教会に粉ミルクを欲しいと電話する社会実験をしたTikTokシリーズが話題になっています。実験を行ったのはバイブルベルト(米国南部のキリスト教信仰心が強い地域)に住むニコライ・モンローさんです。彼女は「教会は収入の10%を寄付するように要求するのに、地元の住民のために何か貢献をしているのを見たことがない。一体そのお金はどこに行っているのかを知りたい。」と話しています。
ニコライさんは赤ちゃんの泣き声の音声を流しながら教会に電話をかけています。「赤ちゃんは数時間ご飯を食べられていません、粉ミルクがなくなったのでほしいのですが」とお願いしています。結果は悲惨なものでした。教会に通っている人にしか渡せない、申請をして受理されれば数日から数週間で受け取れる、そのような要求には対応できない、別の慈善団体に問い合わせるべき、との回答が多数を占めました。
一方、イスラム教のモスクや(経済的に低迷していることで知られる)アパラチアの教会の老紳士はメモを取りながら快諾する例もありました。
断ったキリスト教の教会はプロライフ(堕胎を許さない)の教義を広めているのに、生まれた後の赤ちゃんや困窮した人には冷たい様子が批判されています。
ニコライさんの投稿
こちらがニコライさんが実験をするに至った背景を説明しています。「一生懸命稼いだお金を寄付するみなさんは、そのお金の使い道に興味を持ったことはありませんか? 私は教会が困窮する人に救いの手を差し伸べるのを見たことがありません、なので、この実験をして実際はどうなのか知りたいのです。」と話しています。
こちらではテキサス州の福音派のメガチャーチ(巨大教会)に電話していますが、取り次がれた先の電話では誰も出なかったので再度電話をかけ直しています。結局、何も対応はできないと断られています。
42件の電話をかけたところ、33件は断られ、9件は受け入れてもらえる結果でした。
反響
ニコライさんの動画は拡散し、多くの視聴者が見ています。こちらの動画では「心優しいモスクの人やアパラチアの教会もありましたが、多くは見捨てています。教会は何をしているのでしょうか。」と話しています。
ニコライさんへの支援を断ったので教会はレビューサイトなどで批判を浴びていました。そのような教会の牧師の中には日曜礼拝で「電話の主(ニコライさん)は魔女だ」「悪魔の手先だ」と話し、ニコライさんを悪者にする例もありました。
こちらの動画ではニコライさんをすげなく断る窓口が「まさか私たちを慈善活動をするから税金払っていない団体だと思っていませんよね? 教会は神父の不倫相手に口止め料払ったり、高級車を買うのにお金が必要なの」と話し教会を風刺しています。
ここまでの内容はThe Humanist Reportが動画で紹介しています。
彼も実家が困窮した際、通っていた教会は何も手助けしてくれなかったが、別の教会が助けてくれた体験を話しています。さらに粉ミルク提供を快諾したのは仏教のお寺やイスラム教のモスク、黒人教会なのに、大金持ちのメガチャーチやプロライフの教会は断っていることを批判しています。
その後、ニコライさんは一部の教会は窓口に粉ミルクオムツ、お尻ふきを常備する対応を始めた所もあると話しています。一方で教会は頼れる場所ではない、自分たちで何か慈善活動をしようと思い立つきっかけになった例もあると紹介しています。
視聴者の中には断った教会の他の悪事を掘り出し動画にする人もいて、教会への批判がますます高まっています。教会の偽善や、冷淡な対応はどうして起こってしまったのでしょうか。
手助けをしてくれた教会や宗教団体は信者が貧しく、普段から信者を助けているところが多いように見えます。一方、メガチャーチの信者は困窮していないから普段から何も支援していないのでしょう。メガチャーチは成功者が成功者の証として通って寄付していることをひけらかすようなところが多いのかもしれません。この時代、善人になった気分を味わわせるのは儲かる商売のようです。
