クリスマスシーズンに入りました。SNSもクリスマスに向けて盛り上がっていますが、こんな人形を見たことがありませんか? こちらはキム・カーダシアンの動画です。
子どもたちが人形で遊んでいます。手足がひょろ長く、ちょっと不気味な感じもする人形です。
これはアメリカの家庭によくあるエルフ・オン・ザ・シェルフと呼ばれる人形です。この記事ではエルフ・オン・ザ・シェルフとは何なのか、SNSでどのように扱われているのかを紹介します。
棚の上の妖精
エルフ・オン・ザ・シェルフ(Elf on the Shelf)は訳せば「棚の上の妖精」です。エルフ・オン・ザ・シェルフは2005年に出た絵本が元になっている人形で、絵本とセットで販売されています。絵本では、このエルフは12月になると子どもたちの家にやってきて、子どもたちがいい子か悪い子かをサンタクロースに毎日報告し、クリスマスの日に北極へ帰っていくことになっています。
そのほか、子どもはエルフを触ってはいけない(触るとエルフはサンタに報告できなくなる)、エルフは毎朝別の場所に座っている、などの追加設定もあります。
12月になるとやってきて、毎朝違うところに座り、サンタさんに自分たちの様子を伝えてくれるエルフは、子どもたちに人気になりそうです。親たちにとっても、サンタにいい子かどうかを報告しているエルフがいると言うのはしつけに使えて便利かもしれません。
事実、Google Trendsによれば、数年来、年末に集中してElf on the Shelfが検索されているようです。
米国ではクリスマスシーズンの商品として定着していることがわかります。
脅しに使われている?
一方で、「いい子にしているかエルフが監視しているぞ」と子どもたちを脅し恐怖心を植え付けるのはよいことなのか?という批判も出ています(こちらの記事など1)。事実、たとえばこちらの動画では、エルフを使って「悪い子にはクリスマスプレゼントがないよ!」と脅しています。
とはいえ、そう言われても言いつけを守れない子供もいるようです。こちらは、上で登場したキム・カーダシアンの家で子どもがいたずらをした後で「エルフのせいだよ」と言ったという記事です。Daily Mailはこんなどうでもいい話を記事にしてしまうのか。
子どもへの圧力以外にも、困った点はあります。公式ウェブサイトではエルフの販売店が「エルフを家に迎え入れるセンター(Adoption Center)」と表示されており、養子をとる(adopt)のと同じ言い回しです。買わないと言いにくい、捨てようと言いにくい、微妙な圧力を感じます。
商品宣伝も派手に展開しています。エルフ・オン・ザ・シェルフはクリスマスの伝統(Christmas Tradition)と謳われていますが、2005年に始まったもので、歴史は長くありません。こちらのオーストラリアABCの記事もエルフを取り上げていますが、記事の最後に「商品について触れていた箇所を削除しました。」とあります。
動画のネタとしても人気
エルフが毎朝別の場所に座っているという設定なので、「エルフが動いた!」という動画が人気になっています。ホラー動画的な扱いですが、ひょろ長い手足が少し不気味なので、ホラーになじんでいます。
こちらは子ども向けホラー動画を作っているリジー・ノエル(Lyssy Noel)の動画です。
TikTokなどの「エルフが動いた」動画にリアクションをしています。いかにも子どもだまし子どもに人気が出そうです。
人気のあまり詐欺も?
人気のあまり、事件も起こっています。こちらのニュースでは、ヒューストン(テキサス州)の多数の家庭がエルフ・オン・ザ・シェルフを買うため入金したのに商品が届かないという詐欺に遭ったことが報告されています。
便乗詐欺が出てくるのは人気の証拠です。
Facebookページ経由で販売されていましたが、今では販売者のページは消えていると報道されています。エルフが姿を消すのはクリスマスの日ですが、販売者がそれ以前に消えてしまうのは予想外だったでしょう。販売者がエルフの本拠地の北極に行ったのか、どこかほかの犯罪者が身を隠すのに適切な場所(フロリダとか)に行ったのかはわかりません。
Image: DO NOT CALL ELF ON THE SHELF ON FACETIME AT 3AM!! *CAUGHT MOVING ON CAMERA* (UNBELIEVABLE)