な香水、セレブが立ち上げた化粧品ブランドを買い求めています。
押し寄せている子どもたちは2010年から2024年生まれの世代、ジェン・アルファ(Gen Alpha)です。彼らはiPadキッズとも呼ばれています。無制限にネットを操り、パンデミック中に自宅で待機する時間が長かったため、やや社交性に欠けているとも言われています1。
キッズインフルエンサーの活躍もあり、ジェン・アルファはルルレモンを着てスタンレーカップを愛用しレア・ビューティーを使うとも言われています。大人顔負けの消費をする子どもたちをTikTokを中心に紹介します。
子どもの遊び場セフォラ
10歳から12歳児と見られる子どもたちはドランクエレファント(Drunk Elephant)やビクターアンドロルフ(Victor & Rolf)の香水、セレーナ・ゴメスがプロデュースしている化粧品レア・ビューティー(Rare Beauty)などを購入しているようです。
子どもたちが試供品を荒らすマナーの悪さを接客した店員や目撃者がTikTok動画にしています。
ドランクエレファントの化粧品をカクテルにして遊ぶのが流行っているのか、試供品のクリームや化粧水を混ぜる子どもたちがいるようです。
こちらの動画では10歳児のお客さんを接客したセフォラ店員が経験を話しています。
10歳児はカゴいっぱいに商品を詰め込んでいました。ビクターアンドロルフの香水を2つ購入しようとしており、香水だけで$300(約4万4000円)になったそうです。商品をすべて読み込んで合計金額が$900(約13万円)になったそうですが母親がやってきて、合計金額を知り、10歳児と口論になったそうです。結局、10歳児は$500(約7万3000円)分の商品を買って帰ったそうです。
美容YouTuberのパトリック・スターは12歳はドランクエレファントやレアビューティーを購入する様子をコントにしています。
パトリックは、なぜ子どもがセフォラにいるのか理解できないようです。大人顔負けの金銭感覚をしている子どもたちを見た人々は、驚きを隠せないようです。
一方、「まぁ良いじゃないか、子どもたちは遊び場がないんだ」と話す動画も投稿されています。
無料ゲームもなく、遊び場もなくなっているので仕方がない、子どもに思いやりを持とうと話しています。
さまざまな意見
教員免許を持ち、子どもの心理をよく理解しているジェン・ラブズ・レビューもセフォラに集まる10歳児の現象を動画にしています。
ジェンは「子どもたちが大人の行動を真似したがるのは当然だが、購入する化粧品の成分は子どもに有害なものも含まれるので保護者が確認するべき。特にレチノールは子どもは使わない方がいい。角質を落とす製品も必要ない。」と話しています。シワ対策美容液も子どもたちが買おうとしていますが、無用だろうが何だろうが子どもたちは大人のまねをしたがるものです。TikTok美容インフルエンサーの威力でしょう。
子どもたち消費が変化している理由はtinyseyが動画で紹介しています。
tinyseyはネットと子ども向けの宣伝の影響だと解説しています。実際、大人のように商品レビューをして宣伝をしている子どもインフルエンサーが多くいます。
「すごく潤う感じがするの。ステキ!」と叫んでいますが、きっと、美容インフルエンサーのまねをしているだけでしょう2。このキッズ美容インフルエンサーはTikTokで商品の宣伝をひたすら投稿していて、すでにかなり稼いでいる様子です。
子どもが鏡台に山積みの化粧品を置いている動画もあります。
一部の富裕層や子どもインフルエンサーに触発され、中流層の子どもたちも同じものを欲しくなるようです。セレブが整形すれば同じ整形をして、モデルが流行の洋服を着れば同じものを買いたくなる現象と同じ……なのでしょう。
アメリカの物欲と消費傾向は底なしです。次世代の美容インフルエンサーも供給されているところを見ると、この傾向はますます拍車がかかっていくと思われます。