カルト的な人気を誇るファッションブランドのザ・ロウ(The Row)のサンプルセールが行われTikTokで動画が話題になっています。『フルハウス』で有名な双子のオルセン姉妹が2006年に立ち上げたブランドはクワイエット・ラグジュアリーの代名詞になり憧れの的になっています。タグがない服で上質でミニマリスティックな仕立てから「見る人が見ればわかる」ブランドとされています。
正規価格ではウールコートで80万円から、カシミアのセーターで約30万円、鞄は20万円以上します。正規価格では買えないけれど、サンプル価格では買えるため人気になっています。
購入者
こちらの動画では店舗の前に早朝から長蛇の列ができていると紹介しています。中には専門の業者に場所取りを依頼する人や国外からパーソナルショッパーを雇い買い物をする人もいるようです。追加で高額な関税や人件費を払ってでもサンプルセールを購入したい熱意を感じます。
こちらは購入者の投稿です。正規価格では$690のところ$172のメッシュシューズ、トラウザーは正規価格で$1500のところ$350、ビッグシルエットのコートは正規価格で$5000のところ$1250で購入できたと喜んでいます。購入した白のトラウザーはポケットが透けているため安物に見えますが満足しているようです。
こちらの購入者はジャケット、ニット、白ブラウス、スリップドレスなどを購入していますが「すべて75%オフだから価値がある」と自身を説得するように話しています。
パロディ動画も投稿されています。「ただのニットに見えるでしょうけど、私はこれ一生着ますから。」「15万円、18万円ではよくあるかもしれないけど、これは30万円するんですよ。だから価値があるんです。」「この見事な仕立てをみて。店員さんに流行モノはほしくないと言ったの。だって私は普通の人より価値があるから。」と話しています。
たしかに購入者はこのような話し方をしています。
こちらの動画では「それほど価値がない」と話しています。ビッグシルエットになった中価格帯ブランドのAnn Taylor(アン・テイラー)かバナナリパブリックみたい、一部の鞄や靴はいいけど服はちょっと、と評価しています。
クワイエットなラグジュアリーなのか?
こちらの動画では、27%の高級ブランドの売上げは年収$50,000(約780万円)以下の人によること、Z世代は前の世代よりも高級品を持ちたがる傾向にあること、それはインフルエンサーの影響が大きいからではと解説しています。購入者のなかには無理をしてザ・ロウを買った人もいるはずです。
SNSのおかげで従来の知る人ぞ知る要素は薄まり、誰でも知っているブランド『ザ・ロウ』になっています。購入者が自分よりも上の富裕層に到達した勘違いを物を所有して得られるのであれば、買う価値があるのかもしれません。ブランドの幻想の力は強いと感じます。個人的にはクワイエットなのに作りが言うほどよくないなら、それは無価値なのではと思います。
