Throwing shadeというアメリカ・スラングがあります。Throwing shadeはspilling teaとよく一緒に出てきます。
Throwing shadeはどんな意味でしょう?
由来
どうやらshadeはLGBTQ+の文化に由来する言葉であるようです。
1990年のドラァグクィーン・ドキュメンタリー映画『パリ、夜は眠らない。』の中でドラァグクイーンのDorian Coreyはこう説明します。
Shade is, I don’t have to tell you you’re ugly, because you know you’re ugly.
Sophia Loren throwing shade at Jayne Mansfield in 1958. This is a tremendous photo. (Image: Joe Shere) pic.twitter.com/I5MqIoFnHf
— Meredith Frost (@MeredithFrost) 2014年9月20日
リアリティ番組ル・ポールのドラァグ・レース内でも頻繁に出て来る用語です。ニューヨークタイムズの記者はこう解説します。「Shadeにもいろいろあります。攻撃的だったり探りを入れたりするような一瞥とか、言葉で褒めているようで実は貶していたりとか。」
#Untucked brings sisters together, not just throwing shade. Ru-watch online on @LogoTV.com: http://t.co/ujXewUarHx pic.twitter.com/SUc9cGPBqz
— RuPaul’s Drag Race (@RuPaulsDragRace) 2014年4月23日
ノースウェスタン大学で社会学を研究し黒人ゲイコミュニティでの侮辱の文化についての著書もあるE. Patrick Johnsonは言います。「ひどいドレスを着て部屋に入ってきた人がいて、でもひどいとあからさまに言いたくない時は、『あらまあ、見てよOooh … look at you!』と言うものなのです。」
(2020年5月24日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
つまり、一見褒めているようで、相手を暗に侮辱しているわけです。Look at you.は文脈や言い方で良いようにも悪いようにも聞こえるからです。(この場合は素敵なドレスね!と何て酷いドレスなの!どちらの可能性もありうる。)場合によってはshadeは「当てつけ」とも訳せます。
暗に意思表示する形式は日本の本音と建前に近い文化も感じますね。
以下はTwitterで見かけたthrowing shadeを用いたツイートです。
Katy Perry can’t resist throwing shade when Taylor Swift is mentioned on ‘American Idol’ https://t.co/ZSK5yrDprb pic.twitter.com/McL8tVFoCZ
— HuffPost UK (@HuffPostUK) 2018年3月19日
個人的に好きなthrowing shadeは、
Self-made means having succeeded in life unaided.
Used in a sentence: Forbes says that Kylie Jenner is a self-made woman. https://t.co/sr8Ncd7s5A https://t.co/ehEL7Cf6KV— Dictionary.com (@Dictionarycom) 2018年7月11日
カイリー・ジェンナーをself-madeと表現したForbesに対してのDictionary.comのツイートです。(カイリー・ジェンナーは自己の力のみで成功したとは言いがたいですね。)
【2020年9月21日】本文を加筆訂正しました。