例年、アメリカの西海岸では山火事が発生します。被害状況やセレブ・YouTuberの避難について、本サイトでもたびたびお伝えしてきました。
2019年から2020年にかけて、オーストラリアでも大規模な山火事が発生しています。
山火事はなぜ発生するのでしょうか? どうすれば防げるのでしょうか? 本記事では動画から山火事の「なぜ」をお伝えします。
アメリカの山火事
アメリカ西部の山火事についての動画です。チャンネルはUSA TODAYです。
山火事は2014年から2018年にかけて増えています。2018年の山火事はカリフォルニアの記録上最悪でした。1984年から2015年にかけて、森林火災の面積は16,000平方マイル(約4万平方キロメートル)増えました。これはおよそマサチューセッツ州とコネチカット州を合わせた面積に相当します(日本の九州以上に相当)。
動画では、山火事がひどくなっている原因が三つ挙げられています。
第一は気象条件です。近年の気候変動でアメリカの西海岸では気温が上昇し、湿度が下がっています。森林が燃えやすい条件になってきたのです。1970年代から気温が2.5℉(約1.4℃)上昇しました。
第二は都市化です。開発が進むと、人間が原因になる山火事(たばこのポイ捨て、たき火の不始末、送電線のショートなど)が増えます。また、山火事と住宅地の距離が縮まります。
第三は長年の山火事対策です。山火事が起こると倒木や枯れ葉が焼き尽くされ、燃えにくい木だけが残ります。長らく山火事を早期に消し止める方針が実施されてきたので、燃えやすい枯れ葉や木が増えてしまいました。
適度な山火事を起こす必要性
山火事を消すと山火事が発生しやすくなることについて、詳しく解説している動画を見てみましょう。チャンネルはMinuteEarthです。
1871年と1910年に起こった大規模な山火事をうけて、アメリカ合衆国森林局(US Forest Service)が拡大しました。森林局は山火事を予防するだけでなく、山火事を迅速に鎮火することも目指しました。
当初この方針はうまくいったように見えました。1920年代から1970年代まで山火事の件数は減り、被害面積も縮小しました。ところが、山火事が長年なかった森には倒木や枯れ葉が積み重なり、燃えやすくなってしまいます。
そのため、1970年代以降は山火事の件数は減りましたが、被害面積は拡大しました。一度燃え広がると手がつけられないのです。森林局の予算でも山火事関連は1995年には16%だったのが2015年には52%まで増加しています。
大規模な山火事の対策は、生えすぎた木を減らすこと、小規模な山火事は消し止めずにおくこと、場合によっては山火事を人為的に起こすことです。実際に、小規模な山火事が最近起こった場所には大規模な山火事も燃え広がらないのが確認されています。
ですが、この対策はじゅうぶん実施されていません。政府は森林局に緊急対策用の予算を多く、予防用の予算を少なく配分しているからです。
山火事鎮火チーム
こちらの動画も山火事について詳しく説明しています。チャンネルはEarthFixMediaです。
山火事の炎は50メートル以上の高さに達することがあります。炎で発生する上昇気流はハリケーン並の風速に達します。炎の広がる速度は普通の人が走る速度の倍です。
山火事のためアメリカでは年間$5ビリオン(約5500億円)かかっています。
まず最初にヘリコプターや飛行機で水や防火剤1を投下します。
続いて、smoke jumperやhelitack crewと呼ばれる訓練を受けた専門家が飛行機やヘリコプターから現地に降下します2。彼らは山火事の周辺の木を切り倒し、燃えやすいものを取り払い、防火帯を作ります。防火帯は60フィート(約20メートル)ほどになります。時には迎え火を放つこともあります。
彼らだけでは手が回らないときには、学生アルバイト、国境警備隊、刑務所の服役者などが投入されます。一つの山火事の鎮火に数千人が動員されます。
この動画でも、山火事への対策の一つは山火事をむやみに消さないことだと語られています。山火事は生態系の一部なのです。山火事によって生まれる命もあります。
次の動画は実際の消火活動がどのように行われるのかを詳細に語っています。
山火事対策と研究の現状
ブリガム・ヤング大学の研究室の動画です。
木が燃えるときにどのような物質を放出するのかを調べています。木は加熱されると可燃性のガスを放出し、それが燃えるからです。
実験で炎の発生や動きも研究しています。二つの炎が重なると何が起こるか、コンピュータで解析しています。火災がどれだけの速度で広がるのかを予測できるモデルを作るのが目標です。
DRIScience (Desert Research Institute)の動画です。
ドローンで山火事を観測し、煙の成分を測定する研究を紹介しています。人為的な山火事の燃えはじめ、燃え終わりでどのような物質が放出されるかを調べています。森林局、アイダホ大学との共同研究です。アイダホ大学の研究者は山火事で上空にどのような微生物が放出されるかを調べています。
次の動画では飛行機で同じようなガスの調査をしています。
最後はConverSketchの動画です。きれいなイラストを描きながら説明してくれます。
山火事の対策を研究しているWildfire Research Teamの活動について、チーム員のサラが何をしているのかを中心に話しています。
サラは住民に調査のお知らせを送ります。続いて地域を見て回り、どんな対策がすでにされていて、どんな危険が残っているのかを調べます。さらにアンケート調査で住民が何が必要だと思っているかを調べます。最後に結果を分析して、地域に特化した対策を立てます。