2015年にGucciからレザースリッパが発表されて以来、人気商品になりました。
同時に安物のコピー品があちこちで売り出されます。
音楽も映画も著作権で保護されていますがデザインは「コピー」をしても合法なのです。
なぜそんな現象が起こるのか動画を紹介します。
「安物のコピー品」と「偽ブランド商品」は明白な線引きがあるのです。
偽ブランド商品はブランドロゴや縫製方法まで完全に似せて作られます。これは違法とされています。
かたや安物のコピー品は元のデザインから発想を得て少し似せているだけなので合法とされています。これは知的財産権はごく限られた商品のみに適用されているから起る現象だそう。
知的財産権はどのような物に及ぶのでしょう? 動画内で取り上げられた例を紹介します。
著作権は絵画、音楽、映画などに適用されます。YouTube動画をレストランで撮影中、背景で流れた音楽のせいで、動画が投稿できなくなることがあります。それは、音楽が著作権で保護されているから無断で使用できないためです。
商標権もあります。商標権はブランドロゴを保護するものです。偽ブランド商品が違法なのは商標権を侵害しているからです。
最後は特許権です。特許権は発明などに適用されます。しかし、デザインの特許申請をしても認められるまで時間がかかりすぎてしまいます。流れの早いアパレル業界では次のシーズンに認められてもコピー品が大量に出回った後なので狙った効果が発揮されません。
このような現状を憂いたプロエンザスクーラーのデザイナーは議会での参考人招致で次のように主張しています。
安物のコピー品はデザイナーたちにとって営業妨害だと言っています。本来上げられる利益が安物のコピー品に流れてしまっている、と。
実際にそうなのでしょうか?
高級服市場(上位10%)の商品単価は年々上がっています。残りのアパレル市場(下位90%)はここ12年の間、単価は高くなるどころかやや下降しています。
世界の富の82%が上位1%に偏在している現状を考慮すると(この現象はアパレル業界だけのものではありません)自然だと言えます。まったく市場が違う事が動画内で紹介されたグラフに表れています。
さらに安物のコピー品の存在によってトレンドが生まれます。そのトレンドによって「本物」に価値が生じる面があります。ファッションの最先端を行く人たちはトレンドが起った段階で、別の最先端の物に移行する性質もあります。営業妨害どころか、安物のコピー品はトレンドを起こすのに一役買っているわけです。
【2021年3月5日】本文を加筆訂正しました。