Z世代の映画監督カリー・バーカーが制作した映画”The Obsession”(邦題『オブセッション 災愛』)が異例のヒット作になっています。米国で5月15日の劇場公開後、口コミで話題になり何度も見に行く作品としてZ世代の間で人気になっています。
約700,000ドル(約1億1000万円)の予算で作られた映画ですが、興行収入は400ミリオンドル(約650億円)を超えています。
20代の青年ベアが主人公です。片思い相手のニッキーが自分を好いてくれるようにおまじないをかけることでストーリーは展開していきます。※本記事にはネタバレが含まれます。
批判される主人公
予期せぬ方向におまじないが効いてしまいベアはニッキーの奇行に怯えて暮らすようになります。それでもベアはおまじないを完全に撤回する気がなくニッキーに「殺して」と言われても「何がそんなに気に入らないのか」と問い返します。
ベアの性格については「卑怯者」「臆病者」「(猫が誤って飲んでしまったオキシコドンの容器を出した状態にしていたので)だらしがない」だけではなく「インセル」とまで言われています。

インセル・ホラー?
おまじないによりニッキーに主体性を失わせ、自分のものにしてしまったベアなので、もっともな指摘です。こちらの動画では「ベアも被害者では?」とする意見に反論しています。
猫を亡くした晩にも関わらずニッキーのことばかり考えている、ニッキーが父親と疎遠だったことを知らなかった(サラとイアンは知っていた)、おまじないの内容がおかしい、サラもニッキーも上昇志向があるがベアにはない、などをあげています。
一見「いい人」のベアですが、好きな人を都合良く扱う残酷さと自己中心的な傾向は否めません。
本当のニッキーは?
最終的にニッキーは元の人格を取り戻しますが、物語の端々で素のニッキーも登場しています。ニッキーはおまじないによって猫になってしまったのではないか、との説がSNSに投稿されています。
One of the wildest theories from Obsession:
Nikki isn’t just obsessed with Bear… she IS Bear’s dead cat.
Think about it:-
• She hides in corners and watches him sleep.
• The way she moves feels almost cat-like.
• She waits by the door for him all day.
• Her glowing eyes… pic.twitter.com/EQDrmKlBBQ— Marvel Mania (@Sksj002) June 4, 2026
猫のように飼い主が寝ている姿をじっと見ている、猫のような身振りをしている、飼い主が帰ってくるのを待っている、ギラギラした瞳、結局ベアを最も愛していたのは猫だったから、「願いの柳」の箱にネコのイラストが描かれている…などの理由をあげています。
お弁当を準備したニッキーはポラロイド写真に「私ではない」と書いています。
the fact that nikki gave bear signs that it wasn’t really her because she actually believed that he would try to save her rather than continue to take advantage of her breaks my heart💔 pic.twitter.com/GJQJKDDqob
— ໊ (@scarymovi3s) July 4, 2026
おまじないによって何かがニッキーに憑依しているのか、素のニッキーはその間どうしているのか、など考えるとキリがありません。
こちらの動画で詳しい解説がされています。舞台になったレストランやお店の名前、撮影後に火災で焼失した家など背景も話しています。
個人的におもしろかったトリビアは「願いの柳」のコールセンターの人物の声を監督が務めていることでした。
悲惨な結末になる予定だった
こちらの動画では監督はもっと悲惨な結末を想定していたと紹介しています。しかし、監督の父親の助言で変更されたそうです。
ニッキーが生きている方が悲惨な気がしますが、そこを狙ったのでしょうか。
撮影ではニッキーがベアに気がある場合と気がない場合の両方を撮り、最終的に両方を混ぜた編集にしたそうです。
When filming Act 1 of ‘OBSESSION’, Curry Barker made Inde Navarette do takes where was interested in Bear and takes where she wasn’t interested.
The final cut merges both so that Nikki’s true feelings towards Bear are ambiguous. pic.twitter.com/Bo9a5Giho3
— Cinema Solace (@SolaceCinema) June 6, 2026
おまじないをかけられる前のニッキーはベアに興味があったのか、なかったのか作品を見ても最後までわかりません。
ニッキーを演じたインディは「きっとニッキーもベアに好意があったと思う」と取材で話しています。ベアに告白する勇気があれば、恐ろしい目に遭わなくて済んだのかもしれません。
『The Obsession』はよくできた映画ですが、その中でもニッキーを演じたインディの演技力が高く評価されています。気まずい空気の作り方、叫び声、奇怪な動きと表情、すべて恐ろしい雰囲気を体現しています。俳優業の傍らゲーム配信のストリーマーをしていたインディでしたが、今後は俳優業のみで活躍できそうです。
監督は「主人公のベアが常に最善の判断をする」なら制作費を増やすと提示されたそうですが、断ったことを明かしています。ベアが不甲斐なく、自己中心的な臆病者でなければ成立しないストーリです。
劇場に足を運んだ人がまた観に行きたくなる理由は、登場人物や細かい描写について議論したくなる内容だからです。また、議論をすると今度は他の細部が気になってまた見直したくなるからかもしれません1。ホラーで残酷描写もあるので苦手な人は要注意ですが、夏にゾッとする体験をしたい方には最適の作品です。
